不斉Corey-Chaykovskyエポキシド合成を鍵としたキニーネ・キニジンの選択的合成

Jan
27
2010
Author: cosine[Edit ] View: [2185]  
Category:論文
はてなブックマーク - 不斉Corey-Chaykovskyエポキシド合成を鍵としたキニーネ・キニジンの選択的合成 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をGoogle Bookmarksに登録する この記事をYahoo!ブックマークに登録する この記事を含むlivedoorクリップ この記事をnewsingに登録する この記事をChoixに登録する この記事をBuzzurlに登録する この記事をイザ!ブックマークに登録する この記事をFC2ブックマークに登録する この記事をニフティクリップに登録する この記事をdel.icio.usに登録する






chiralS_Qunine_1.gif
Practical and Highly Selective Sulfur Ylide Mediated Asymmetric Epoxidations and Aziridinations Using an Inexpensive, Readily Available Chiral Sulfide. Applications to the Synthesis of Quinine and Quinidine.
Illa, O.; Arshad, M.; Ros, A.; McGarrigle, E. M.; Aggarwal, V. K. J. Am. Chem. Soc. 2010, ASAP doi:10.1021/ja9100276

Corey-Chaykovsky反応はアルデヒドに硫黄イリドを1,2-付加させ、エポキシドを合成する反応です。

当然ながら、光学活性なスルフィドを用いた不斉化の試みはいくつもなされています。ユニークな反応形式が期待できるものの、その実用度は未だ発展途上です。とにもかくにも、性能のよいスルフィドキラル補助基の調整が難しい、というのが実用性を下げている大きな要因としてあるようです。

英ブリストール大学・Aggarwalらによってこのたび開発されたキラルスルフィド補助基は、この反応形式における問題点をかなり解決したものになっています。


【スポンサード広告】


彼らは光学活性なスルフィド・イソチオシネオールを安価なリモネンから大量合成し、不斉Corey-Chaykovsky反応へと適用しています。リモネンは両鏡像体ともに市販されており、反応は1モルスケールでも実行可能だそうです。合成の際、添加剤としてターピネンを加えると良いとのこと(理由は明らかではない模様)。

chiralS_Qunine_2.gif不斉Corey-Chaykovsky反応は多くの場合、脂肪族アルデヒドに適用が無いのですが、この方法を使えば、シクロヘキサンカルボクスアルデヒド、n-ブチルアルデヒドなどからもキラルエポキシドが合成可能です(収率は若干低めですが)。またTsアルドイミンへと付加させればキラルなアジリジンも得られます(冒頭スキーム)。

本反応の有用性を示すデモンストレーションとして、彼らはキニーネ・キニジンを半合成を行っています。すなわち共通中間体たるアルデヒドに、硫黄イリドのエナンチオマーをそれぞれ作用させエポキシドを合成、引き続くアミンの分子内求核置換によるエポキシド開環を経て、それぞれのルートでキニーネ・キニジンを作り分けています。

chiralS_Qunine_3.gifこの合成経路自体はJacobsenらの既報ルート[1]をかなり踏襲したもののようですが、炭素炭素結合形成・キラルエポキシド合成を一段階で行える本法の強力さゆえ、ルートの短工程化に成功しているのがポイントと言えそうです。

キニーネ・キニジンの立体選択的合成については、先だって全合成界における一大トピックでもありました。仕事のインパクトを上げる目的として見れば、スマートなターゲット選定だと思えます。

論文にも注釈がありましたが、このスルフィドは東京化成(TCI)から市販されることになっているようです。2010年1月26日現在、試薬検索ではまだ引っかかってこないので、これから発売ということなのでしょう。

条件も簡便でありながら選択性が高く、キラルエポキシドを実用的に得る新たなチョイスとなってくれそうに思います。

  • 関連文献
[1] Raheem, I. T.; Goodman, S. N.; Jacobsen, E. N. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 706. DOI: 10.1021/ja039550y

  • 関連リンク
Aggarwal Group




関連記事

ODOOS -合成反応データベース- by Chem-Station内の関連する記事:1件

このページをTwitterでつぶやくもしくはReTweetする

つぶやく場合は青、ReTweetしていただける場合は赤をクリックしてください!
Twitter-blue-32 Twitter-red-32

この記事のTwitterでのつぶやかれ


この記事を評価してくださいませんか?皆さんのコメントもお待ちしております!!

評価は下の星にマウスをあわせてドラッグしてください。1~5段階です。コメントはWrite a reviewをクリックして入力してください。ユーザー登録不要です。






ホーム > 論文 > 不斉Corey-Chaykovskyエポキシド合成を鍵としたキニーネ・キニジンの選択的合成


« 顕微鏡で化学反応を見る!? | トップページ | 国際化学オリンピックのお手伝いをしよう! »

サイト内検索


RSSを直接登録

はてなRSSに追加

Add to Google

Subscribe with livedoor Reader

Bloglinesで閲読登録

My Yahoo!に追加

新着記事


カテゴリ

CSツイッター


化学セミナー情報

日本の海底鉱物資源の開発状況と課題、事業展望

FT-IR(赤外分光法)の基礎と高分子材料分析の実際2

FT-IR(赤外分光法)の基礎と高分子材料分析の実際

低分子ゲル化剤の分子設計、合成法と応用技術



おすすめ書籍

2009年10月人気化学書籍ランキング

2009年10月人気化学書籍ランキングの続きを読む