[スポンサーリンク]

G

ギース ラジカル付加 Giese Radical Addition

[スポンサーリンク]

概要

ハロゲン・カルコゲニド化合物・Bartonエステルなどとラジカル開始剤から生成する炭素ラジカルは求核的性質を帯び、様々な捕捉剤と反応する。

とりわけ電子不足アルケンとの反応によって炭素-炭素結合を形成する反応を、Giese反応と呼ぶ。生じる求核的α炭素ラジカルをさらに活用することで、タンデム型反応にも適用できる。

天然物合成においてはとりわけ分子内環化反応での活用例が多い。

 

基本文献

  •  Giese, B.; Gonzalez-Gomez, J. A.; Witzel, T. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1984, 23, 69. DOI: 10.1002/anie.198400691

<review>

<Radical reaction for complex molecule synthesis>

反応機構

Giese_radical_2

 

反応例

有機テルルを用いるタンデム型Giese反応[1]:きわめて混み合った多官能基性化合物を合成できる。

Giese_5

可視光レドックス触媒条件によって混み合った炭素-炭素結合を作り出す手法(岡田-Overman法)[2]

Giese_6

一酸化炭素雰囲気下で行うことでカルボニル挿入を伴った変換が行える。[3, 4]

Giese_radical_3

参考文献

[1] Kamimura, D.; Urabe, D.; Nagatomo, M.; Inoue, M. Org. Lett. 2013, 15, 5122. DOI: 10.1021/ol402563v
[2] (a) Okada, K.; Okamoto, K.; Morita, N.; Okubo, K.; Oda, M. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 9401. DOI: 10.1021/ja00024a074 (b) Schnermann, M. J.; Overman, L. E. Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 51, 9576. DOI: 10.1002/anie.201204977 (c) Lackner, G. L.; Quasdorf, K. W.; Overman, L. E. J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 15342. DOI: 10.1021/ja408971t
[3] Miura, K.; Tojino, M.; Fujisawa, N.; Hosomi, A.; Ryu, I. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 2423. DOI:10.1002/anie.200453702
[4] Review: (a) Ryu, I.; Sonoda, N. Angew. Chem. Int. Ed. 1996, 35, 1050. DOI: 10.1002/anie.199610501 (b) Ryu, I.; Sonoda, B.; Curran, D. P. Chem. Rev. 199696, 177. DOI: 10.1021/cr9400626 (c) Ryu, I. Chem. Soc. Rev. 2001, 30, 16. DOI: 10.1039/A904591K

 

関連書籍

関連リンク

柳 日馨 研究室

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. レフォルマトスキー反応 Reformatsky Reaction…
  2. プラトー反応 Prato Reaction
  3. ピクテ・スペングラー反応 Pictet-Spengler Rea…
  4. バルビエ・ウィーランド分解 Barbier-Wieland De…
  5. ディールス・アルダー反応 Diels-Alder Reactio…
  6. ケック ラジカルアリル化反応 Keck Radicallic A…
  7. 檜山クロスカップリング Hiyama Cross Couplin…
  8. バートン反応 Barton Reaction

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2009年度日本学士院賞、化学では竜田教授が受賞
  2. 化学構造式描画のスタンダードを学ぼう!【基本編】
  3. 第36回ケムステVシンポ「光化学最前線2023」を開催します!
  4. 科学とは「未知への挑戦」–2019年度ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞
  5. イグノーベル賞2021が発表:今年は化学賞あり!
  6. 低分子化合物の新しい合成法 コンビナトリアル生合成 生合成遺伝子の利用法 Total Synthesis vs Total Biosynthesis
  7. 【2分クッキング】シキミ酸エスプレッソ
  8. エチルマレイミド (N-ethylmaleimide)
  9. リアル『ドライ・ライト』? ナノチューブを用いた新しい蓄熱分子の設計-前編
  10. 本当の天然物はどれ?

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

注目情報

最新記事

【技術者・事業担当者向け】 マイクロ波がもたらすプロセス効率化と脱炭素化 〜ケミカルリサイクル、焼成、乾燥、金属製錬など〜

<内容>脱炭素化と省エネに貢献するモノづくり技術の一つとして、昨今注目を集めているマイクロ波。当…

分子糊 モレキュラーグルー (Molecular Glue)

分子糊 (ぶんしのり、Molecular Glue) とは、2個以上のタンパク質…

原子状炭素等価体を利用してα,β-不飽和アミドに一炭素挿入する新反応

第495回のスポットライトリサーチは、大阪大学大学院工学研究科 応用化学専攻 鳶巣研究室の仲保 文太…

【書評】現場で役に立つ!臨床医薬品化学

「現場で役に立つ!臨床医薬品化学」は、2021年3月に化学同人より発行された、医…

環状ペプチドの効率的な化学-酵素ハイブリッド合成法の開発

第494回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院生命科学院 天然物化学研究室(脇本研究室) 博…

薬学会一般シンポジウム『異分野融合で切り込む!膜タンパク質の世界』

3月に入って2022年度も終わりが近づき、いよいよ学会年会シーズンになってきました。コロナ禍も終わり…

【ナード研究所】新卒採用情報(2024年卒)

NARDでの業務は、「研究すること」。入社から、30代・40代・50代…と、…

株式会社ナード研究所ってどんな会社?

株式会社ナード研究所(NARD)は、化学物質の受託合成、受託製造、受託研究を通じ…

マテリアルズ・インフォマティクスを実践するためのベイズ最適化入門 -デモンストレーションで解説-

開催日:2023/04/05 申し込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の…

ペプチド修飾グラフェン電界効果トランジスタを用いた匂い分子の高感度センシング

第493回のスポットライトリサーチは、東京工業大学 物質理工学院 材料系 早水研究室の本間 千柊(ほ…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP