[スポンサーリンク]

天然物

アスタキサンチン (astaxanthin)

[スポンサーリンク]

アスタキサンチンは、節足動物に含まれる色素分子。エビやカニなどの甲殻類を茹でると赤くなる現象は、この色素のため。サケフラミンゴの色は、餌として摂取した甲殻類のアスタキサンチンに由来します。

 

詳細

節足動物のアスタキサンチンは、通常、クラスタシアニンと呼ばれるタンパク質に結合しており、この状態では暗い青色をしています。この現象は精製したタンパク質でも確かめられており、赤色から青色に変わるためには、タンパク質中の水分子の介在が必要です[1]。節足動物のアスタキサンチンは、茹でることでクラスタシアニンから脱離します。赤への変色は、甲殻類はもちろん、多くの昆虫類でも観察されます。甲殻類を食べて育ったサケは、クラスタシアニンがないため、生の切り身でも赤色です。

 

アスタキサンチンの分子モデル

GREEN2013astmovie.gif

参考論文

[1] “The molecular basis of the coloration mechanism in lobster shell: Beta-Crustacyanin at 3.2-A resolution.”?Ciaanci M et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2002?DOI: 10.1073/pnas.152088999

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4759814159″ locale=”JP” title=”機能性色素の科学: 色素の基本から合成・反応,実際の応用まで (DOJIN ACADEMIC SERIES)”][amazonjs asin=”4766408675″ locale=”JP” title=”色素細胞―機能と発生分化の分子機構から色素性疾患への対応を探る”]
Avatar photo

Green

投稿者の記事一覧

静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。

関連記事

  1. 水 (water, dihydrogen monoxide)
  2. メラトニン melatonin
  3. カルタミン
  4. アスピリン あすぴりん aspirin 
  5. シラフィン silaffin
  6. シラフルオフェン (silafluofen)
  7. ディスコデルモライド /Discodermolide
  8. トリニトロトルエン / Trinitrotoluene (TNT…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 熊田誠氏死去(京大名誉教授)=有機ケイ素化学の権威
  2. DNAを切らずにゲノム編集-一塩基変換法の開発
  3. ヘキサン (hexane)
  4. オキシム/ヒドラゾンライゲーション Oxime/Hydrazone Ligation
  5. キラル超原子価ヨウ素試薬を用いる不斉酸化
  6. 化学結合の常識が変わる可能性!形成や切断よりも「回転」プロセスが実は難しい有機反応
  7. ロビンソン・ガブリエルオキサゾール合成 Robinson-Gabriel Oxazole Synthesis
  8. 直接クプラート化によるフルオロアルキル銅錯体の形成と応用
  9. 鉄触媒空気酸化を伴う触媒的光延反応
  10. 無金属、温和な条件下で多置換ピリジンを構築する

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

久保田 浩司 Koji Kubota

久保田 浩司(Koji Kubota, 1989年4月2日-)は、日本の有機合成化学者である。北海道…

ACS Publications主催 創薬企業フォーラム開催のお知らせ Frontiers of Drug Discovery in Japan: ACS Industrial Forum 2025

日時2025年12月5日(金)13:00~17:45会場大阪大学産業科学研究所 管理棟 …

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2027卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

欧米化学メーカーのR&D戦略について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、欧米化…

有馬温泉でラドン泉の放射線量を計算してみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉は、日本の温泉で最も高い塩分濃度を持ち黄褐色を呈する金泉と二酸化炭素と放射性のラドンを含んだ…

アミンホウ素を「くっつける」・「つかう」 ~ポリフルオロアレーンの光触媒的C–Fホウ素化反応と鈴木・宮浦カップリングの開発~

第684回のスポットライトリサーチは、名古屋工業大学大学院工学研究科(中村研究室)安川直樹 助教と修…

第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」を開催します!

第56回ケムステVシンポの会告を致します。3年前(32回)・2年前(41回)・昨年(49回)…

骨粗鬆症を通じてみる薬の工夫

お久しぶりです。以前記事を挙げてから1年以上たってしまい、時間の進む速さに驚いていま…

インドの農薬市場と各社の事業戦略について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、インド…

【味の素ファインテクノ】新卒採用情報(2027卒)

当社は入社時研修を経て、先輩指導のもと、実践(※)の場でご活躍いただきます。…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP