[スポンサーリンク]

ケムステニュース

国公立大入試、2次試験の前期日程が実施 ~東京大学の化学の試験をレビュー~

[スポンサーリンク]

国公立大学入試の2次試験前期日程が25日と26日に行われた。初日1時限目は、159大学541学部で22万7524人が受験。志願倍率は前年と同じ3・2倍。 (引用:朝日新聞2月25日)

合格発表は3月10日ということで、受験生の皆さんに桜が咲き4月から輝かしい、大学生活が始まることを心からお祈りしています。

以前よりケムステスタッフがセンター試験の化学を解いてみる企画を幾度か行い、また東大と京大の問題に関しては専門の有機化学のみの問題を解くという企画も行いました。今回は、懲りずに2017年の試験の東大化学の問題独自に解説したいと思います。

第1問

第1問は、有機化学です。

問題アは元素分析の基礎知識の穴埋めで、イは水と二酸化炭素の量をもとに分子式を求める問題です。ウでは、イの答えから構造を推定する問題です。問題をよく読むと、不飽和エステルと加水分解物は三つの炭素原子を持つカルボン酸と書いてあるので難しくはないと思います。エは、構造異性体をすべて書く問題ですが、不飽和結合があるので、EZ体と環状構造の異性体があり、頭が柔らかくないと難しいと思います。オはまず、Aの構造をBの異性体として推定し、それが、加水分解により生じる生成物を推定しします。高校化学の不安定な化合物の代名詞はアルデヒドなので問題のトリックがわかれば簡単だと思います。カは重合度を求めれば含まれる窒素の数はその二倍となり計算ができます。キは、解説サイトにより異なりますが、水素結合が水とエステル間で形成されるためであると考えられます。

第2問

第2問は、無機化学です。

ア(1)は、問題上に試薬、熱、電気以外の方法で還元となると光しかないですし、(2)還元できる有機試薬といえばギ酸なので、覚えていればすぐに分かると思います。イウエは、高校無機化学の要、無機金属の分離手段を覚えていると答えることができる問題です。正直、この無機の暗記が高校生の化学嫌いを助長していると思います。ちなみに筆者は全部忘れました。オは、まずZnSの沈殿が生じない条件の[S2-]を求める必要があることに気づくのが第一段階でそれをKspZnSを使って求めるのが第二段階です。さらに二つの平衡式を立てて[HS]を消し、求めた[S2-]を使って[H+]を求めるのが最終段階です。最初の言葉のトリックに気が付かないと難しい問題となります。

無機イオンの定性と定量には、イオンクロマトグラフがあるので暗記はいりません

カとキは、窒素酸化物の酸化数と水との反応を問う問題です。クは、キをヒントに平衡に気づけば答えられると思います。ケは王道、不働態です。コは、NO2、不対電子、N2O4生成で安定化、エネルギーを放出という理由ですが、この過程を高校生が気づくには化学反応を理解している必要があると思います。

第3問

アは電池の基本問題で、イは電池の基本的な計算問題です。ウは、電池の反応と分圧の意味、理想気体の状態方程式が使えれば溶ける問題です。エオは反応促進と触媒の原理を問う基本問題だと思います。

カは残存する水素の量を算出した後、消費されたされた水素計算して発生したアンモニア量を測定する計算問題です。最後のキは、平衡の応用問題となりヒントから平衡式を立てられるかというところがキーだと思います。現実問題としてこの反応は、触媒反応を用いても高温高圧が必要で常温常圧のアンモニア合成法が盛んに研究されています。

常温常圧でアンモニア触媒合成に成功した触媒(こちらから引用)

総括

二科目で150分なので、時間がよりかかる物理に時間をかけるとすると、高速で解く必要があるレベルだと思います。

東大の問題なのでさぞマニアックな問題が出るかと思いましたが、高校化学の内容に沿った問題で、化学グランプリで目指すような化学オタクにとっては物足りない内容かもしれません。もちろん難関国立大の基本は、文理バランス良くできることが求められているので、高校生には勉強しやすいと言えます。

関連書籍

関連リンク

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 114番元素と116番元素の名称が間もなく決定!
  2. 分子素子の働き せっけんで確認
  3. 2010年日本化学会各賞発表-学術賞-
  4. 東芝:新型リチウムイオン電池を開発 60倍の速さで充電
  5. 環境省、04年版「化学物質ファクトシート」作成
  6. 人名反応から学ぶ有機合成戦略
  7. 昭和電工、青色LEDに参入
  8. シロアリの女王フェロモンの特定に成功

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. クリストフ・レーダー Christoph Rader
  2. アマゾン・アレクサは化学者になれるか
  3. 続々と提供される化学に特化したAIサービス
  4. PL法 ? ものづくりの担い手として知っておきたい法律
  5. 第147回―「カリックスアレーンを用いる集合体の創製」Tony Coleman教授
  6. 重いキノン
  7. 第30回「化学研究の成果とワクワク感を子供たちにも伝えたい」 玉尾皓平教授
  8. ハリーポッターが参考文献に登場する化学論文
  9. 液相における粒子間水素移動によって加速されるアルカンとベンゼンの脱水素カップリング反応
  10. 不安定な合成中間体がみえる?

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年3月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

注目情報

最新記事

第29回 ケムステVシンポ「論文を書こう!そして…」を開催します

コロナ禍による規制も少しずつ緩和されてきて、逆にオンライン会議が逆に少し恋しくなっている今日この頃か…

マテリアルズ・インフォマティクス活用検討・テーマ発掘の進め方 -社内促進でつまずやすいポイントや解決策を解説-

開催日:2022/08/24 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

高分子固体電解質をAIで自動設計

第406回のスポットライトリサーチは、早稲田大学 先進理工学部 応用化学科 小柳津・須賀研究室の畠山…

スクショの友 Snagit

スクリーンショット(スクショ)は、手軽に画像や図をコピーすることができ、資料作成などにおいて便利な機…

第28回Vシンポ「電子顕微鏡で分子を見る!」を開催します!

こんにちは、今回第28回Vシンポの運営&司会を務めさせていただくMacyです、よろしくお願い…

量子アルゴリズム国際ハッカソンQPARC Challengeで、で京都大学の学生チームが優勝!!

そこかしこで「量子コンピュータ」という言葉を聞くようになった昨今ですが、実際に何がどこまでできるのか…

Nature主催の動画コンペ「Science in Shorts」に応募してみました

以前のケムステ記事で、Springer Nature社が独・メルク社と共同で、動画コンペ「Scien…

クオラムセンシング阻害活性を有する新規アゾキシアルケン化合物の発見―薬剤耐性菌の出現を抑える感染症治療薬への応用に期待―

第405回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院統合生命科学研究科 生物工学プログラム 細胞機能…

【著者インタビュー動画あり!】有機化学1000本ノック スペクトル解析編

今年4月に発売された書籍で、発売記念著者インタビュー動画も発売前に撮影したのですが、書籍の到…

Dihydropyridazinone環構造を有する初の天然物 Actinopyridazinoneを発見 ~微生物の持つヒドラジン生合成経路の多様性を解明~

第404回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院 天然物化学研究室の有馬 陸(あり…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP