[スポンサーリンク]

A

アンデルセン キラルスルホキシド合成 Andersen Chiral Sulfoxide Synthesis

[スポンサーリンク]

 

概要

メンチルスルホキシドにアルキルリチウムもしくはGrignard試薬を作用させて、光学活性スルホキシドを合成する手法。

基本文献

  •  Gilman, H.; Robinson, J.; Beaber, N. J. J. Am. Chem. Soc. 1926, 48 , 2715. DOI: 10.1021/ja01421a030
  • Andersen, K. K. Tetrahedron Lett. 1962 , 3, 93. doi:10.1016/S0040-4039(00)71106-3
  • Andersen, K. K.; Gaffield, W.; Papanikolaou, N. E.; Foley, J. W.; Perkins, R. I. J. Am. Chem. Soc. 1964 , 86 , 5637. DOI: 10.1021/ja01078a047
  • Andersen, K. K.; Bujnicki, B.; Drabowicz,J.; Mikolajczyk, M.; O’Brien, J. B. J. Org. Chem.1984, 49, 4070. DOI: 10.1021/jo00195a042

 

開発の歴史

Gilmanらによるスルホン酸エステルのグリニャール試薬の付加反応からアイデアを得たAndersenらは、1962年にメントールとトルエンスルホニルクロリドから調製できるメンチルスルホキシドを再結晶することで光学的に純粋にし、そこにグリニャール試薬を作用させることで、光学活性スルホキシドの合成に成功した。

 

反応機構

求核置換は立体反転をともなって進行する。
anders7.gif

反応例

Ethyl Deoxymonate Bの合成[1] andersen_s_3.gif

 

実験手順

配位子soxの合成[2]

2014-08-29_03-18-21

窒素下、 (S)-2-(2-bromophenyl)-4-isopropyl-4,5-dihydrooxazole (678 mg, 3.0 mmol)のTHF溶液 (15 mL) にゆっくりと n-BuLi (1.6 M in hexane, 2.1 mL, 3.3 mmol) をat –78 ˚C で加える。 –78 ˚Cで1時間撹拌後 (1R,2S,5R)-(-)-menthyl (S)-p-toluenesulfinate (971 mg, 3.3 mmol) の THF 溶液(15 m L)を加え、 –78 ˚Cで30分間、室温で30分間撹拌する。撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を水とbrineで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過、溶媒を減圧留去する。粗生成物はカラムクロマトグラフィー (hexane/EtOAc = 3:1)で精製し、目的の 配位子soxを白色固体として得る。

実験のコツ・テクニック

※光学活性スルホキシドを合成する別法にはSharpless-香月不斉エポキシ化などがある。しかし、不斉酸化によって得られるスルホキシドは光学的に純粋(>99%ee)で得ることが難しいため、現在でもアンデルセンのキラルスルホキシド合成が多用されている。

 

参考文献

[1] de la Pradilla, R. F.; Lwoff, N. Tetrahedron Lett. 200849, 4167. doi:10.1016/j.tetlet.2008.04.107

[2] Yamaguchi, K.; Kondo, H.; Yamaguchi, J.; Itami, K. Chem. Sci. 2013, 4, 3753 DOI: 10.1039/C3SC51206A 

 

関連反応

 

関連書籍

 

関連リンク

関連記事

  1. ソープ・チーグラー反応 Thorpe-Ziegler React…
  2. クライゼン転位 Claisen Rearrangement
  3. 有機トリフルオロボレート塩 Organotrifluorobor…
  4. カルバメート系保護基 Carbamate Protection
  5. コーリー・ウィンターオレフィン合成 Corey-Winter O…
  6. 光延反応 Mitsunobu Reaction
  7. 求電子的フッ素化剤 Electrophilic Fluorina…
  8. デス・マーチン酸化 Dess-Martin Oxidation

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. オキシ-コープ転位 Oxy-Cope Rearrangement
  2. 化学研究ライフハック: Firefoxアドオンで化学検索をよりスピーディに!
  3. 中学入試における化学を調べてみた
  4. 第十二回ケムステVシンポ「水・有機材料・無機材料の最先端相転移現象 」
  5. 「生物素材で新規構造材料を作り出す」沼田 圭司 教授
  6. 安全なジアゾメタン原料
  7. 化学系必見!お土産・グッズ・アイテム特集
  8. フリーデル・クラフツアルキル化 Friedel-Crafts Alkylation
  9. Hybrid Materials 2013に参加してきました!
  10. 硫黄配位子に安定化されたカルボンの合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP