また、化粧品においては、収れん作用や、皮膚の弱酸性を保つ働き、製品のpHの調整をする役目を果たしています。さらに、ケミカルピーリング溶剤の中に、他のフルーツ酸(クエン酸、リンゴ酸など)とあわせて入れることで、皮膚の古い角質の除去に用いられます。さらに、加齢や日焼け等が原因で衰えた新陳代謝を高めます。
酒石酸は二つの不斉炭素を持つため、L-(+)-酒石酸、D-(-)-酒石酸、メソ酒石酸の三種類の異性体が存在します。天然に比較的多く存在するのはL体です。合成化学の分野でも酒石酸は頻繁に使用され、安価に入手可能なL-酒石酸あるいは酒石酸誘導体を出発物質とした全合成や、不斉反応の開発が行われています。