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化学に関する様々なサブスクリプション

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近年、様々なサブスクリプション(サブスク)のサービスが登場し、高価な物やサービスを購入せずに、一定期間使用することができるようになってきています。そこで、化学の研究や教育に活用できるサブスクを調べてみました。

サブスクリプションの現状

まず、一般的なサブスクリプション(サブスク)の定義ですが、「定期購読、継続購入」を意味し、商品やサービスを所有・購入するのではなく、一定期間利用できる権利に対して料金を支払うビジネスモデルを指します。カタカナにすると真新しいように見えますが、動詞のSubscribeを新聞や雑誌を購読するという意味で中高で習うように、英語としては一般的な言葉です。

近年では、車の新しい所有形態や動画配信サービス、個人向けクラウドストレージの利用形態としてこのサブスクが使われています。サービスにより異なりますが、基本的な仕組みは毎月や毎年、購読料金を支払うことで支払っている間だけ物を所有したりサービスを利用できたりするものです。車の場合、新車を購入するとなると大金が必要になったりローンを組む必要がありますが、サブスクであれば毎月、数万円を支払うことで新車を一定期間使用することができます。そして契約期間を選択できたり、途中解約も可能であったりと、サービスを利用する期間を決めることができるのもサブスクの特徴です。

ソフトウェア

では本題に入り化学に関連するサブスクを見ていきます。一つ目は構造式の描画ツールであるChemDrawですが、パソコンのソフトウェアとしては高額でかつ、ライセンス管理が厳格なソフトウェアです。新しいバージョンの製品が発売されるごとに価格は上がり、一般価格では最もシンプルなChemDraw Prime 22でも20万円近くします。調べたところChemDrawには、一年ごとに契約を更新していくサブスク版もあり、ChemDraw Primeの1 year licenseは645ドル(約8万6千円)と永続版の半値以下で一年間使用することができます。研究テーマが頻繁に変わる場合、常に構造式を取り扱うわけではないので期間限定でこちらを契約するの方が出費を抑えられるかもしれません。

2023年4月時点の価格表(出典:PerkinElmer store)

二つ目はNMRの解析ソフトJASONです。ケムステでは登場時に紹介しましたが、アップデートが続けられており、機能の拡充が図られています。アカデミックユーザーなら年間3000円ほど、インダストリーユーザーでも年間16000円で多彩なNMRの解析ができるソフトが使えるのは、メリットが大きいと思います。また、定量NMR解析のためのソフトウェアツールであるSMILEQも同様にサブスクで提供されています。

ChemDrawは大学によっては、構成員なら誰でも使用できるサイトライセンスを契約している場合もありますが、こちらも年間で契約しているわけでありサブスクとも言えます。同様に大学全体で見れば、ScifinderやReaxysなどのデータベースサイト、電子ジャーナルの購読はすべて期間ごとに契約しているものでサブスク型のサービスと言えます。

 

次に紹介するのは、製品に含まれる化学物質を管理するデータベース、chemNEXTです。近年、世界各国で製品に含まれる化学物質の含有規制が強化されており、化学メーカーだけでなく多くの製造メーカーが含有化学物質情報の正確かつ迅速な調査と保証書作成を行うことが求められています。そんな中、このchemNEXTではサプライヤー各社の管理業務を一気通貫でサポートし、工数削減に貢献できるそうです。また、クラウドサーバー上のデータベースで情報を一元管理することでデータ保管・検索・履歴確認などの管理業務を効率化できます。

含有化学物質管理サービスchemNEXT 概要(出典:日立ハイテクプレスリリース)

この他にも試薬管理システムなど、化学関連のシステムでクラウドを使うサービスはいくつかありますが、クラウド型のほとんどが年間契約で使うものでありサブスク型のサービスと言えます。クラウド型のサービスでは、導入時に大掛かりなシステム構築が必要なかったり、サービスのアップデートが年間契約に含まれていたりとメリットは大きいものの、サービスの中断や乗り換えが難しいといったデメリットもあります。

ハードウェア

ハードウェアとしてまず紹介するのは純水製造装置です。ヤマト科学では蒸留水やイオン交換水を供給する装置のサブスクを行っており、月々4千円から2万4千円で装置を使用することができます。イオン交換カートリッジ等などの消耗品は定額に含まれないとのことですが、ラボが複数の建物に分散していて頻繫に蒸留水を購入したりタンクに入れて運搬している場合には、このサブスクはコストを抑えて装置の台数を増やすことができ、有用かもしれません。

JEOLでは分析機器のサブスクJEOL-rentoを展開していて、具体的には断面試料作製装置や集束イオンビーム加工観察装置を取り扱っています。3年か6年のタイミングで分析機器の入替継続か返却が可能であり、使わない機器がラボに鎮座し続けるリスクに対して柔軟に対応することができます。

JEOLではサブスクの他、オペレーティングリースやシェアリング、リユースに関するサービスを行っており、新品購入以外のオプションを提供しています。

アズワンが運営するWEBショップAXELではレンタルも紹介しています。2500を超える大小さまざまな機器がラインナップされており、機器によっては5日といった短期でもレンタルが可能になっています。単発の用途や保有している機器が壊れた時の繋ぎとして便利なサービスではないかと思います。

教育

最後に教育関係のサブスクとしてGroovy Lab in a Boxを紹介します。Groovy Lab in a Boxは米国で開発された実験キットで、子どもの好奇心を喚起し夢中になって遊びながら学び方を体得できるそうです。キットには実験ツールの他、レッスン動画や実験ノートが付属しており、自分の頭で考え、試行錯誤して作り上げることができるような構成になっています。解説動画は日本語と英語で解説されており、英語の勉強にもなるようです。コースは二つあり、4-7歳対象で全6回のJunior STEMistと5-12歳対象で全12回のSTEMistがあり、どちらも月々3980円で提供されています。

海外ではより本格的な実験キットのサブスクリプションも提供されており、MEL Scienceが提供するMEL Chemistryでは本格的な化学実験のキットが毎月自宅に届けられ、実験を楽しむことができます。

化学に関する機器やサービスはニッチな領域であり、車などの一般向けの製品とは異なり販売形態が多様になることは考えにくいですが、それでも様々なサブスクが出てきていることが調べてみて分かりました。研究室の予算は限られている中で研究資源を最大限活用できるように、多様な器具やソフトウウェアのサービスが提供されることを期待します。

関連書籍

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ラボ・実験機器に関するケムステ過去記事

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ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

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