[スポンサーリンク]

その他

二酸化炭素 (carbon dioxide)

[スポンサーリンク]

二酸化炭素は無色無臭の常温気体。石灰石の熱分解や、有機物の燃焼によって得られます。二酸化炭素は、地表から放出された赤外線を吸収し、再放出して地表に戻す性質があるため、大量に放出すると地球温暖化の原因になると懸念されています。

GREEN2013co2n02.png

 二酸化炭素の状態変化

二酸化炭素は低温にすると気体から固体に変化します。この温度は1気圧の場合およそマイナス80度です。二酸化炭素の固体はドライアイスと呼ばれます。ドライアイスは低温を得るために利用されています。昇華の例としても、小中学校の理科の授業の中で、ドライアイスはおなじみです。昇華させずに、二酸化炭素の液体を得るには、少なくともおよそ5気圧の加圧が必要です。

 

二酸化炭素の水溶液

二酸化炭素は水に少し溶け、炭酸となって電離するため、水溶液は弱い酸性を示します。炭酸は2価の酸です。口の中で気泡がはじける感触がここちよく、これらは炭酸飲料として市販されています。

GREEN2013co2n03.png

 

二酸化炭素とアルカリの反応

二酸化炭素はアルカリ水溶液に吸収されやすい性質があります。例えば、水酸化ナトリウム水溶液の場合は、二酸化炭素が吸収されると炭酸ナトリウムを生じます。水酸化ナトリウム水溶液を作り置きして放置することが好まれない理由は、このためです。

GREEN2013co2n04.png

また、水酸化カルシウムの場合は二酸化炭素と反応すると炭酸カルシウムを生じます。炭酸カルシウムは水にほとんど溶けないため、白い沈殿が見られます。これは、小学校から中学校・高等学校まで理科実験で二酸化炭素の検出によく使われる性質です。さらに二酸化炭素を封入し続けると、水溶液のアルカリ性が弱まり、こうなると沈殿していた炭酸カルシウムは炭酸水素カルシウムになって再び溶けます。この沈殿と再溶解は、鍾乳洞の形成を理解する上で重要な項目の1つです。

GREEN2013co2n05.png

 

二酸化炭素とヒト

ヒトを含め多くの生き物は呼吸をします。ヒトの吐く息には、吸う息よりも多くの二酸化炭素が含まれています。密閉された室内に人がたくさんいると、二酸化炭素の濃度が高まり、頭がぼーっとしたり、気分が悪くなったりすることもあるので、こまめに喚起しましょう。

ヒトの味覚と言えば、古典的には甘味・酸味・苦味・塩味・旨味です。辛味は痛みと同じため除外します。シュワシュワ感の中でわずかにある炭酸の味は少し変わっています。最近になって、クエン酸など一般の酸味は分かるものの、炭酸の酸味は分からないマウスが作られ、わたしたちが炭酸の味を感じる仕組みが分かりました。酸味は舌の特定の細胞にあるPKD2Lイオンチャネルというタンパク質で感知されます。このイオンチャネルがなければ、通常の酸味も炭酸の酸味も分かりません。クエン酸など一般のカルボン酸と比べて炭酸は弱い酸であり、割合としてかなり多くが水素イオンを放出せずただの炭酸のかたちで水に溶けています。新たに判明したところによると、PKD2Lイオンチャネルが発現している舌の細胞には、炭酸脱水素酵素CAR4がいっしょに発現しており、これが炭酸を炭酸水素イオンに変換し、放出された水素イオンを感知しているというのです。実際、CAR4遺伝子を欠損したノックアウトマウスでは、神経細胞の活動を調べたところ、クエン酸の酸味は分かるものの、炭酸の酸味は分かりませんでした。このことから、炭酸の味を感じるには、炭酸脱水素酵素CAR4が不可欠であると考えられます[2]。

GREEN2013co2n06.png

 

参考文献

  1. 数研出版・高等学校教科書・化学・306 (http://www.chart.co.jp/goods/kyokasho/26kyokasho/rika/kagaku/)
  2. “The Taste of Carbonation.” Chandrashekar J et al. Science 2009 DOI: 10.1126/science.1174601
Avatar photo

Green

投稿者の記事一覧

静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。

関連記事

  1. 酢酸ビニル (vinyl acetate)
  2. フラノクマリン -グレープフルーツジュースと薬の飲み合わせ-
  3. アントシアニン / anthocyanin
  4. ゲオスミン(geosmin)
  5. ITO 酸化インジウム・スズ
  6. コランニュレン corannulene
  7. カイニン酸 kainic acid
  8. A-ファクター A-factor

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【速報】2010年ノーベル化学賞決定!『クロスカップリング反応』に!!
  2. ケミストリー通り
  3. 第176回―「物質表面における有機金属化学」Christophe Copéret教授
  4. 神谷 信夫 Nobuo Kamiya
  5. 光触媒による水素生成効率が3%に
  6. 知の市場:無料公開講座参加者募集のご案内
  7. 電気化学の力で有機色素を自在に塗布する!
  8. ダニエル・ノセラ Daniel G. Nocera
  9. 世界の中分子医薬品市場について調査結果を発表
  10. 第五回 超分子デバイスの開発 – J. Fraser Stoddart教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年9月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

最新記事

第24回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

粉末 X 線回折の基礎知識【実践·データ解釈編】

粉末 X 線回折 (powder x-ray diffraction; PXRD) は、固体粉末の試…

異方的成長による量子ニードルの合成を実現

第693回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科(佃研究室)の髙野慎二郎 助教にお願…

miHub®で叶える、研究開発現場でのデータ活用と人材育成のヒント

参加申し込みする開催概要多くの化学・素材メーカー様でMI導入が進む一…

医薬品容器・包装材市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、医…

X 線回折の基礎知識【原理 · 基礎知識編】

X 線回折 (X-ray diffraction) は、原子の配列に関する情報を得るために使われる分…

有機合成化学協会誌2026年1月号:エナミンの極性転換・2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)・細胞内有機化学反応・データ駆動型マルチパラメータスクリーニング・位置選択的重水素化法

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年1月号がオンラインで公開されています。…

偶然と観察と探求の成果:中毒解毒剤から窒素酸化物を窒素分子へ変換する分子へ!

第692回のスポットライトリサーチは、同志社大学大学院理工学研究科(小寺・北岸研究室)博士後期課程3…

嬉野温泉で論文執筆缶詰め旅行をしてみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

論文を書かなきゃ!でもせっかくの休暇なのでお出かけしたい! そうだ!人里離れた温泉地で缶詰めして一気…

光の強さで分子集合を巧みに制御!様々な形を持つ非平衡超分子集合体の作り分けを実現

第691回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院 融合理工学府 分子集合体化学研究室(矢貝研究室…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP