[スポンサーリンク]

D

ジアゾメタン diazomethane

[スポンサーリンク]

 

概要

ジアゾメタンはCH2N2の分子式をもつジアゾ化合物の一種。

カルボン酸選択的にメチル化を行うことが可能。この条件下では、アルコールはメチル化されない。反応自体は大変迅速で、概ね5分以内で終了する。

他、Ardnt-Eistert合成(Wolff転位)の試薬としても用いられる。

ジアゾメタンは爆発性・発がん性がある危険な試薬として知られている。(トリメチルシリル)ジアゾメタンは爆発性が低く、代替として使われる。ヘキサン溶液として市販されている。

PG_carboacid_3.gif

基本文献

  • Moore, J. A.; Reed, D. E. Org. Synth. 196141, 16. [website]
  • Shioiri, T.; Aoyama, T.; Mori, S. Org. Synth., Coll. Vol. 1993, 8, 612.
  • Aoyama, T.; Shioiri, T. Tetrahedron Lett. 198021, 46. DOI:10.1016/S0040-4039(00)92200-7

 

反応機構

diazomethane_2.gif

反応例

 

実験手順

Diazaldから調製するのがスタンダード。
diazomethane_1.gif
※ジアゾメタンの調製にはAldrichから市販されている、専用のすり合わせを持ったガラス器具を用いる。
diazald_kit.jpg

(画像:Wikipediaより)

実験のコツ・テクニック

※ジアゾメタンは純度を上げたり大量スケールで調製すると爆発事故を起こす。このため通常は小スケールかつエーテル溶液として用いる。

※ジアゾメタン溶液は黄色なので、反応の完結は黄色が消えなくなった時点で判断できる。反応停止の際には黄色がなくなるまで酢酸を加える。

※鋭利なものの先端、金属粉、ガラスのすり合わせ、傷のあるフラスコは絶対に触れさせてはならない。爆発する。ジアゾメタン溶液を移すときは先端を焼きなましたピペットを使う。

※ジアゾメタン自身とその前駆体は強い発がん性を持つ。かならずドラフト内で取り扱うこと。

 

参考文献

 

関連書籍

 

関連反応

 

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 玉尾・フレミング酸化 Tamao-Fleming Oxidati…
  2. ビシュラー・ナピエラルスキー イソキノリン合成 Bischler…
  3. 三枝・伊藤 インドール合成 Saegusa-Ito Indole…
  4. プリリツェフ エポキシ化 Prilezhaev Epoxidat…
  5. プメラー転位 Pummerer Rearrangement
  6. テッベ試薬 Tebbe Reagent
  7. ワッカー酸化 Wacker oxidation
  8. 溝呂木・ヘック反応 Mizoroki-Heck Reaction…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 鉄とヒ素から広がる夢の世界
  2. 高純度フッ化水素酸のあれこれまとめ その1
  3. トムソン:2006年ノーベル賞の有力候補者を発表
  4. 留学せずに英語をマスターできるかやってみた(4年目)
  5. C-H酸化反応の開発
  6. 有機合成化学協会誌2021年10月号:フッ素化反応2010-2020
  7. 有機合成化学協会誌2023年3月号:Cynaropicri・DPAGT1阻害薬・トリフルオロメチル基・イソキサゾール・触媒的イソシアノ化反応
  8. Goodenough教授の素晴らしすぎる研究人生
  9. 有機ELディスプレイの最新技術【終了】
  10. クラリベイト・アナリティクスが「引用栄誉賞2022」を発表!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年8月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

理研の研究者が考える“実験ロボット”の未来とは?

bergです。昨今、人工知能(AI)が社会を賑わせており、関連のトピックスを耳にしない日はないといっ…

【9月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】有機金属化合物 オルガチックスを用いたゾルゲル法とプロセス制御ノウハウ①

セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチック…

2024年度 第24回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞 候補業績 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク会議(略称: …

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

開催日時 2024.09.11 15:00-16:00 申込みはこちら開催概要持続可能な…

第18回 Student Grant Award 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク会議(略称:JAC…

杉安和憲 SUGIYASU Kazunori

杉安和憲(SUGIYASU Kazunori, 1977年10月4日〜)は、超分…

化学コミュニケーション賞2024、候補者募集中!

化学コミュニケーション賞は、日本化学連合が2011年に設立した賞です。「化学・化学技術」に対する社会…

相良剛光 SAGARA Yoshimitsu

相良剛光(Yoshimitsu Sagara, 1981年-)は、光機能性超分子…

光化学と私たちの生活そして未来技術へ

はじめに光化学は、エネルギー的に安定な基底状態から不安定な光励起状態への光吸収か…

「可視光アンテナ配位子」でサマリウム還元剤を触媒化

第626回のスポットライトリサーチは、千葉大学国際高等研究基幹・大学院薬学研究院(根本研究室)・栗原…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP