[スポンサーリンク]

C

クライゼン縮合 Claisen Condensation

[スポンサーリンク]

 

概要

塩基性条件下におけるエステル同士の縮合反応。交差Claisen縮合は、エステルの一方がα位に水素を持たない場合に有効である。分子内Claisen縮合反応は特にDieckmann反応と呼ばれる。

基本文献

・Claisen, L.; Claparede, A. Ber. 188714, 2460.
・Claisen, L.; Lowman, O. Ber. 1887, 20, 651. doi:10.1002/cber.188702001149
・Hauser, C. R.; Hudson, B. E. Org. React. 19421, 266.
・Bartmess. J. E.; Hays, R. L.; Caldwell, G. J. Am. Chem. Soc. 1981, 103, 1338. DOI: 10.1021/ja00396a006

<review>
・Davis, B. R.; Garratt, P. J. Comp. Org. Syn. 19912, 795.
・Heath, R. J.; Rock, C. O. Nat. Prod. Rep. 200219, 581. DOI: 10.1039/B110221B

開発の歴史

1887年ドイツの化学者Claisenによって報告された。Claisen転位も同様に彼の研究業績である。Claisenは「クライゼンフラスコ」の開発者でもある。

Rainer Ludwig Claisen

Rainer Ludwig Claisen

反応機構

基本的にすべての過程は平衡可逆である。エノラート付加後に生じるβ-ケトエステルのα位プロトンの酸性度が高く、アルコキシドによってほぼ不可逆的に引き抜かれ、アニオンを生じるため、生成系に平衡が偏る。このため、アルドール縮合と異なり、等量以上の塩基が必須となる。α,α-二置換エステルの場合、最終段階のプロトン引き抜きによる促進効果が期待できないため、効率良く進行しない。

claisen_condense_2

反応例

claisen_condense_3.gif

Quinineの合成[1]

claisen_condense_4

Strychinineの合成[2]

claisen_condense_5

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] (a) Woodward, R.B.; Doering, W. E. J. Am. Chem. Soc. 1944, 66, 849. doi:10.1021/ja01233a516 (b) Woodward, R.B.; Doering, W. E. J. Am. Chem. Soc. 194567, 860. doi:10.1021/ja01221a051
[2] Kuehne, M. E.; Xu, F. J. Org. Chem. 199358, 7490. doi:10.1021/jo00078a030

 

  • Rahimizadeh, M.; Kam, K.; Jenkins, S. I.; McDonald, R. S.; Harrison, P. H. M. Can. J. Chem. 2002, 80, 517. DOI: 10.1139/v02-071
  • Heathcock, C. H.; Stafford, J. A. J. Org. Chem. 1992, 57, 2566. DOI: 10.1021/jo00035a010
  • Trotter, N. S.l Takahashi, S.; Nakata, T. Org. Lett. 1999, 1, 957. DOI: 10.1021/ol990936g

 

関連反応

 

関連書籍

 

関連リンク

関連記事

  1. サレット・コリンズ酸化 Sarett-Collins Oxida…
  2. コルベ・シュミット反応 Kolbe-Schmitt Reacti…
  3. カルボニル化を伴うクロスカップリング Carbonylative…
  4. 可逆的付加-開裂連鎖移動重合 RAFT Polymerizati…
  5. 水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム/ナトリウム/カリウム…
  6. ピニック(クラウス)酸化 Pinnick(Kraus) Oxid…
  7. チチバビン反応 Chichibabin Reaction
  8. システイン選択的タンパク質修飾反応 Cys-Selective …

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 微少試料(1 mg)に含まれる極微量レベル(1 アトグラム)の放射性ストロンチウムを正確に定量する分析技術開発!
  2. 正宗・バーグマン反応 Masamune-Bergman Reaction
  3. スキンケア・化粧品に含まれる有害物質を巡る騒動
  4. 有機化学の理論―学生の質問に答えるノート
  5. 複数のイオン電流を示す人工イオンチャネルの開発
  6. 第102回―「有機薄膜エレクトロニクスと太陽電池の研究」Lynn Loo教授
  7. AIが作った香水、ブラジルで発売
  8. 「誰がそのシャツを縫うんだい」~新材料・新製品と廃棄物のはざま~ 1
  9. 持続可能な社会を支えるゴム・エラストマー:新素材・自己修復・強靱化と最先端評価技術
  10. 金属材料・セラミックス材料領域におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP