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ジョーンズ酸化/Jones Oxidation

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⏱ 30秒サマリー

  • 何をする反応か — 三酸化クロムを希硫酸に溶かした「ジョーンズ試薬」を、アセトンに溶かしたアルコールへ滴下し、第二級アルコールをケトンへ、第一級アルコールをカルボン酸へ酸化する。
  • 何ができるか — 二重結合・三重結合を残したままヒドロキシ基だけを酸化できる。反応は数分で終わり、終点が色で見え、モルスケールでも回る。
  • いつ使うか — 酸に耐える基質を安価・確実に酸化したいとき。ただし六価クロムの発がん性と法規制のため、現在の全合成では Pinnick 酸化・TEMPO 触媒酸化が第一選択となることが多く、ジョーンズ酸化は「使える場面を選んで使う」古典手法という位置づけである。

概要

ジョーンズ酸化(Jones oxidation)は、1946年に Imperial College の Kenneth Bowden・Ian M. Heilbron・Ewart R. H. Jones・Basil C. L. Weedon によって報告された、クロム酸によるアルコールの酸化法である[1]。試薬としての標準的な調製法と、ステロイド・トリテルペンをはじめとする幅広い基質への適用は、1953年の Bowers・Halsall・Jones・Lemin による論文で確立された[3][4]。

2020年代の総説は、KMnO₄ や Cr(VI) 系(ジョーンズ酸化)を「安価で信頼できるが、選択性と環境負荷の問題から使用が減っている」と評し、天然物全合成におけるアルデヒド→カルボン酸酸化では Pinnick 酸化が事実上の第一選択、持続可能性の観点からは TEMPO 触媒+NaOCl または O₂ が推奨されるとしている[16]。一級アルコール→カルボン酸酸化の方法論を「金属酸化物から生体触媒へ」という軸で整理した総説も出ている[17]。それでもジョーンズ酸化が教科書と実験室から消えないのは、試薬が安い・反応が速い・終点が目で見える・スケールアップの実績があるという、代替法が必ずしも同時に満たせない条件を備えているからである。

反応機構

(1) 活性種の生成

三酸化クロムを希硫酸水溶液に溶かすと、水と反応してクロム酸 H₂CrO₄ を生じ、水素クロム酸イオン HCrO₄⁻・二クロム酸イオン Cr₂O₇²⁻ と平衡にある。実際にどの化学種が主役かは pH と溶媒に依存する。原料として二クロム酸ナトリウム・二クロム酸カリウムを用いても、酸性水中では同じ活性種に収束するため、同じ反応が起こる。

(2) クロム酸モノエステルの生成

アルコールの酸素が Cr(VI) を求核攻撃し、クロム酸モノエステルを与える。この中間体の実在は Holloway・Cohen・Westheimer が2-プロパノールの酸化について速度論的に示し[6]、Wiberg・Schäfer が分光学的に直接観測して確認している[7]。この段階は速い平衡である。

(3) β脱離(律速段階)

クロム酸エステルのカルビノール炭素上の C–H を水(塩基)が引き抜き、環状遷移状態を経て C=O が形成されると同時に Cr–O 結合が切れ、Cr(IV) 種が脱離する。律速段階はこの C–H 開裂であり、大きな一次速度論的同位体効果を示す。三級アルコールが酸化されないのは、抜くべき C–H がないためである。

(4) Cr(IV)/Cr(V) の後続化学と色変化

生じた Cr(IV) はそのまま Cr(III) にはならず、不均化や一電子移動を経て Cr(V) を生じる。Cr(V) もまた二電子酸化剤としてアルコールを酸化しうるため、CrO₃ 1 当量あたりに酸化できるアルコールの量は単純な計算より多くなる。最終的にはすべて緑色の Cr(III) に落ち着く。

この橙色(Cr(VI))→緑色(Cr(III))の色変化が、そのまま反応追跡と終点判定に使えるのがジョーンズ酸化の実務上の強みである。試薬を滴下していき、橙色が消えなくなった点が終点になる。

(5) 第一級アルコールがカルボン酸まで進む理由

水系で行うため、第一級アルコールから生じたアルデヒドは系中で水和されて gem-ジオールとなる。この gem-ジオールが二度目のクロム酸エステルを形成し、再び (3) と同じ β 脱離を受けてカルボン酸を与える。

ただしここは注意が必要で、「一級アルコールなら必ずカルボン酸になる」わけではなく、生じるアルデヒドが水和しやすいかどうかで決まると理解するのが正確である。水和平衡が不利なアルデヒドを与える基質、すなわちベンジル位・アリル位のアルコールは、水系のジョーンズ条件でもアルデヒド/エノンの段階で止まる。実際 Organic Syntheses には、2-シクロヘキセン-1-オールから2-シクロヘキセン-1-オンが81%で得られると明記されている[4]。

(6) 1,3-酸化的転位(Babler–Dauben 型)

アリルアルコールに Cr(VI) 試薬を作用させると、単純な酸化ではなく酸素が1,3-移動したエノンが得られることがある。機構は試薬の酸性度に依存すると考えられており、ジョーンズ試薬や PCC のような酸性試薬ではクロム酸エステルのイオン化と再結合を経る経路、Collins 試薬のような塩基性試薬では直接的なシグマトロピー転位に近い経路が想定されている。三級アリルアルコールでは「酸化されるべき C–H がない」ため、この転位経路が唯一の反応経路となる。

近年は触媒化も進んでおり、PCC 5 mol% と過ヨウ素酸を組み合わせることで、二級アリルアルコールから (E)-α,β-不飽和アルデヒドを選択的に得る条件が報告されている[10]。

(7) 主な副反応
  • カルボン酸と原料アルコールのエステル化:生成したカルボン酸が未反応の原料アルコールと反応し、無視できない量のエステルが副生することがある。アルコールを試薬側へ滴下する「逆滴下」で抑えられる。
  • 酸に弱い保護基の脱落:強酸性水系のため、アセトニド・トリチル・シリル系などは条件によって外れる。

特徴・適用範囲・類似反応との比較

強み:
  • 不飽和結合を侵さない。 前述のとおりこれは開発目的そのものである。C≡C、C=C を保持したままヒドロキシ基だけを酸化できる。高度に共役した不飽和アルコールでも効率よく進む。
  • 速い。 アルコールの酸化はほぼ瞬時に進む。
  • 終点が目で見える。 橙色の持続=終点、緑色=Cr(III)。TLC を待たずに判断できる。
  • スケールアップ実績。 Organic Syntheses の手順は0.5 molスケールで記載され、投稿者は2 molスケールでも実施している[4]。
  • 安い。 三酸化クロムも硫酸もアセトンも汎用品である。
弱み・注意点:
  • ⚠ 六価クロムの毒性と法規制。 日本国内では三酸化クロムは特定化学物質障害予防規則の第二類物質かつ特別管理物質にあたり、作業環境測定・特殊健康診断・記録の長期保存といった義務が発生しうる。EU では REACH 規則の認可対象物質であり、さらに制限物質への移行が進められている。
  • クロム廃液の処理コスト。 廃液は還元して Cr(III) にしたうえで、専門処理に回す必要がある。
  • アルデヒドで止めにくい。 脂肪族一級アルコールから選択的にアルデヒドを得る用途には向かない。
  • 強酸性水系。 アセトニド、THP、トリチル、酸に弱いシリル基は脱落しうる。逆に「脱保護+酸化」を一段で済ませる手として使われることもある。
  • エステル副生。 一級アルコール→カルボン酸で顕著。逆滴下で対処する。
  • 立体的に混んだアルコールは遅い。 反応時間の延長や試薬の増量が必要になる。
  • アセトンの溶解力が上限を決める。 Organic Syntheses もこの点を本法の主な制約として挙げている[4]。基質が溶けなければ大量のアセトンが要る。
類似反応との比較
反応 試薬・条件 一級アルコールからの生成物 長所 短所・注意 使いどころ
ジョーンズ酸化 CrO₃/希H₂SO₄、アセトン、0 ℃〜rt カルボン酸(水和しにくい系はアルデヒド) 安価・高速・終点が色で判る・不飽和結合を保持・大スケール可 六価クロム(法規制・廃液)/強酸性/エステル副生 酸に強い基質を安価に大量酸化する。アルキンを含む基質
PCC/PDC酸化 PCC または PDC、CH₂Cl₂ アルデヒド(PDC/DMF ではカルボン酸) 有機溶媒に溶ける・アルデヒドで止まる 六価クロム/後処理が煩雑(タール状) アルデヒドを取りたいが酸性条件は許容できる場合
サレット・コリンズ酸化 CrO₃·(py)₂、CH₂Cl₂ アルデヒド 中性〜塩基性・酸に弱い基質に使える 六価クロム/試薬調製が危険/大過剰必要 酸に弱い保護基を持つ基質
スワーン酸化 (COCl)₂/DMSO/Et₃N、−78 ℃ アルデヒド クロムフリー・穏和・信頼性が高い 低温必須/悪臭(Me₂S)/大スケールで発熱制御が課題 研究室規模で確実にアルデヒドを取りたいとき
デス・マーチン酸化 DMP、CH₂Cl₂、rt アルデヒド 室温・中性・官能基許容性が高い 試薬が高価/爆発性の指摘/廃棄物量 複雑な後期中間体
TEMPO 触媒酸化 TEMPO cat./NaOCl、O₂ など アルデヒド〜カルボン酸(条件で制御) 触媒量・安価な終端酸化剤・水系可・グリーン 立体的に混んだ二級アルコールは遅いことがある 現代のプロセス化学における標準。医薬中間体の実例あり[18]
ピニック(クラウス)酸化 NaClO₂/NaH₂PO₄/2-メチル-2-ブテン (アルデヒドから)カルボン酸 極めて穏和・官能基許容性が高い アルデヒドから始める必要がある 天然物全合成におけるアルデヒド→酸の第一選択[16]
触媒的 CrO₃/H₅IO₆ CrO₃ 1–2 mol%/H₅IO₆ 2.5 equiv/含水MeCN カルボン酸 クロム使用量を2桁削減・隣接不斉中心のラセミ化なし・大スケール向き 六価クロムを使う点は変わらない/過ヨウ素酸のコスト どうしてもクロム系を使うなら現代的にはこちら[9]

 

反応例

シクロオクタノン(大スケールの実施例)

シクロオクタノール 0.5 mol をアセトン中でジョーンズ試薬により酸化し、シクロオクタノンを92–96%で得ている[4]。投稿者は同じ手順を2 mol スケールでも実施しており、ジョーンズ酸化がスケールアップに耐えることを示す代表例になっている。反応温度を35 ℃以下に保つ、緑色の塩をアセトンで洗い込む、といった実務上の勘所も併記されている。

LL-Z1640-2 / ヒポテマイシン

Sellès と Lett は、レゾルシル酸ラクトン系天然物 LL-Z1640-2(C292)およびヒポテマイシンの全合成において、14員環マクロラクトン上の二級アリルアルコールに ジョーンズ試薬を作用させ、単純な酸化生成物ではなく 1,3-転位したエノンを得ている[13,14]。大環状の後期中間体に対して、短時間で位置選択的に転位が起こる点が興味深い。

触媒的 CrO₃/H₅IO₆

Merck のプロセス研究グループは、CrO₃ をわずか1–2 mol% とし、過ヨウ素酸 2.5 当量を終端酸化剤とする含水アセトニトリル系で、一級アルコールを高収率でカルボン酸へ酸化できることを報告した[9]。隣接不斉中心のラセミ化が実質的に起こらず、第二級アルコールもきれいにケトンへ変換される。化学量論量の六価クロムを使わずに済むため、大スケール合成でクロム系を選ばざるを得ない場合の現代的な標準条件となっている。

実験手順

ジョーンズ試薬の調製

代表的な組成は複数流通しているが、いずれも「三酸化クロム+濃硫酸+水」である。

  • 約2.5 M 調製:三酸化クロム 25 g(0.25 mol)を水 75 mL に溶かし、氷浴で0〜5 ℃に保ちながら濃硫酸 25 mL を撹拌下ゆっくり加える。
  • 約2.67 M 調製(Fieser の処方):三酸化クロム 26.7 g に濃硫酸 23 mL を加え、氷冷下、全量が100 mL になるまで水で希釈する。

いずれも発熱するので必ず冷却しながら、少量ずつ加える。調製したものは褐橙色の溶液で、密栓・遮光して保存する。

標準的な実施例:シクロオクタノール → シクロオクタノン(0.5 mol スケール)[4]
  1. 三酸化クロム 67 g を蒸留水 125 mL に溶かし、濃硫酸 58 mL を加える。析出する塩は最小量の水を追加して溶かす(全量はおよそ225 mL以内に収める)。
  2. シクロオクタノール 64 g(0.5 mol)をアセトン 1.25 L に溶かし、2 L 三口フラスコに入れる。温度計と強力な機械撹拌を装備し、水浴で約20 ℃に冷やす。
  3. 1 の酸化剤を滴下漏斗から細く流し込む。反応温度が35 ℃を超えないように滴下速度を調節する(超えなければ還流冷却器は不要)。
  4. 試薬に特徴的な橙色が約20分間消えずに残るようになったら終点。必要な酸化剤の量はおよそ120 mL。
  5. 撹拌を止め、上澄みを別のフラスコへ移す。残った緑色の塩はアセトン 70 mL × 2 で洗い込み、洗液を合わせる。必要に応じて酸化剤を追加して反応を完結させる。
  6. 2-プロパノールを滴下して過剰の酸化剤を分解する。
  7. 炭酸水素ナトリウム 63 g を少量ずつ慎重に加え、中性になるまで激しく撹拌する。
  8. 濾過し、濾過ケーキをアセトンで洗う。濾液を濃縮し、飽和食塩水を加えてエーテル抽出、乾燥後に減圧蒸留する。 → シクロオクタノン 58–60 g(92–96%)、bp 76–77 ℃/10 mmHg、mp 40–42 ℃。
変法A:触媒的 CrO₃/H₅IO₆[9]
  1. 一級アルコールを含水アセトニトリルに溶かす。
  2. 三酸化クロムを1–2 mol%、過ヨウ素酸を2.5当量加える。
  3. 反応後、通常の後処理で対応するカルボン酸を高収率で得る。隣接不斉中心のラセミ化は実質的に観測されない。第二級アルコールを用いればケトンが得られる。
変法B:逆滴下(エステル副生の抑制)

生成カルボン酸と原料アルコールのエステル化が問題になる場合、通常とは逆にアルコール溶液をジョーンズ試薬側へ滴下する。系内に未反応アルコールを溜めないことで、エステル化を抑える設計である。

