[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

できる研究者の論文作成メソッド 書き上げるための実践ポイント

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4061556274″ locale=”JP” title=”できる研究者の論文作成メソッド 書き上げるための実践ポイント (KS語学専門書)”]

概要

どうすれば「インパクトがある論文」を書けるのか。
「本当に使える!」と大好評の『できる研究者の論文生産術』に続く第2弾!
原稿の各種スタイルはもちろん、雑誌の選び方、共著論文執筆のヒント、投稿後の対応など実践ポイントを解説した。爽快でユーモア溢れるシルヴィア節は健在で、初めて英語論文を書く大学院生に有益この上ない!
【訳者あとがき】
本書は、2014年に出版されたポール・J・シルヴィア(Paul J. Silvia)『Write It Up: Practical Strategies for Writing and Publishing Journal Articles』の邦訳で、同じく2007年に出版された『How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing』(『できる研究者の論文生産術―どうすれば「たくさん」書けるのか』講談社(2015))の続編ということになる。重点が「ともかく書く」ことにある前書と、「インパクトがある論文を書く具体的手順」にある本書は、2冊で1冊ともいえる関係にあり、どちらを先に読んでも楽しめる。
本書の目標は、《インパクトがある論文》を書くことだ。「論文はインパクトが大切だ。ただ発表すればよいというものではない」の一文(6ページ)に示される通りである。そして、そのための具体的な手順―豊富な執筆・査読経験に根ざした具体的なノウハウや匙(さじ)加減―がステップごとに伝授される。一般的手順にとどまらず、なぜ多くの研究者、特に初心者が、《インパクトがある論文》でなく《どんな論文でも出せればいい》という状態に陥ってしまうのかがユーモアを込めて明快に指摘されているので、執筆のモチベーションがあがり、精神的負担が軽くなる。このあたりは、心理学者の面目躍如たるものだろう。(講談社BooksCrubより)

対象

  • 学術論文を執筆しようとする研究者
  • 学術論文をいま執筆している研究者
  • 卒論・修論・博論などを書いている大学生・大学院生

内容

講談社より送付されてきた書籍。こういった書籍はあまり読んだことがないのだが、最近ありきたりの表現ばかり使っている自分にちょうど嫌気がさしていたので、良い機会だ考え、夜中に読了。上述のとおり、以前ケムステでも紹介した「できる研究者の論文生産術」と同著者が執筆した日本語訳版だ。

[amazonjs asin=”4061531530″ locale=”JP” title=”できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)”]

同書はアマゾンなどでも、かなり評価の高い書籍だ。前書が論文原稿を執筆するための”心理作戦“を説明しているのに対して、その続編である本書籍は論文執筆に関するHow toモノ。論文原稿をブラッシュアップするための”大技小技”が述べられている。とはいっても、英文表現の書き方というわけではない(そういったいくつか項目はあるが)。あくまでも「よい」論文を執筆して投稿・発表するまでの方法が記載されている。そして、その内容が気軽に読める読み物形式であるということ。文体も堅苦しくなく、各所にわかりやすい例えやユーモアが散りばめられている。

本書は、計画と準備(I部)、論文を書く(II部)、論文を発表する(III部)の3部構成でそれぞれの内容に各章がある。折角なので章ごとの概要と記憶に残った文章をすこしだけ紹介しよう。

I部 計画と準備

第一章:投稿論文雑誌の選び方。論文選定の指標などの説明がされている。

雑誌を選ぶタイミングとして最適なのは、研究を開始する前だろう

「研究開始前に雑誌を選んでおくというのが奇妙にしか聞こえないようなら、不採用になったときの投稿先を論文執筆前に考えておくという考えも、妄想や戯言にしか聞こえないのだろう」

第二章:語調と文体。論文というよりも文章を書くときに確認しておきたい内容が記載されている。

「無知のはびこるところでは、当然ながら極論もはびこるわけで、利いた風な説ー「短縮形は使うべからず!」..(中略) といった説が、たいがいの学科で、ライティングの指導としてまかりとおってしまう」

ライティングの本を読むこと。少なくとも年1冊は読む

第三章:共著論文執筆のヒント。このような内容で一章書いてある書籍も珍しい(笑)。

「共著論文における最大の間違いは、執筆を分担し、並行して書き進めることだろう」

II章 論文を書く

第四章:「序論」を書く。構成用テンプレートを準備するとよいとのこと。

よい序論冒頭部分というのは、逆三角形のように、概論からはじまって研究への詳細へとフォーカスしていくものだ。

第五章:「方法」を書く。このセクションは書きやすいし、書き損なうことも少ない。なぜなら実際にやったことだから。

「ごまかすのは」無理といった金言を思い出すのもよいだろう。

第六章:「考察」を書く。伝えたい内容を再確認し、重要な諸問題との関係性を浮き彫りにする。

ベットの下に「欠点」を隠してどうにかなることなどありえない。

第八章:奥義の数々。

III部 論文を発表する

第九章:雑誌とのお付き合い

第十章:論文は続けて書く

総じて読み物として大変面白いので、これをよんで良い論文を書く技術を身に付けようと思わず、気軽に寝る前などに読むのがよいのではないでしょうか。

論文執筆に関するケムステ内関連記事はこちら 論文執筆ABC

関連書籍

ケムステ紹介関連書籍書評

その他新書

[amazonjs asin=”4862832113″ locale=”JP” title=”プロジェクトとしての論文執筆: 修士論文・博士論文の執筆計画”]
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. Rではじめるケモ・マテリアルズ・インフォマティクスープログラミン…
  2. ベーシック反応工学
  3. 経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】
  4. 透明金属が拓く驚異の世界 不可能に挑むナノテクノロジーの錬金術
  5. 【書籍】研究者の仕事術~プロフェッショナル根性論~
  6. 有機化学1000本ノック【命名法編】【立体化学編】
  7. 手で解く量子化学I
  8. ヘゲダス遷移金属による有機合成

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学者のためのWordマクロ -Supporting Informationの作成作業効率化-
  2. 中西 和樹 Nakanishi Kazuki
  3. (S)-5-(ピロリジン-2-イル)-1H-テトラゾール:(S)-5-(Pyrrolidin-2-yl)-1H-tetrazole
  4. 2017年(第33回)日本国際賞受賞者 講演会
  5. CSJジャーナルフォーラム「ジャーナルの将来像を考える」
  6. 「水素水」健康効果うたう表示は問題 国民生活センターが業者に改善求める
  7. アロイ・フュルスナー Alois Furstner
  8. 化学徒よ!! 9月23日(祝)は産総研@つくばに集合だ! #産総研特別公開2025「語ろうぜ、[研究]愛。」開催!
  9. よくわかる最新元素の基本と仕組み
  10. 有機合成化学協会誌2020年4月号:神経活性化合物・高次構造天然物・立体選択的エーテル環構築・二核ルテニウム錯体・多点認識型含窒素複素環カルベン

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年1月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP