[スポンサーリンク]

ケムステニュース

高純度化学研究所が実物周期標本を発売開始

[スポンサーリンク]

実物の元素のついた周期表の販売を開始いたしました。「名前は聞いたことがあるけど、実物は見たことが無い」という元素の実物を、その手に取ってみてみませんか?(引用:高純度化学研究所 公式ブログ10月1日)

元素周期表の認知度は上がり、元素ごとにそれが応用されている物の写真が付いたポスターや各元素の結晶や液体の写真を集めた図鑑、元素を擬人化にして仮想の性格を持たせ紹介した書籍などが世に出回るようになりました。化合物としては身の回りの製品に使われている各元素ですが、周期表では単体の実物を並べて眺めていたいと思うときがあります。

そんな中、無機材料を取り扱う高純度化学研究所では、Amazonにて実物周期標本の発売を開始しました。

セットには、30元素の標本に加えてアルミフレームに装着された周期表パネルマグネットシート、ケースが付属し、実物付きの周期表を飾ることができます。肝心の含まれている元素は、B、C、Mg、Al、Si、S、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Ta、W、PtAu、Pb、Biで、もちろん放射性元素、液体、気体は含まれていません。そこそこ高価な貴金属も含まれており、幅広い元素が含まれているようです。周期表パネルには、各元素の元素記号、原子番号、原子量、沸点・融点が記載されており、高純度化学研究所オリジナルキャラクターのバケるくんケミーちゃんが無機質な標本に華を添えています。


元素単体の実物が入ったアクリル板の商品はすでにいくつか販売されていますが、この高純度化学研究所の周期標本ではそれぞれの固体のサイズが大きく、ジップロックに入って売られていて自分の手でケースに入れて元素表に入れ込む醍醐味があるようです。高純度化学研究所 公式ブログでは、理科好きの方や、元素や周期表、化学に興味がある方、勉強のための教材を探している方、鉱物・パワーストーンコレクターにオススメで、化学が好きなお子さんへのプレゼントにもなるとアピールしています。肝心の価格は、124,960円とiPhone 13 Proと同じ値段ですが、無機材料メーカー純正でいくつかの貴金属が含まれていることからこの標本はiPhoneよりも価値があると思います。

高純度化学では、化学の楽しさを知ってほしいとの思いからオーダーメイドで周期表の標本を作製しており、国立科学博物館での展示会名古屋市科学館京都市青少年科学センターに元素を納入されているそうです。元素によっては酸化して色が変わってしまいますが、独自の技術により大気中で反応しやすい不安定な元素やアルカリ金属も保存状態の良い美しい元素を提供しているそうです。

 

名古屋市科学館の展示(出典:名古屋市科学館で化学してみた

そもそも高純度化学研究所は、薄膜材料であるスパッタリングターゲットや高純度金属、無機材料などを製造・販売している材料メーカーです。無機材料を各産業に適した性能に精製・加工できることが強みであり、具体的には、溶解、焼結、機械加工、ボンディング、合成、蒸留・精製技術をコア技術としています。近年では半導体産業が大きく拡大しており、薄膜形成に使われる高純度の材料は需要が大きいと見られます。

産業向けを主ビジネスとしている一方試薬としての販売も行っており、オンラインストアには幅広い元素の金属単体、合金、無機化合物がラインナップされています(もちろん個人での購入はできません。)。前述のとおり公式ブログも開設しており、元素に関する様々なトピックが高い頻度で投稿されています。このように、高純度化学は高品質な無機材料を産業に供給する素材メーカーでありながら、研究・一般向けにも企画を行っていてユニークな企業だと思います。そんな高純度化学から発売された30元素付き周期標本は、元素にこだわった一品ではないでしょうか。自分で元素をケースに入れて飾るタイプなので中身を入れ替えることもでき、自分たちで合成した化合物を入れて飾るなどいろいろな応用が考えられます。ぜひ研究室の展示物として購入してみてはいかがでしょうか。

関連書籍

元素周期表に関するケムステ過去記事

 

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. ノーベル化学賞、米・イスラエルの3氏に授与
  2. エーザイ 抗がん剤「ハラヴェンR」日米欧で承認取得 
  3. 「消えるタトゥー」でヘンなカユミ
  4. 虫歯退治に3種の抗菌薬
  5. ニホニウムグッズをAmazonでゲットだぜ!
  6. 京大北川教授と名古屋大学松田教授のグループが”Air Liqui…
  7. 分子素子の働き せっけんで確認
  8. 独バイエル、2004年は3部門全てで増収となった可能性=CEO

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第166回―「2次元量子材料の開発」Loh Kian Ping教授
  2. 脱水素型クロスカップリング重合法の開発
  3. リロイ・フッド Leroy E. Hood
  4. フルオキセチン(プロザック) / Fluoxetine (Prozac)
  5. ルイ・E. ・ブラス Louis E. Brus
  6. 地位確認求め労働審判
  7. 植物生合成の謎を解明!?Heteroyohimbine の立体制御
  8. 環拡大で八員環をバッチリ攻略! pleuromutilinの全合成
  9. 第95回―「生物学・材料化学の問題を解決する化学ツールの開発」Ivan Dmochowski教授
  10. Google Scholarにプロフィールを登録しよう!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年11月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP