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還元的脱硫反応 Reductive Desulfurization

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概要

チオエーテルやチオアセタールは、ラネーニッケルを作用させることで、還元的に脱硫反応が行える。カルボニルをメチレンへと還元して除去するための定法として知られている。

Barton-McCombie反応に用いられるラジカル還元条件(AIBN-Bu3SnH)でも、同様の脱硫が行える。

 

基本文献

  • Pettit, G. R.; van Tamelen, E. E. Org. React.196212, 356.
  • radicallic desulfurization: Gutierrez, C. G.; Stingham, R. A.; Nitasaka, T.; Glasscock, K. G. J. Org. Chem. 198045, 3393. DOI: 10.1021/jo01305a004

 

反応機構

脱酸素化体に含まれる水素は、Raneyニッケル調製中に金属表面に吸着した水素に由来する。

 

反応例

典型的な反応
raneyNi_deS_1.gif

 

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

ラネーニッケルは調製法によって反応性が左右されること、また乾燥させると自然発火する点に注意が必要である。

この欠点を回避するには、ニッケルボライドNi2B(= NiCl2+NaBH4)を同様の目的に用いる事ができる。オレフィンの還元も起こらない。[1] raneyNi_deS_3.gif

参考文献

[1] (a) Brown, C. A. J. Org. Chem. 197035, 1900. DOI: 10.1021/jo00831a039 (b) Brown, C. A.; Ahuja, V. K. J. Org. Chem. 197338, 2226. DOI: 10.1021/jo00952a024
[2] (a) Boar, R. B.; Hawkins, D. W.; McGhie, J. F.; Barton, D. H. R. J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1973, 654. (b) Zaman, S. S.; Sarmah, P.; Barua, N. C. Chem. Ind. 1989, 806 .

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

 

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投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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