[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

ロビンソン環形成反応 Robinson Annulation

[スポンサーリンク]

 

概要

分子間Michael反応→分子内アルドール縮合により、6員環を含む縮環化合物を合成する方法。

ビニルケトンを用いる必要があり、この重合反応が主たる副反応となる。

Wieland-Miescherケトンと呼ばれる結晶性のRobinson環化体は有用な合成中間体の一つである。ステロイド・テルペノイド系天然物合成の出発原料として重宝される。プロリン触媒を用いることで、光学活性なものが大量調製可能である(Hajos-Parris-Eder-Sauer-Wiechert反応)。

robinsona5.gif

基本文献

  • DuFeu, E .C.; McQuillin, F. J.; Robinson, R. J. Chem. Soc. 1937, 53.
  • Wieland, P.; Miescher, K. Helv. Chim. Acta 195033, 2215. doi:10.1002/hlca.19500330730
  • Bergmann, E. D.; Gingberg, D.; Pappo, R. Org. React. 195910, 179.
  • Balasubramanian, K.; John, J. P.; Swaminathan, S. Synthesis 1974, 51.
  • Gawley, R. E. Synthesis 1976, 777. doi:10.1055/s-1976-24200
  • Jung, M. E. Tetrahedron 1976, 32, 3. doi:10.1016/0040-4020(76)80016-6

 

反応機構

robinsona.gif

反応例

塩基存在下加熱する条件では、熱力学支配のエノラートから反応が進行する。エナミンを用いることで、その位置異性体を合成できる。
robinsona2.gif
Michaelアクセプターのα位にシリル基を導入することで、生じるカルボアニオンを安定化するとともに、ビニルケトンの重合を抑制して収率よくRobinson環化を行うことが出来る。
robinsona4.gif
有機分子触媒をもちいる置換シクロヘキセノンの不斉合成[1]
robinson_4.gif
重合しやすいメチルビニルケトンの代わりに1,3-ジクロロ-cis-2-ブテンを用いる改良法が知られている(Wichterle変法)。[2] robinson_6.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Carlone, A.; Marigo, M.; North, C.; Landa, A.; Jorgensen, K. A. Chem. Commun. 2006, 4928. DOI: 10.1039/b611366d
[2] (a) Wichterle, O. et al. Collect. Czech. Chem. Commun. 1948, 13, 300. (b) Kobayashi, M.; Matsumoto, T. Chem. Lett. 1973, 957. doi:10.1246/cl.1973.957
(c) Yoshioka, H.; Takasaki, K.; Kobayashi, M.; Matsumoto, T. Tetrahedron Lett. 1979, 20, 3489. doi:10.1016/S0040-4039(01)95442-5 (d) Review: Hudlicky, M. Collect. Czech. Chem. Commun. 199358, 2229.

 

関連反応

 

関連書籍

 

関連リンク

関連記事

  1. カルボニル化を伴うクロスカップリング Carbonylative…
  2. ダキン・ウェスト反応 Dakin-West Reaction
  3. ターボグリニャール試薬 Turbo Grignard Reage…
  4. フェイスト・ベナリー フラン合成 Feist-Benary Fu…
  5. ローゼンムント還元 Rosenmund Reduction
  6. ウギ反応 Ugi Reaction
  7. 触媒的C-H酸化反応 Catalytic C-H Oxidati…
  8. ウルマンエーテル合成 Ullmann Ether Synthes…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 統合失調症治療の新しいターゲット分子候補−HDAC2
  2. グローバルCOE審査結果
  3. ソラノエクレピンA (solanoeclepin A)
  4. 標的指向、多様性指向合成を目指した反応
  5. 高度に官能基化されたクロバン型テルペノイドの網羅的全合成
  6. 【速報】2013年イグノーベル化学賞!「涙のでないタマネギ開発」
  7. “試薬の安全な取り扱い”講習動画 のご紹介
  8. 日本薬学会  第143年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part 1
  9. パーソナライズド・エナジー構想
  10. 基礎講座 有機化学

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP