[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第68回―「医療応用を志向したスマート高分子材料の開発」Cameron Alexander教授

[スポンサーリンク]

第68回の海外化学者インタビューは、キャメロン・アレキサンダー教授です。英国ノッティンガム大学薬学部に所属し、生物医学的応用のために薬物、タンパク質、遺伝子を輸送するポリマーの研究を行っています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

もともとは、世界に存在する(しないかもしれない)ものを作れることが動機だったのですが、実際に何かの役に立つものを作れることがわかり、化学を続けています。現代の薬は化学に大きく依っています。優秀な医師―彼らもまた薬に頼っています―のおかげで2時間前に生まれた我が子を持つ経験からも、我々には常に優れた科学が必要だと気づかされました。これに少しでも貢献できるのであれば、正しい選択なのです。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

山岳ガイドです。少なくとも健康な自分になれるでしょうし…しかし、同時にそれは自分にとって非常に楽しい(他の)ことに仕事時間を使うチャンスでもあります。スカイ島のクイリン海嶺に敵う経験は、世界にそうはありません。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

新しい発見に挑戦し続け、新しい分子や材料を作ることによってです。生命の最も基本的なプロセスがどのように機能しているのか、エネルギーの適切な使い方をどう学べるのか、そして理性の価値とは・・・世界の人々がこういったことを理解する助けとなるにも、化学を学んだ人材は欠かせません。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

ベルセリウスダーウィンチューリングクリックなどは、当然ながら科学にとって興味深い方々です。しかし実際には、自分の曾祖父と一緒に過ごせるなら、とても魅力的だとずっと思っています。彼は信心深い人で、物質的な慰めがあまりなかった時代にスコットランドに住んでいました―おそらく生活のほとんどの時間は、冷たく、退屈で暗いものでしたが、息子が医者になれるような環境を築き、時代を超えて理想を育んでいきました。お互いの信念やライフスタイルが大きく異なっていたとしても、どのような価値観を共有していたのかを知ることは興味深いでしょう。今の生活が冷たく、暗く、退屈なものではないと思いたいですが、うーん・・・

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

約2年前、原子移動ラジカル重合(ATRP)を実施し、ちゃんとしたポリマーを一つと、増え続ける「私の失敗反応」カタログにもう一つが追加されました。そう、学生たちは研究室内のものがどこにあるのか教えてくれ、安全な手順を教えてくれ、その後、散らかったものを片付けてくれるのです・・・

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

最後に物語を読んだのは1993年のことで、アリス・ウォーカーの短編小説です。もちろん、面白半分に他の本を読んでみるのもいいでしょうし、アリス・ウォーカーの他の本を読むのも良いスタートになるでしょう。来年、もっと時間があれば・・・

原文:Reactions – Cameron Alexander

※このインタビューは2008年6月13日に公開されました。

関連動画

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第15回 有機合成化学者からNature誌編集者へ − Andr…
  2. 第八回 ユニークな触媒で鏡像体をつくり分けるー林民生教授
  3. 第134回―「脳神経系の理解を進める分析化学」Jonathan …
  4. 第42回「激動の時代を研究者として生きる」荘司長三教授
  5. インタビューリンクー時任・中村教授、野依理事長
  6. 第161回―「C-H官能基化と脱芳香族化を鍵反応とする天然物合成…
  7. 第15回 触媒の力で斬新な炭素骨格構築 中尾 佳亮講師
  8. 第54回「光を使ってレゴブロックのように炭素と炭素を繋げる」吉見…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. リチウムにビリリとしびれた芳香環
  2. 総合化学大手5社、4-12月期の経常益大幅増
  3. 目指せ化学者墓マイラー
  4. 浜地 格 Itaru Hamachi
  5. 光触媒で空気中に浮遊する”新型コロナウイルス”の感染性を消失させることに成功
  6. 水素化ほう素ナトリウム : Sodium Borohydride
  7. 採用が広がるユーグレナのバイオディーゼル燃料、ユーグレナバイオジェット燃料も完成
  8. 化学系ブログのランキングチャート
  9. 2010年日本化学会年会を楽しむ10の方法
  10. 第161回―「C-H官能基化と脱芳香族化を鍵反応とする天然物合成」Shu-Li You教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年3月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP