[スポンサーリンク]

ケムステニュース

化学企業のグローバル・トップ50が発表【2018年版】

[スポンサーリンク]

The 50 companies combined for $851.0 billion in chemical sales for 2017, the fiscal year on which the survey is based, a 12.2% increase from the year before. This is a turnaround from recent surveys, as the Global Top 50 had seen sales decline in 2015 and 2016. A strong economy and rising oil prices led to the revenue increase.  (引用:C&EN 7月30日)

C&ENでは毎年7月末号にて化学企業のランキングを発表していますが、その2018年度版が公開されました。ランキングはC&ENが調査した2017年の化学品の売上に基づいたもので、各社の化学品の以外の売り上げを除いた結果になっています。

総評

世界経済の好調と石油価格の上昇で50社中41社が売り上げを伸ばし、48社で利益の増加が見られました。トップ50の入れ替わりは、英国のJohnson Mattheyと米国のLubrizolがランク外になった代わりに中国のWanhua Chemicalと米国のWestlake Chemicalがランクインしました。またDowとDuPontは昨年8月に合併しましたが、合併後+Dowの売り上げて2位に、合併前までの売り上げで13位にDuPontがランクインしています。2018年も引き続き世界経済の好調が続いているため化学企業の成長が期待されています。しかしながら、米国と中国の貿易戦争の悪影響が予測されています。順位の変動に関しては、14位のLindeと 26位のPraxairが合併して世界最大の産業ガス会社になる予定です。一方の 50位のClariant と39位のHuntsmanが合併に同意していましたが、2017年11月にキャンセルになりました。

ランキングの上下

トップ10の大きな変動はありません。大きく順位を上げたのは12位のReliance Industriesで、世界最大の製油所で有名なインド最大の石油化学会社です。日本企業の順位に関して、9位の三菱ケミカル、15位の東レ、21位の住友化学は変動がありませんでした。一方23位の信越化学はランクを三つ上げました。2017年は信越化学だけでなく多くの日本企業が利益を大きく上げた年だったようです。

日本で活動しているトップ20の化学会社

世界各国の化学会社がランクインしていますが、日本では無縁の会社であると思われがちです。しかし実際は下記の表のように、ほとんどの企業が日本に営業拠点を持ち、研究開発・製造拠点を持つ会社もあります。拠点があれば働く人材も必要になるわけであり、多くの日本人が活躍しています。一般的に外資系企業は新卒採用を行わないため中途採用にて入社することになりますが、BASFとDowDuPontの場合、新卒採用を行っているようです。

今年のランキングでは日本の6社がトップ50にランクインしました。今後も日本からビジネスを世界に展開し続け、多くの日本企業が将来ランクインすることを願っています。一方、外資系企業に関しては、日本をアジアの中心拠点としてビジネスを拡大し、日本人が活躍してほしいと思います。

関連書籍

[amazonjs asin=”4492557679″ locale=”JP” title=”なぜ日本企業は真のグローバル化ができないのか―日本版GOM構築の教科書”] [amazonjs asin=”B07B5RFSV2″ locale=”JP” title=”化学経済増刊号 3月号2018年「世界化学工業白書」”]

グローバル化学企業に関するケムステ過去記事

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 独メルク、電子工業用薬品事業をBASFに売却
  2. 化学の力で名画の謎を解き明かす
  3. ハネウェル社、アルドリッチ社の溶媒・無機試薬を販売へ
  4. 第12回化学遺産認定~新たに3件を認定しました~
  5. ライオン、フッ素の虫歯予防効果を高める新成分を発見
  6. 印民間で初の17億ドル突破、リライアンスの前3月期純益
  7. リサイクルが容易な新しいプラスチックを研究者が開発
  8. ホウ素でがんをやっつける!

注目情報

ピックアップ記事

  1. 「非晶質ニッケルナノ粒子」のユニークな触媒特性
  2. シュプリンガー・ネイチャーが3つの特設ページを公開中!
  3. データ駆動型R&D組織の実現に向けた、MIを組織的に定着させる3ステップ
  4. 水素化ナトリウムの酸化反応をブロガー・読者がこぞって追試!?
  5. 若手研究者vsノーベル賞受賞者 【化学者とは?!編】
  6. エッシェンモーザー・タナベ開裂反応 Eschenmoser-Tanabe Fragmentation
  7. タミフルの新規合成法・その3
  8. 激レア!?アジドを含む医薬品 〜世界初の抗HIV薬を中心に〜
  9. すごい分子 世界は六角形でできている
  10. 元素生活 完全版

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年8月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

ブテンを原料に天然物のコードを紡ぐ ―新触媒が拓く医薬リード分子の迅速プログラム合成―

第 687回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 有機合成化学教室 (金井…

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP