[スポンサーリンク]

一般的な話題

スローン賞って知っていますか?

[スポンサーリンク]

スローン賞、正確に言うとSloan Research Fellowshipといい、北米のサイエンスの分野でPh.D取得から6年以内にしか応募できない、若手中の若手に授けられる賞です。そのフェローシップの金額も50,000ドルと少額であり、人数もサイエンス分野で100人程度、化学でも20人程度選ばれます。ものすごい競争率とはいえず、名前の通りフェローシップ的存在ではありますが、学生の時光っていて、ちょうど結果がではじめましたという米国の超若手研究者を知ることができるわけです。すなわち北米科学者の登竜門的存在のひとつでもあるといえます。


ところで、この賞の名は財団を設立したアルフレッド.P.スローンから名付けられています。スローンは今話題のゼネラルモーターズ(GM)を全米のみならず世界最大級の製造業企業へと成長させた人物です。さらには2008年にWikipediaに300万ドルを寄付した財団(スローン)としても有名かもしれません。

sloan_picture.jpg (写真:アルフレッド・スローン Wikipediaより)

 

というわけでビッグな財団であるわけで、MITやスタンフォードの経営大学院に冠されていること(資金援助もしている)、また、癌研究所であるスローン・ケータリング研究所も同様です。賞に関してもさらに上位のAlfred Sloan Jr Prizeに加え、経済やコンピューター関連にも数々の賞を設立しています。

このスローン賞、化学の分野では今年はJeffrey Pyun(アリゾナ大、有機化学、2004~),Rachel A. Segalman(UCバークレー、化学工学、2004~),Richmond Sarpong (UCバークレー、有機合成化学, 2004~),Dmitri Talapin (シカゴ大、材料、界面化学、2007~)などが選ばれています(順不同)詳細はスローン財団のホームページをご覧ください。

今まで受賞している化学者に関してはどうでしょう。ノーベル化学賞受賞者に関してみるとこんな感じです(受賞年、名前、括弧内は受賞した年)。

1981 Roald Hoffmann(SRF 1966)

1986 Dudley R. Herschbach (SRF 1959)

1986 Yuan T. Lee (SRF1969)

1986 John C. Polanyi (SRF1959)

1990 Elias J. Corey(SRF 1955)

1992 Rudolph A. Marcus(SRF 1960)

1995 Mario J. Molina(SRF 1976)

1996 Robert F. Curl, Jr.(SRF 1961)

1996 Richard E. Smalley (SRF 1978)

1999 Ahmed H. Zewail(SRF1978)

2000 Alan G. MacDiarmid(SRF 1959)

2001 K. Barry Sharpless(SRF 1973)

2005 Robert H. Grubbs(SRF 1974)?

2005 Richard R. Schrock(SRF 1976)

ノーベル賞を受賞した米国化学者に限っていえば半分近くが受賞しています。現在活躍している化学者でもK.C. Nicolaou(SRF1979)、Stuart L. Schreiber (SRF1985)、Timothy M. Swager(SRF1994)、Scott J. Miller(SRF 2000)、Phil Baran(SRF 2006)などなど。

時間があるときにでも未来の大物化学者を見いだしてみてはいかがですか。

 

外部リンク

  • The Alfred P. Sloan Foundation:スローン財団のホームページ。歴代のスローン賞(フェローシップ)の科学者を検索できる。

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 触媒なの? ?自殺する酵素?
  2. タンパクの骨格を改変する、新たなスプライシング機構の発見
  3. 「コミュニケーションスキル推し」のパラドックス?
  4. 天然物生合成経路および酵素反応機構の解析 –有機合成から生化学へ…
  5. 第3回ITbM国際シンポジウム(ISTbM-3)、第11回平田ア…
  6. 科学ボランティアは縁の下の力持ち
  7. 学会に行こう!高校生も研究発表できます
  8. 深紫外光源の効率を高める新たな透明電極材料

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ブラシノステロイド (brassinosteroid)
  2. ネオジム磁石の調達、製造技術とビジネス戦略【終了】
  3. 抗生物質の話
  4. サントリー白州蒸溜所
  5. 特殊ペプチド Specialty Peptide
  6. JSR、東大理物と包括的連携に合意 共同研究や人材育成を促進
  7. かぶれたTシャツ、原因は塩化ジデシルジメチルアンモニウム
  8. 環状アミンを切ってフッ素をいれる
  9. トロスト酸化 Trost Oxidation
  10. 臭素系難燃剤など8種を禁止 有害化学物質の規制条約

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年2月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
232425262728  

注目情報

最新記事

ニキビ治療薬の成分が発がん性物質に変化?検査会社が注意喚起

2024年3月7日、ブルームバーグ・ニュース及び Yahoo! ニュースに以下の…

ガラスのように透明で曲げられるエアロゲル ―高性能透明断熱材として期待―

第603回のスポットライトリサーチは、ティエムファクトリ株式会社の上岡 良太(うえおか りょうた)さ…

有機合成化学協会誌2024年3月号:遠隔位電子チューニング・含窒素芳香族化合物・ジベンゾクリセン・ロタキサン・近赤外光材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年3月号がオンライン公開されています。…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part3

日本化学会年会の付設展示会に出展する企業とのコラボです。第一弾・第二弾につづいて…

ペロブスカイト太陽電池の学理と技術: カーボンニュートラルを担う国産グリーンテクノロジー (CSJカレントレビュー: 48)

(さらに…)…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part2

前回の第一弾に続いて第二弾。日本化学会年会の付設展示会に出展する企業との…

CIPイノベーション共創プログラム「世界に躍進する創薬・バイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第104春季年会(2024)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界に躍進…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part1

今年も始まりました日本化学会春季年会。対面で復活して2年めですね。今年は…

マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-

開催日:2024/03/21 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

分子のねじれの強さを調節して分子運動を制御する

第602回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科 塩谷研究室の中島 朋紀(なかじま …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP