[スポンサーリンク]

ケムステニュース

「第55回国際化学オリンピック スイス大会」 日本代表が決定!:代表チームへの特別インタビュー

[スポンサーリンク]

 「夢・化学-21」委員会と日本化学会では、このほど「第55回国際化学オリンピック スイス大会」に派遣する日本代表生徒4名を決定しましたのでお知らせいたします。開催期間は7月16日~25日の10日間で、スイス・チューリッヒで理論試験(筆記)、実験課題、国際交流などを行います。 (引用:4月5日日本化学プレスリリース)

昨年の7月8月に実施された化学グランプリ2022を勝ち抜き、今年の1月と3月の代表選抜試験を通過し、日本代表生徒となった下記の4名が発表されました。

  • 聖光学院高等学校 3年  鈴木 晴翔さん
  • 徳島市立高等学校 3年 田中 舜さん
  • 東海高等学校 3年 松坂 康平さん
  • 久留米大学附設高等学校 3年 山之内 望花さん

4人は、7月までに行われる強化訓練を経て、7月16日から25日まで開催される第55回国際化学オリンピック スイス大会に出場します。昨年まではオンラインでの実施でしたが、今年はついに現地開催となりスイスのチューリッヒ工科大学で理論試験や、実験課題、国際交流などが行われる予定です。

ケムステでは日本代表に決まった4人の生徒さんにインタビューを実施させていただきました。

左から鈴木さん、田中さん、松坂さん、山之内さん(日本化学会より提供)

1.化学オリンピック代表に選出された今のお気持ちはいかがでしょうか?

鈴木 晴翔さん

化学オリンピック代表になることができて純粋に嬉しいです。化学グランプリに出ようと決めてから1年半勉強してきて、結果を出せてよかったなと思います。ただ、代表内定の電話がかかってきたときは、実感はあまりありませんでした。この文章を書いている今は代表に決まってから1か月近く経っていますが、第1回の強化合宿があったりパスポートの申請をしたりと、少しずつ準備が始まりようやく実感がわいてきたような気がします。

2次選抜の前には学校の先生に協力してもらい、実験の練習をすることができましたし、試験直前には同期が応援のLINEをくれました。支えてくださった方々には本当に感謝しています。大会でいい結果を残して、応援してくださっている方々に恩返しができるように頑張ります。

田中 舜さん

選抜試験では分からない問題も多かったので通過できる自信はほぼありませんでした。そのため、代表に選ばれたという電話がかかってきたときには嬉しかったのと同時にかつてないくらい驚きました。自分の妄想が形作った夢を見ているかのようでした。

僕が代表に選ばれたのは本当に周囲の助けのおかげです。理論は父や、以前ISEFに出場したときお世話になった東京理科大学の先生に何度も考え方を質問しました。実験については徳島大学の先生の研究室にお邪魔し色々なことを教えてもらいました。今となっては、半年間ほぼすべての勉強時間を捧げて化学の各専門分野のテキストを勉強した自分自身もよく頑張ったとは思いますが、質問できる存在無しには為しえなかったことだと思います。本当に感謝しています。

松坂 康平さん

昨年、最終選抜で結果を残せず、悔しい気持ちが残っていました。今年、代表決定のご連絡を頂いた時は、本当に嬉しかったです。諦めずに頑張ってきて良かったと思いました。

また選出されたことに対しては、先輩や先生、家族、友人たちの支援や励ましが大きなエネルギー源となりました。特に、困った時にアドバイスをしてくださり、多くの質問に分かりやすく答えてくださった先輩、実験について基本から教えてくださった先生にはとても感謝しています。

山之内 望花さん

私が初めに化学グランプリに申し込んだ時は、高2のうちに参加しておきたい、というだけの軽い気持ちで、まさか自分が代表になるなんて夢にも思っていませんでした。しかし、一次から二次、代表候補、最終代表候補と1段階ずつ進んでいく中で、ただの可能性としての夢でしかなかった「日本代表」が、だんだん現実的な目標に変わっていき、同時に化学のことをどんどん好きになっていました。それでも、最後の選抜試験まで全く自信がなかったので、代表に決まったという電話を頂いたときは本当に驚き、嬉しかったです。

2.スイス大会での目標や意気込みを教えてください。

鈴木 晴翔さん

目標はもちろん金メダルです。

今年は4大会ぶりの実地開催ということで実験試験も行われるので、実験を頑張りたいです。大会本番までの間も強化合宿があるので、楽しみながら化学の勉強に取り組んで実験にも慣れていきたいです。

田中 舜さん

最近はコロナウイルス感染症の影響で何年間も実験試験が無かったので、今年から実験試験が復活するということで化学会の先生方も張り切っていらっしゃるという話を耳にしました。先生方の期待に応えられるよう実験でも頑張りたいと思います。昨年の中国大会では日本代表の4人は全員が金メダルを獲得したそうなので、僕たちの代も全員で金メダルをとりたいです。

松坂 康平さん

国際化学オリンピックに参加するにあたって、3つの目標を立てました。

まず、日本代表として参加させていただく以上、金メダルを目指したいと思っています。自分の限界に挑戦し、最高の結果を残せるよう頑張ります。

次に、今年は久しぶりに現地開催されることになり、海外の高校生と国際交流できることが非常に楽しみです。異なる国の化学に触れることで、化学の奥深さを学び、新しい友人や仲間を作ることも目標の一つです。

そして、オリンピックという貴重な経験を通じて自分自身成長したいと思っています。化学を通して、広い視野に立って物事を考えられる力を身につけたいと思います。

山之内 望花さん

昨年の先輩方に続き金メダルを獲得できるよう、楽しく勉強を進めていきたいと思っています。

過去問演習をする中で、私には弱点が数え切れないほどあるということを痛感しているので、代表の仲間や先生方、OBの先輩方に質問をして一つ一つ潰していくつもりです。実験に関しても知らないことだらけなので、強化合宿で教えて頂くことを確実に吸収していきたいです。

それと、国際大会では外国の選手ともたくさん交流し、チューリッヒの街を満喫したいです。

 

インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!化学オリンピックでのご健闘をお祈りいたします。

来年の化学オリンピックの選考を兼ねている化学グランプリ2023の申し込みも今月から始まりました。今年は、一次選考から会場での実施になり、化学を極めた生徒さんが会場に集まって一緒に問題を解くことになります。化学オリンピック サウジアラビア大会を目指して頑張ってください。

関連書籍

[amazonjs asin=”4254146817″ locale=”JP” title=”国際化学オリンピックに挑戦! 1 ―基礎―”] [amazonjs asin=”4254146825″ locale=”JP” title=”国際化学オリンピックに挑戦! 2 ―無機化学・分析化学―”]

関連リンク

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 「イスラム国(ISIS)」と同名の製薬会社→社名変更へ
  2. 2009年ノーベル賞受賞者会議:会議の一部始終をオンラインで
  3. 特許の関係を「地図」に ベンチャー企業が作成
  4. ChemDrawからSciFinderを直接検索!?
  5. 2015年化学10大ニュース
  6. 劣性遺伝子押さえ込む メンデルの法則仕組み解明
  7. タミフル―米国―厚労省 疑惑のトライアングル
  8. 化学工場で膀胱がん、20人に…労災認定議論へ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 高校生・学部生必見?!大学学術ランキング!!
  2. 荷電処理が一切不要な振動発電素子を創る~有機EL材料の新しい展開~
  3. 第49回「キラルブレンステッド酸に魅せられて」秋山隆彦教授
  4. 即戦力のコンパクトFTIR:IRSpirit
  5. UCLAにおける死亡事故で指導教授が刑事告訴される
  6. リチウムイオン電池の特許動向から見た今後の開発と展望【終了】
  7. Skype英会話の勧め
  8. ウォルフ転位 Wolff Rearrangement
  9. マイケル・グレッツェル Michael Gratzel
  10. 「科研費の採択を受けていない研究者」へ研究費進呈?

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2023年4月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

第42回メディシナルケミストリーシンポジウム

テーマAI×創薬 無限能可能性!? ノーベル賞研究が拓く創薬の未来を探る…

山口 潤一郎 Junichiro Yamaguchi

山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう、1979年1月4日–)は日本の有機化学者である。早稲田大学教授 …

ナノグラフェンの高速水素化に成功!メカノケミカル法を用いた芳香環の水素化

第660回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院理学研究科(有機化学研究室)博士後期課程3年の…

第32回光学活性化合物シンポジウム

第32回光学活性化合物シンポジウムのご案内光学活性化合物の合成および機能創出に関する研究で顕著な…

位置・立体選択的に糖を重水素化するフロー合成法を確立 ― Ru/C触媒カートリッジで150時間以上の連続運転を実証 ―

第 659回のスポットライトリサーチは、岐阜薬科大学大学院 アドバンストケミストリー…

【JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)】CAS SciFinder®と一緒に活用したいサイエンス辞書サービス

ケムステ読者の皆様には、CAS が提供する科学情報検索ツール CAS SciFind…

有機合成化学協会誌2025年5月号:特集号 有機合成化学の力量を活かした構造有機化学のフロンティア

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年5月号がオンラインで公開されています!…

ジョセップ・コルネラ Josep Cornella

ジョセップ・コルネラ(Josep Cornella、1985年2月2日–)はスペイン出身の有機・無機…

電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功

第658回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 農学研究科(生体機能化学研究室)修士2年の市川…

ティム ニューハウス Timothy R. Newhouse

ティモシー・ニューハウス(Timothy R. Newhouse、19xx年xx月x日–)はアメリカ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP