[スポンサーリンク]

N

求核的フルオロアルキル化 Nucleophilic Fluoroalkylation

 

概要

カルボニル基への求核付加形式でパールフルオロアルキル基を導入するには、有機金属試薬にする必要がある。しかし多くは試薬の安定性に難があるため、実用性の高い条件はごく限られている。このため、現在でも研究開発余地の多い反応形式でもある。

トリフルオロメチル基の導入は最も簡便に行える。典型的な条件はMe3SiCF3 + F(Ruppert-Prakash法)である。

基本文献

<Ruppert-Prakash法>
  • Surya Prakash, G. K.; Krishmnamurti, R.; Olah, G. A. J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 393. DOI: 10.1021/ja00183a073
  • Surya Prakash, G. K.; Panja, C.; Baghoo, H.; Surampudi, V.; Kultyshev, R.; Mandal, M.; Rasul, G.; Mathew, T.; Olah, G. A. J. Org. Chem. 2006,71, 6586. doi:10.1021/jo060835d
<review>

 

反応機構

金属トリフルオロメチル試薬、金属パーフルオロアルキル試薬は、例えば以下の経路を経て容易に分解する。

反応例

アルコキシドによる活性化が可能なペンタフルオロエチル化試薬。[1] (参考:Chasing Methodologies)

パーフルオロアルキルスズ(IV)を系中生成させて行う条件。室温でも求核剤は安定で、簡便に行える。トリフルオロメチル化以外のフルオロアルキル化において良い結果を与える。[2]

DBU-ヘキサフルオロアセトン塩を用いる新規トリフルオロメチル化反応。試薬は固体で、安価に大量調製可能。[3]

取り扱い容易なボレート型のトリフルオロメチル化試薬[4]。

Rh-catalyzed Reformatsky型反応によるジフルオロエステルの導入[5]

参考文献

  1. Surya Prakash, G. K.; Wang, Y.; Mogi, R.; Hu, J.; Mathew, T.; Olah, G. A. Org. Lett. 2010, 12, 2932. doi:10.1021/ol100918d
  2. Kitazume, T.; Ishikawa, N. Chem. Lett. 1981, 1337. doi:10.1246/cl.1981.1337
  3. Riofski, M. V.; Hart, A. D.; Colby, D. A. Org. Lett. 2012, ASAP. doi:10.1021/ol303291x
  4. Levin, V. V.; Dilman, A. D.; Belyakov, P. A.; Struchkova, M. I.; Tartakovsky, V. A. Tetrahedron Lett. 2011, 52, 281. doi:10.1016/j.tetlet.2010.11.025
  5. Sato, K.; Tarui, A.; Kita, T.; Ishida, Y.; Tamura, H.; Omote, M.; Ando, A.; Kumadaki, I. Tetrahedron Lett. 2004, 45, 5735. doi:10.1016/j.tetlet.2004.05.099

 

関連反応

 

関連書籍

 

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ウォール・チーグラー臭素化 Wohl-Ziegler Bromi…
  2. ネバー転位 Neber Rearrangement
  3. 1,2-/1,3-ジオールの保護 Protection of 1…
  4. ディークマン縮合 Dieckmann Condensation
  5. 向山・鈴木グリコシル化反応 Mukaiyama-Suzuki G…
  6. 芳香族メタ光環化付加 Aromatic meta-photoc…
  7. 檜山クロスカップリング Hiyama Cross Couplin…
  8. ハンチュ ジヒドロピリジン合成  Hantzsch Dihydr…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2002年ノーベル化学賞『生体高分子の画期的分析手法の開発』
  2. 1,3-双極子付加環化反応 1,3-Dipolar Cycloaddition
  3. グラクソ、糖尿病治療薬「ロシグリタゾン」が単独療法無効のリスクを軽減と発表
  4. 2016年1月の注目化学書籍
  5. 電子ノートか紙のノートか
  6. 伊藤嘉彦京都大名誉教授死去
  7. 抗がん剤大量生産に期待 山大農学部豊増助教授 有機化合物生成の遺伝子発見
  8. 化学のあるある誤変換
  9. 周期表の形はこれでいいのか? –その 1: H と He の位置 編–
  10. 私がケムステスタッフになったワケ(3)

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズ

有機合成化学に関わる方ならばおなじみの有機合成化学協会誌。有機合成化学協会の会員誌であり、様々な有機…

固体NMR

固体NMR(Solid State NMR)とは、核磁気共鳴 (NMR) 分光法の一種で固体そのもの…

NMRの基礎知識【測定・解析編】

本シリーズでは、NMRの原理から実例までをできるだけ分かりやすくご紹介したいと思います。前回の【原理…

「人工知能時代」と人間の仕事

デジタル技術の進歩は著しく、特に、人工知能(AI)と呼ばれる機械学習システムの進歩は、世界の労働者の…

特定の刺激でタンパク質放出速度を制御できるスマート超分子ヒドロゲルの開発

第134回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 工学研究科 合成·生物化学専攻 浜地研究室の重…

有機合成化学協会誌2018年1月号:光学活性イミダゾリジン含有ピンサー金属錯体・直截カルコゲン化・インジウム触媒・曲面π構造・タンパク質チオエステル合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2018年1月号が昨日オンライン公開されました。…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP