[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

マイケル・クリシェー Michael J. Krische

[スポンサーリンク]

マイケル・クリシェー (Michael J. Krische、1966年9月16日-)は米国の有機化学者である。米テキサス大学オースティン校 教授。(写真引用:研究室ホームページより)

経歴

1989 カリフォルニア大学バークレー校 B.S.取得
1989–1990 ヘルシンキ大学 フルブライトフェロー (Ari M. P. Koskinen教授)
1996 スタンフォード大学 化学科 博士号取得(Barry M. Trost教授)
1997–1999 ルイ・パスツール大学 NIH博士研究員(Jean-Marie Lehn教授)
1999–2003 テキサス大学オースティン校 助教授
2004–現在 テキサス大学オースティン校 教授

 

受賞歴

2003 Alfred P. Sloan Research Fellow
2005 The Society of Synthetic Chemistry, Japan Lectureship on Organic Synthesis
2007 ACS Elias J. Corey Award
2009 Humboldt Foundation Senior Research Award
2010 Mukaiyama Award, Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan (SSOCJ)
2013 ACS Cope Scholar Award
2013 Japanese Society for the Promotion of Science (JSPS) Research Fellowship
2015 Royal Society of Chemistry, Pedlar Award

 

研究概要

水素移動を経由する炭素-炭素結合形成反応

Ru、Ir、Osなどの金属触媒を用いた水素移動を経由する炭素-炭素結合形成反応の開発を行っている。本手法は、環境負荷の少ない炭素-炭素結合形成反応として近年注目されている。2000年代前半は水素ガスを還元剤として用いた炭素-炭素結合形成反応を、2000年中頃以降は、基質内の水素移動を経由したredox neutralな独自手法を用いている。

水素ガスを用いた還元的C–C結合生成反応(引用:J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 15156.)

ルテニウム水素移動型触媒とキラルリン酸とを用いたエナンチオ・ジアステレオ選択的C–C結合生成反応(引用:Science 2012, 336, 324.)

redox neutralで副生成物フリーのC–C結合生成反応(引用:J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 15134.)

本反応では、アルコールまたはアルデヒドに対し、オレフィン類や酢酸アリル類などの多様な基質が適用可能である。さらに、キラル配位子と組み合わせた金属触媒の存在下では、高不斉収率で連続不斉中心を有する炭素-炭素結合形成物を合成することもできる。

また、水素移動型キラルイリジウム触媒は、Krische Ir CatalystとしてSigma-Aldrichから販売されている。

*海外研究記にも関連研究が紹介されているので参照のこと。

天然物合成

上に示した水素移動型反応を鍵反応とする天然物合成を行っている。特に、ポリケチド類やマクロライド類が合成対象となる。

水素移動を経由する炭素-炭素結合形成反応を用いることによって、合成標的中の水酸基の不斉中心構築と炭素-炭素結合形成とを一挙に行い、効率的に天然物骨格へと導くことができる。

オリジナル反応を駆使したBryostatin 7の全合成

関連論文・著書

  1. Jang, H.-Y.; Huddleston, R. R.; Krische, M. J. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 15156. DOI: 10.1021/ja021163l
  2. J. R. Zbieg, E. Yamaguchi, E. L. McInturff, M. J. Krische, Science 2012, 336, 324. DOI: 10.1126/science.1219274
  3. Bower, J.; Skucas, E.; Patman, R. L.; Krische, M. J. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 15134. DOI: 10.1021/ja077389b
  4. Kim, I. S.; Ngai, M, -Y.;  Krische, M. J. J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 6340. DOI: 10.1021/ja802001b
  5. Zhang, Y. J.; Yang, J. H.; Kim, S. H.; Krische, M. J. J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 4562. DOI: 10.1021/ja100949e
  6. Nguyen, K. D.; Park, B. Y.; Luong, T.; Sato, H.; Garza, V. J.; Krische, M. J. Science 2016, 354, 300. DOI: 10.1126/science.aah5133
  7. Han, S. B.; Hassan, A.; Kim, I. S.; Krische, M. J. J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 15559. DOI: 10.1021/ja1082798
  8. Lu, Y.; Woo, S. K.; Krische, M. J. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 13876. DOI: 10.1021/ja205673e
  9. Wang, G.; Krische, M. J. J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 8088. DOI: 10.1021/jacs.6b04917
  10. Shin, I.; Hong, S.; Krische, M. J. J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 14246. DOI: 10.1021/jacs.6b10645

関連リンク

「シカゴとオースティンの6年間」 山本研/Krische研より(海外研究記)

The Krische Research Group

Krische Ir catalyst (Sigma-Aldrich)

 

Orthogonene

投稿者の記事一覧

有機合成を専門にするシカゴ大学化学科PhD3年生です。
趣味はスポーツ(器械体操・筋トレ・ランニング)と読書です。
ゆくゆくはアメリカで教授になって活躍するため、日々精進中です。

http://donggroup-sites.uchicago.edu/

関連記事

  1. 櫻井英樹 Hideki Sakurai
  2. チャイタン・コシュラ Chaitan Khosla
  3. 水島 公一 Koichi Mizushima
  4. 竜田 邦明 Kuniaki Tatsuta
  5. マーティン・オストライヒ Martin Oestreich
  6. ガレン・スタッキー Galen D. Stucky
  7. ロバート・ノールズ Robert R. Knowles
  8. ネイサン・ネルソン Nathan Nelson

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ナノ粒子で疾病の発生を容易に追跡
  2. 招福豆ムクナの不思議(6)植物が身を護る化学物資
  3. アルデヒドのC-Hクロスカップリングによるケトン合成
  4. ケー・シー・ニコラウ K. C. Nicolaou
  5. アザジラクチンの全合成
  6. 酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化
  7. カーボンナノチューブの毒性を和らげる長さ
  8. ウォルター・カミンスキー Walter Kaminsky
  9. ウギ反応 Ugi Reaction
  10. 複雑化合物合成にも適用可能なC-H酸化反応

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

注目情報

注目情報

最新記事

第121回―「亜鉛勾配を検出する蛍光分子の開発」Lei Zhu教授

第121回の海外化学者インタビューは、Lei Zhu教授です。フロリダ州立大学 化学・生化学科で、亜…

高知市で「化学界の権威」を紹介する展示が開催中

明治から昭和にかけて“化学界の権威”として活躍した高知出身の化学者=近重真澄を紹介する展示が高知市で…

ケムステバーチャルプレミアレクチャーの放送開始決定!

主に最先端化学に関する講演者をテーマ別で招待しオンライン講演を行っていただくケムステバーチャルシンポ…

分子運動を世界最高速ムービーで捉える!

第275回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 博士課程・清水俊樹 さんに…

「未来博士3分間コンペティション2020」の挑戦者を募集

科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業(次世代研究者育成プログラム)「未来を拓く地方協奏プラ…

イグノーベル賞2020が発表 ただし化学賞は無し!

「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」に対して贈られるノーベル賞のパロディである「イグノーベル…

電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ②

前回に引き続き(間がだいぶ空いてしまいましたが、、、)Signals Notebookの使い…

化学者のためのエレクトロニクス講座~有機半導体編

このシリーズでは、化学者のためのエレクトロニクス講座では半導体やその配線技術、フォトレジストやOLE…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP