7日午前、富山大学工学部の実験棟で火事があり、研究室の一部を焼きました。
火事の原因は実験用ヒーターの過熱でした。
7日午前8時過ぎ、富山大学工学部の化学系実験研究棟から煙が出ていると学生が守衛に連絡し、守衛が119番通報しました。
火はおよそ20分で消し止められ、けが人はいませんでした。
出火場所は研究棟4階にある物質生命工学科の実験室で、守衛が駆けつけたときは鍵がかかっていて中には誰もいなかったということです。
警察と消防は実況見分し、出火原因を土などを乾燥させる実験用ヒーターの過熱と断定しました。
調べによりますと、このヒーターは、6日午後1時ころから午後9時ごろまで学生らが実験に使っていたということで、この実験室では日常的に、ヒーターを長時間にわたり使っているということです。 (引用:北日本放送)
最近多いですね。多いと言うのはこのようにニュースになる事件のことです。大きいものから小さいものまでいれたらほぼ世界中で毎日研究室での事件は起こっています。いわゆる研究の現場ですから。事件は会議室でなく現場で起こってる(ちょと古いですね・・)わけです。とくに大学関連の研究室の事故は企業よりも数倍から数百倍起こっているらしいです。
上の写真は最近C&E newsに紹介された(C&E news, 2005, 82, 35)オハイオ州立大学のコールマン研究室であった事件後の写真です。どうやら火災が起こり研究室が全焼したようです。
原因は、棚が壊れヘキサンのビンが大量に割れたことから始まりました。
それを片付けていた学生が割れたビンで怪我をし、さらにヘキサンが充満した匂いがものすごかったためエバポレートするまで待てばよいと研究室全員が隣のセミナー室に逃げました。
その間に研究室内に充満したヘキサンに何かの電気製品のスパークにより引火し、爆発したと言うことです。
このようなことは往々にあるということで、コールマン研では全体に注意を促すべく、C&E newsへの取材を受けたわけです。
実際、日本でも思い出す限り数年前に慶応の有名研究室での爆発事故、最近の東北の理化学研究所でのカリウム事件等があります。研究者に身近な試薬ではパークロリドやパーオキシド、ジアゾ化合物やニトロ化合物、金属単体、溶媒ではエーテル、ベンゼンなど例を挙げるとキリがありません。
一回起きればわかると思いますがおきてからでは遅いです。ただ、注意して使えば決してそんなことは起こらないのです。
こう注意を促すために書きましたが、一般の生活をしている方が別に世の中で話している化学物質がすべて危ないみたいな感じには受け取らないでほしいです。危ないものはすぐに広がりますが、天然がよいと言われているものもすべて同じ化学物質ですから。
話はずれましたが研究者の皆さんも気をつけましょう。
関連書籍
外部リンク
- 化学実験における事故
- 教科書にない実験マニュアル
- JST失敗知識データベース
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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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