実験のコツ・テクニック

  • 終点は色で判断できる。 橙色が持続すれば酸化剤が過剰=終点。緑色は Cr(III) の生成を意味する。
  • 温度を管理する。 酸化はきわめて発熱的である。滴下速度で温度を制御し、35 ℃を超えないようにするのが標準的な運用である[4]。スケールが大きいほど強力な撹拌と冷却が要る。
  • クエンチは2-プロパノール。 過剰の Cr(VI) を消費させ、緑色になるまで滴下する。そのあと炭酸水素ナトリウム(または炭酸カルシウム)で中和し、濾過する。
  • ⚠ ただし酸化が終わる前に中和しない。 酸化には弱酸性であることが必要で、逆に硫酸を数滴足さないと酸化剤が消費し切れなかったという記録もある[4]。
  • 緑色のクロム塩は生成物を抱き込む。 塩が粘稠でべたつくため、原料や生成物を巻き込みやすい。Organic Syntheses では、この塩に水を加えて抽出することで数%の生成物を追加回収している[4]。収率が合わないときはここを疑う。
  • 一級アルコールでエステルが副生したら逆滴下を試す。
  • アリル位のヒドロキシ基には要注意。 単純な酸化ではなく1,3-転位したエノンが得られることがある[13,14]。「思っていたのと違う位置にカルボニルが立った」場合は、まずこの可能性を疑う。
  • ⚠ 法規制(日本)。 三酸化クロム(CAS 1333-82-0)は「クロム酸及びその塩」として、労働安全衛生法・特定化学物質障害予防規則の第二類物質・特別管理物質・管理第二類物質(対象重量1%超)に該当する[19]。作業環境評価基準の管理濃度は 0.05 mg/m³(Cr として)[19]。安衛則第594条の2により不浸透性の保護具の使用が義務づけられている。毒物及び劇物取締法では劇物、化管法(PRTR)では特定第1種指定化学物質、化審法では優先評価化学物質である[19]。なお「クロム酸及びその塩」として規制対象となるのは六価のもののみで、三価クロムは含まれない[20]。特別管理物質に該当するため、作業記録・作業環境測定結果・健康診断結果の30年間保存などの義務が生じうる。使用前に必ず自組織の化学物質管理担当に確認されたい。
  • ⚠ 法規制(EU)。 三酸化クロムは REACH 規則の附属書XIV(認可対象物質、SVHC)に収載されている。欧州委員会は2023年9月にECHAへ制限案の作成を要請しており、認可(附属書XIV)から制限(附属書XVII)へ移行させる方針である。認可対象物質を制限へ転換するのは REACH 初の試みとされる[21]。
  • ⚠ 廃液処理。 クロム廃液は還元して Cr(III) としたうえで、他の廃液と分別して専門処理に回す。ドラフト内での取り扱い、二重手袋、保護眼鏡は必須である。
  • そもそも本当にクロムが必要か、を先に考える。 アルデヒド→カルボン酸なら Pinnick 酸化、二級アルコール→ケトンなら TEMPO/NaOCl、アルデヒドで止めたいなら DMP や Swern。2020年代の総説はいずれもこの方向を推している[16,17]。それでも「安く、速く、大量に、酸に強い基質を」という条件が揃うなら、ジョーンズ酸化は依然として合理的な選択肢である。

参考文献

【原著・歴史】
  1. Bowden, K.; Heilbron, I. M.; Jones, E. R. H.; Weedon, B. C. L. J. Chem. Soc. 1946, 39–45. DOI: https://doi.org/10.1039/jr9460000039 (原報。アセチレンカルビノールの酸化によるアセチレンケトンの調製)
  2. Heilbron, I. M.; Jones, E. R. H.; Sondheimer, F. J. Chem. Soc. 1949, 604. (第一級アセチレンカルビノール・グリコールの酸化)
  3. Bowers, A.; Halsall, T. G.; Jones, E. R. H.; Lemin, A. J. J. Chem. Soc. 1953, 2548–2560. (試薬の標準化)
  4. Eisenbraun, E. J. Org. Synth. 1965, 45, 28(Coll. Vol. 5, 310). DOI: https://doi.org/10.15227/orgsyn.045.0028 (シクロオクタノン。大スケール手順・実務上の注意の一次資料)
  5. Biographical Memoirs of Fellows of the Royal Society 2003(Sir Ewart Ray Herbert Jones, 1911–2002). DOI: https://doi.org/10.1098/rsbm.2003.0015
【機構】
  1. Holloway, F.; Cohen, M.; Westheimer, F. H. J. Am. Chem. Soc. 1951, 73, 65–68. DOI: https://doi.org/10.1021/ja01145a025 (クロム酸エステル中間体の速度論的立証)
  2. Wiberg, K. B.; Schäfer, H. J. Am. Chem. Soc. 1967, 89, 455–457. DOI: https://doi.org/10.1021/ja00978a054 (中間体の直接観測)
  3. Westheimer, F. H. Chem. Rev. 1949, 45, 419. (クロム酸酸化の機構論の古典)
【変法・改良法】
  1. Zhao, M.; Li, J.; Song, Z.; Desmond, R.; Tschaen, D. M.; Grabowski, E. J. J.; Reider, P. J. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 5323–5326. DOI: https://doi.org/10.1016/S0040-4039(98)00987-3 (触媒的 CrO₃/H₅IO₆。ラセミ化なし・大スケール向き)
  2. Killoran, P.; Rossington, S.; Wilkinson, J.; Hadfield, J. Tetrahedron Lett. 2016, 57, 3954–3957. DOI: https://doi.org/10.1016/j.tetlet.2016.07.076 (触媒的 Babler–Dauben。二級アリルアルコール → (E)-エナール)
  3. Harding, K. E.; May, L. M.; Dick, K. F. J. Org. Chem. 1975, 40, 1664–1665. DOI: https://doi.org/10.1021/jo00899a040 (クロム酸によるアリルアルコールの選択酸化)
  4. Corey, E. J.; Schmidt, G. Tetrahedron Lett. 1979, 20, 399–402. (非プロトン性媒体中の PDC 酸化)
【応用例】
  1. Sellès, P.; Lett, R. Tetrahedron Lett. 2002, 43, 4621–4625. DOI: https://doi.org/10.1016/S0040-4039(02)00870-5 (LL-Z1640-2/ヒポテマイシン 全合成 Part 1)
  2. Sellès, P.; Lett, R. Tetrahedron Lett. 2002, 43, 4627–4631. DOI: https://doi.org/10.1016/S0040-4039(02)00871-7 (同 Part 2。マクロリド上での1,3-酸化的転位)
【総説】
  1. Luzzio, F. A. Org. React. 1998, 53, 1–222. (クロム酸酸化の網羅的総説)
  2. Zheng, J.-F.; Chen, A.; Gao, Y.-G.; Huang, P.-Q. Org. Chem. Front. 2026, 13, 2919. DOI: https://doi.org/10.1039/D6QO00050A (現代の天然物全合成における酸化反応。ジョーンズ酸化の相対的地位低下と Pinnick/TEMPO の優位を明記)
  3. Spang, J.; Mascia, F.; Kroutil, W. JACS Au 2026, 6, 659–677. DOI: https://doi.org/10.1021/jacsau.5c01452 (一級アルコール→カルボン酸酸化の方法論史。金属酸化物から生体触媒へ)
  4. Caravez, J. C.; Hu, Y.; Oftadeh, E.; Mamo, K. T.; Lipshutz, B. H. J. Org. Chem. 2024. DOI: https://doi.org/10.1021/acs.joc.3c02855 (レナカパビル中間体。二級アルコール→ケトンを TEMPO 触媒/NaOCl で実施した実例)
  5. Ley, S. V.; Madin, A. Comprehensive Organic Synthesis 1991, 7, 251–289.
  6. Tojo, G.; Fernández, M. Oxidation of Alcohols to Aldehydes and Ketones; Springer: Berlin, 2006; pp 1–97.
  7. Muzart, J. Chem. Rev. 1992, 92, 113–140. DOI: https://doi.org/10.1021/cr00009a005 (クロム触媒酸化の総説)
  8. Comprehensive Organic Name Reactions and Reagents, “Jones Oxidation”; Wiley, 2010. DOI: https://doi.org/10.1002/9780470638859.conrr349
【安全・法規】
  1. 三酸化クロム(VI)/無水クロム酸 SDS(特化則第二類物質・特別管理物質、管理濃度 0.05 mg/m³、劇物、PRTR特定第1種、化審法優先評価化学物質 No.145 の記載)
  2. 厚生労働省 基安化発第129002号(平成30年1月29日)「特定化学物質である『クロム酸及びその塩』の適用について」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3144&dataType=1&pageNo=1 (六価のみが対象であることの通達)
  3. 六価クロムの REACH 規則における認可物質から制限物質への移行 https://johokiko.co.jp/chemmaga/tkk0071/tkk/

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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