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アセチレン、常温で圧縮成功

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2気圧以上に圧縮すると爆発する恐れがある可燃性ガスのアセチレンを、常温で400気圧にまで圧縮することに京都大工学研究科の北川進教授(無機化学)、松田亮太郎研究員らのグループが世界で初めて成功した。ナノ(10億分の1)サイズの微細な穴が空いた物質に分子レベルで吸着させた。14日付の英科学誌ネイチャーに発表する。

 溶接用燃料に使われるアセチレンを安全かつ簡単に取り扱えるほか、さまざまな物質を高密度に濃縮する応用が可能といい、北川教授は「有害物質の分離や温室効果ガスの除去に役立つ次世代のナノ機能材料開発にもつながる」という。(引用:京都新聞)

 

Nature, 436, 238 (2005) に報告されています。4x6A(オングストローム:1000万分の1㎜)
の1次元細孔を持つ多孔性配位高分子である、Cu2(pzdc)2pyz(pzdc:pyrazine-2,3-dicarboxylate, pyz:pyrazine)を用いて、そこにアセチレンを吸着することによって今回の結果が実現されました。

 

ところで、配位高分子というのは、遷移金属イオンと、有機配位子によって構成される結晶性の固体です。遷移金属イオンに有機配位子を入れるだけで合成でき、簡単です。同じ金属でも配位子の種類を変えることによって、様々な骨格を有する均一な結晶構造を得ることができます。その骨格がナノサイズの空間を有しているものが多孔性配位高分子です。

 

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外部リンク

ナノ細孔に吸着した水素分子の直接観測に成功 - 水素貯蔵多孔性物質の設計指針への期待 -

北川研究室(京都大学大学院工学研究科合成生物化学専攻機能化学講座)

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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