[スポンサーリンク]

ケムステVシンポ

第11回ケムステVシンポジウム「最先端精密高分子合成」を開催します!

[スポンサーリンク]

第11回ケムステVシンポ、化学の中でも一大勢力を占める高分子科学から満を持しての登場です!

今回の会告記事は、ファシリテータでもある石割文崇先生(阪大工・講師)からの寄稿です。石割先生についてはケムステでも過去2度ほど取り上げており(こちらこちら)、若手~中堅世代で活躍されるホープの一人です。ケムステとしても実のところ高分子科学領域には取っかかりが少なかったのですが、石割先生の卓越したコミュ力と人脈をもって、あっという間に講演者とモデレータがあつまり、開催が確定致しました!

今回も分野の第一線で走る先生方を集めることができ、素晴らしいシンポジウムになること請け合いです。是非ご参加のほどよろしくお願いいたします。

——————-

みなさまタフにこの令和の世を生きていらっしゃいますでしょうか?今回ファシリテーターを務めます阪大講師の石割です。私は最初はコロナでの自粛生活も論文執筆に注力できていいなぁと思っていたのですが(注:実際は全然書けていない)、そろそろ学会などで直接知人に会えないことが寂しく思えてきました。

大好評のケムステVシンポジウムですが、ケムステ内外から「もっと高分子合成に関する講演が聴きたい」との声が多くあがり、ケムステスタッフではないのですが推薦により石割に白刃の矢が(良い意味で)立つ形となりました。私自身の直接の専門ではないのですが、近年の高分子科学で最もホットな分野である「高分子の精密合成」をテーマにケムステVシンポジウムを開催します。

実施概要

第11回ケムステVシンポジウム

「最先端精密高分子合成」

開催日:2020年11月27日(金)17:00〜19:00
会場:オンライン
・講演者はZoom使用・YouTube Liveの限定URL配信
・録画は4日間ほど限定公開(申込時のURLが必要です)
・URLは開催前日21時ごろに配布(前日21時以降の登録者には、開始10分前に送付)
定員:先着2000名(途中参加・退出・時間差視聴自由)
言語:日本語
参加費:無料

講演者(敬称略):
大内 誠 (京大・工)「高分子らしさを探究する精密高分子合成」
東原 知哉(山形大・理工)「π共役高分子を環境にやさしく精密につくる」
前田 勝浩(金大・理工)「ポリアセチレン類の精密合成と機能発現」

講演時間:各25〜30分程度(質疑応答を含む)

質疑応答はYouTubeのチャットで行う予定です.時間的制約があるので全ての質問は拾えませんが,講演者は講演後に確認しますので,ぜひ積極的にお願いいたします.

参加登録:Connpassイベントページで行ってください・当日16:45まで受付Connpass利用ガイドはこちら

Vシンポ参加登録はこちら

*参加登録してURLさえ入手すればYouTube Liveに間に合わなくても視聴できますので,是非参加登録をお願いします.

Twitterハッシュタグ:#ケムステVシンポ #精密高分子合成

主催:Chem-Station
後援:高分子学会
協賛:東京化成工業株式会社 / メルク(Sigma-Aldrich) / 島津製作所
ファシリテーター:石割文崇 (阪大・講師)
モデレーター:清川慎介(香港科技大・院生、ケムステスタッフ)、香門悠里(阪大・講師)、風間茜(信州大・院生)

Live配信後の動画の取り扱い

配信の後日、講演者が希望する範囲で編集した動画をYouTubeケムステチャンネルにアップします。

是非、ご視聴・チャンネル登録・高評価お願いします!

開催趣旨

高分子合成の分野と低分子合成の分野には大きな差がある、とはよく言われることです、ケムステの過去記事でも「高分子と低分子の壁」として述べられています。その大きな壁の一つは高分子の化学構造式にあります。低分子化合物の化学構造は一個の構造式で完全に記述できます。一方、高分子化合物を化学式で記述しようと思うと(A)nという形式になりますが、これが曲者です。nが重合度、Aがモノマーユニットで、カッコを突き抜けた化学結合 ( ) によりこの構造がn個連続していることを表そうとしています。しかし、精密重合では無い通常の重合反応に合成された高分子では、nは様々な値を持つ高分子の混合物になっており、また両末端の化学構造も不明です。このような状況を解決し、分子量が揃い、かつ、両末端の構造も明確な高分子が合成できる方法は精密重合法と呼ばれています。この精密重合法があれば下記のような様々な魅力的かつ機能的な高分子の合成が可能になります。

①分子量分布が小さく分子量の揃った高分子の合成
②末端構造が明確な高分子の合成
③ブロックコポリマーの合成
④星型、環状などの特殊なトポロジーを持つ高分子の合成
⑤表面開始重合によるポリマーブラシの合成 など

逆に言えば、上記のような高分子の合成は精密重合法が無い高分子では実現できないのですが、高分子化学の初期(1950年〜)では、精密重合はもっぱらビニル基を連鎖重合して合成されるビニルポリマー(ポリスチレン、アクリル樹脂など)と開環重合においてのみ実現可能と考えられていました[1]。しかし、2000年頃からは、通常の有機反応を繰り返してポリマーを得る逐次重合で合成されるポリマー(ポリエステル、ポリアミドなど)においても精密重合が実現可能になり[2]、この頃に高分子の教科書が大きく書きかわることになりました。さらに、2005年頃には発光特性や電導特性のある導電性ポリマーでも精密重合が達成され[2]、機能性高分子材料の新たな可能性が拓かれるようになり、「CSJカレントレビュー:精密重合が拓く高分子合成」でも特集され、高分子科学において最もホットな分野のひとつです。
今回は近年精密重合の分野で著名な、京都大学 大内 誠 先生、山形大学 東原 知哉 先生、金沢大学 前田 勝浩 先生に講演をお願いしております。大内先生には最も歴史のあるビニルポリマーにおける精密合成の最前線について。東原先生には近年ホットな導電性ポリマーの精密合成について。前田先生には、光学分割カラムの固定相としても機能し、2019年には岡本佳男先生日本国際賞を受賞したことでも有名な、機能を持つ特殊構造ポリマーの代表格のらせんポリマー[3]の精密合成の最前線について講演していただきます。本Vシンポジウムを通じて、高分子を専門とする方でもしない方でも、最新の精密重合によって合成される高分子とその機能や魅力について存分に学び、楽しんでいただけると思っております。多くの方のご参加をお待ちしております!!

参考文献

  1. R. B. Grubbs, R. H. Grubbs, Macromolecules 2017, 50, 6979−6997.
  2. T. Yokozawa, A. Yokoyama, Chem. Rev. 2009, 109, 5595–5619.
  3. E. Yashima, K. Maeda, H. Iida, Y. Furusho, K. Nagai Chem. Rev. 2009, 109, 6102–6211.

協賛企業からのお知らせ

東京化成工業

ウェブサイトをリニューアルしました。ぜひお越しください。
弊社では,高分子や有機半導体の合成にお役立ていただける製品パンフレットをご用意しています。
モノマーの製品パンフレットはこちら https://bit.ly/38fxllv
双性イオンモノマーの製品パンフレットはこちら https://bit.ly/3mOmlzp
有機半導体ビルディングブロックの製品パンフレットはこちら https://bit.ly/2TXVAfj
遷移金属触媒の製品パンフレットはこちら https://bit.ly/3p5kOXM

メルク(Sigma-Aldrich)

◆精密ラジカル重合ガイドブック◆
ATRPやRAFT、NMPなどの精密ラジカル重合法(CRP)は1990年代に開発され、すでに研究レベルでは汎用的な手法であり、工業化も検討されています。CRPに関するレビューや実験プロトコール集が掲載されたガイドブックはこちら⇒http://bit.ly/2HKK7xe_CRP

 

島津製作所

 

今年で創業145周年を迎えました。
人々の願いを実現し、社会に貢献するために。
島津製作所はこれからも挑戦を続けていきます。
→詳しくはこちら
分析計測技術に関するWebinar動画を公開中!
会員制サービス「Shim-Solutions Club」に是非ご登録下さい(登録無料)。
→詳しくはこちら

 

お願い:本Vシンポは協賛企業の支援を受けて完全無料で運営しています。ぜひ協賛企業のウェブサイトを訪問してください。

アーカイブ動画(追記)

第12回ケムステVシンポは盛会で修了いたしました。編集して公開できる部分を公開しています。ぜひ御覧ください。

関連リンク

大内 誠

東原 知哉

前田 勝浩

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 歪んだアルキンへ付加反応の位置選択性を予測する
  2. 理論的手法を用いた結晶内における三重項エネルギーの流れの観測
  3. 水素化ナトリウムの酸化反応をブロガー・読者がこぞって追試!?
  4. NMRデータ処理にもサブスクの波? 新たなNMRデータ処理ソフト…
  5. 【5月開催】第八回 マツモトファインケミカル技術セミナー 有機金…
  6. オペレーションはイノベーションの夢を見るか? その3+まとめ
  7. 異分野交流のすゝめ
  8. Slow down, baby, now you’r…

注目情報

ピックアップ記事

  1. アザヘテロ環をあざとく作ります
  2. 産総研、バイオから環境まで応用可能な新しい質量分析技術の開発に成功
  3. 【速報】2017年ノーベル化学賞は「クライオ電子顕微鏡の開発」に!
  4. 第16回 結晶から結晶への化学変換 – Miguel Garcia-Garibay
  5. 第85回―「オープン・サイエンス潮流の推進」Cameron Neylon教授
  6. アンモニアを室温以下で分解できる触媒について
  7. 炭素原子のまわりにベンゼン環をはためかせる
  8. 光触媒で抗菌・消臭 医療用制服、商品化へ 豊田通商 万博採用を機に
  9. SNS予想で盛り上がれ!2022年ノーベル化学賞は誰の手に?
  10. ミケーレ・パリネロ Michele Parrinello

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年10月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

日本薬学会第145年会 に参加しよう!

3月27日~29日、福岡国際会議場にて 「日本薬学会第145年会」 が開催されま…

TLC分析がもっと楽に、正確に! ~TLC分析がアナログからデジタルに

薄層クロマトグラフィーは分離手法の一つとして、お金をかけず、安価な方法として現在…

先端の質量分析:GC-MSおよびLC-MSデータ処理における機械学習の応用

キャラクタライゼーションの機械学習応用は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)およびラボオートメ…

原子半径・電気陰性度・中間体の安定性に起因する課題を打破〜担持Niナノ粒子触媒の協奏的触媒作用〜

第648回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科(山口研究室)博士課程後期2年の松山…

リビングラジカル重合ガイドブック -材料設計のための反応制御-

概要高機能高分子材料の合成法として必須となったリビングラジカル重合を、ラジカル重合の基礎から、各…

高硬度なのに高速に生分解する超分子バイオプラスチックのはなし

Tshozoです。これまでプラスチックの選別の話やマイクロプラスチックの話、およびナノプラスチッ…

新発想の分子モーター ―分子機械の新たなパラダイム―

第646回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機反応論研究室 助教の …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP