[スポンサーリンク]

ケムステニュース

ケムステニュース 化学企業のグローバル・トップ50が発表【2019年版】

[スポンサーリンク]

For the global chemical industry, 2018 was another strong year, yet it showed signs of a slowdown, according to C&EN’s annual survey of the Global Top 50 chemical companies. Sales rose healthily for the group during 2018, the fiscal year on which the survey is based. (引用:C&EN7月29日)

今年もC&ENより化学企業のグローバル・トップ50が発表されました。統計は、C&ENが調査した2018年の化学品の売上に基づいたもので、各社の化学品以外の売り上げを除いた結果になっています。

総評

世界の化学企業にとって2018年も成長が見られた年でしたが、減速がみられました。上位50社の売り上げは、前年同期比で13.4%の増加になりましたが、利益は3.4%増にとどまりました。特に23社が減益となり、その中には6社の日本の会社が含まれています。この理由として、石油化学の市場のサイクルが影響していて、具体的にはアメリカでエチレンとポリエチレンのプラントが稼働を始めることに加えてアジアでの急な軟化が減益の理由としています。

ランキングの変動

まず、12年間トップの座に君臨してきたBASFが2位となり、DowとDuPontの合併により設立されたDowDuPontが1位となりました。2017年のは、合併が完了していないためDowDuPontとDuPontがランクインしている状態でしたが、2018年は、DowDuPont一社として売上がカウントされました。しかしながら、事業統合を完了し、再度DowCortevaDuPontの三社に分離しており、来年のランキングではDowDuPontがトップとなることはなさそうです。その他、トップ10については、韓国のLG Chemが順位を一つ上げて10位となった以外に変動はありません。

DowDuPontのサイトを開くと3社へのリンクのみが表示される

12位に初登場したPetroChina(中国の石油化学企業)は、2018年から売り上げを公開したためランクインしました。17位のBayer(ドイツの製薬企業)は、アメリカの農薬企業であるMonsantoを買収したため順位を上げました。21位のLinde plc(英国の産業ガス企業)は、2018年10月に米国の産業ガス企業であるPraxairと合併したため、今回は順位を3つだけ上げました。来年は、1社としての売上が報告され、13位のAir Liquideを抜いて世界最大の産業ガス企業となる見込みです。

前回50位外だったNutrien(カナダの肥料企業), Umicore(ベルギーのメタル関連企業), Johnson Matthey(英国のメタル関連企業), Celanese(米国の石油化学、プラスチック企業)が40位台にランクインしました。Nutrienは、カナダの肥料企業大手Potash Corporation of SaskatchewanとAgriumが合併して誕生した会社であるためで、 UmicoreとJohnson Mattheyeはバッテリーマーケットの急拡大で売上が伸びたためランクインして模様です。

日本の企業については、大きな順位の変動はありませんでしたが、各社アジア地域での売上を拡大するためにプラントの立ち上げやJoint会社の設立を進めているようです。来年のランキングでは、日本企業の良いニュースが掲載されることが期待します。

関連書籍

[amazonjs asin=”4130461257″ locale=”JP” title=”研究開発機能の空間的分業: 日系化学企業の組織・立地再編とグローバル化”] [amazonjs asin=”4480069321″ locale=”JP” title=”イノベーションはなぜ途絶えたか: 科学立国日本の危機 (ちくま新書1222)”]

グローバル化学企業に関するケムステ過去記事

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 第一三共/イナビルをインフルエンザ予防申請
  2. 阪大・プリンストン大が発見、”高温”でも…
  3. 奇跡の素材「グラフェン」を使った世界初のシューズが発売
  4. 旭化成の今期、営業利益15%増の1250億円に
  5. 「副会長辞任する」国際組織に伝える…早大・松本教授
  6. 元素も分析する電子顕微鏡
  7. 化学における特許権侵害訴訟~特許の真価が問われる時~
  8. 武田薬品、糖尿病薬「アクトス」に抗炎症作用報告

注目情報

ピックアップ記事

  1. ジオキシラン酸化 Oxidation with Dioxirane
  2. バンバーガー転位 Bamberger Rearrangement
  3. 「優れた研究テーマ」はどう選ぶべき?
  4. アブシジン酸(abscisic acid; ABA)
  5. 第112回―「生体分子センサー・ドラッグデリバリーシステムの開発」Shana Kelley教授
  6. 反応の選択性を制御する新手法
  7. ダイセルよりサステナブルな素材に関する開発成果と包括的連携が発表される
  8. オゾンと光だけでアジピン酸をつくる
  9. 地域の光る化学企業たち-1
  10. The Merck Index: An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, And Biologicals

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年8月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

2024年ノーベル化学賞は、「タンパク質の計算による設計・構造予測」へ

2024年10月9日、スウェーデン王立科学アカデミーは、2024年のノーベル化学賞を発表しました。今…

デミス・ハサビス Demis Hassabis

デミス・ハサビス(Demis Hassabis 1976年7月27日 北ロンドン生まれ) はイギリス…

【書籍】化学における情報・AIの活用: 解析と合成を駆動する情報科学(CSJカレントレビュー: 50)

概要これまで化学は,解析と合成を両輪とし理論・実験を行き来しつつ発展し,さまざまな物質を提供…

有機合成化学協会誌2024年10月号:炭素-水素結合変換反応・脱芳香族的官能基化・ピクロトキサン型セスキテルペン・近赤外光反応制御・Benzimidazoline

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年10月号がオンライン公開されています。…

レジオネラ菌のはなし ~水回りにはご注意を~

Tshozoです。筆者が所属する組織の敷地に大きめの室外冷却器がありほぼ毎日かなりの音を立て…

Pdナノ粒子触媒による1,3-ジエン化合物の酸化的アミノ化反応の開発

第629回のスポットライトリサーチは、関西大学大学院 理工学研究科(触媒有機化学研究室)博士課程後期…

第4回鈴木章賞授賞式&第8回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学,情報科学,実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

光と励起子が混ざった準粒子 ”励起子ポラリトン”

励起子とは半導体を励起すると、電子が価電子帯から伝導帯に移動する。価電子帯には電子が抜けた後の欠…

三員環内外に三連続不斉中心を構築 –NHCによる亜鉛エノール化ホモエノラートの精密制御–

第 628 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院薬学研究科 分子薬科学専…

丸岡 啓二 Keiji Maruoka

丸岡啓二 (まるおか けいじ)は日本の有機化学者である。京都大学大学院薬学研究科 特任教授。専門は有…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP