[スポンサーリンク]

E

求電子的フッ素化剤 Electrophilic Fluorination Reagent

[スポンサーリンク]

ベンゼン誘導体、カルボニル化合物→ハロゲン化物

概要

フッ素原子は立体的には水素原子と酷似しているが、電気的には全く逆の陰性である。このためフッ素置換によって、構造を大きく変えることなく、電気的チューニングが可能となる。また、C-H結合よりもC-F結合は強く切れにくいため、化合物の安定性を高める設計もできる。例えばラセミ化しやすい水素をフッ素置換すると、キラリティの安定性を増す事が出来る。

この性質ゆえ、フッ素化反応は医薬探索・合成および材料化学といった、分子工学的な分野において重要な役割を担っている。現在でも効率的合成法には乏しく、その潜在的需要は大きい。
近年では不斉触媒を用いて、フッ素原子をエナンチオ選択的に導入する手法も開発されてきている。

 

 

基本文献

  • Umemoto, T.; Kawada, K.; Tomita, K. Tetrahedron Lett. 1989, 27, 4465. doi:10.1016/S0040-4039(00)84980-1
  • Singh, S.; DesMarteau, D. D.; Zuberi, S. S.; Witz, M.; Huang, H. N. J. Am. Chem. Soc. 1987, 109, 7194. DOI: 10.1021/ja00257a051
  • Banks, R. E. et al.  J. Fluorine Chem. 1990, 46, 297.
  • Nyffeler, P. T.; Duron, S. G.; Burkart, M. D.; Vincent, S. P.; Wong, C.-H. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44 192. doi:10.1002/anie.200400648
  • Kirk, K. L. Org. Process Res. Dev. 200812, 305. doi:10.1021/op700134j

 

反応機構

 

反応例

触媒的不斉フッ素化[1] electrophilic_fluorination_2.gif
ヨードトルエンジフルオリド[2]:近年新しく開発された求電子フッ素化剤。他のフッ素化試薬に比べて毒性が低く、安定で取り扱いが容易。
electrophilic_fluorination_4.gif
エナミンとの反応[3] electrophilic_fluorination_5.gif
アリール金属化合物は求電子フッ素試薬との反応性が低く、単純な方法では上手くフッ素化が行えない。Ritterらは、アリールホウ素・スズ試薬から官能基化芳香族フッ化物を合成できる手法を開発している。[4][5] electrophilic_fluorination_6.gif
electrophilic_fluorination_7.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Hamashima, Y.; Yagi, K.; Takano, H.; Tamas, L.; Sodeoka, M. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 14530. DOI: 10.1021/ja028464f

[2] (a) Inagaki, T.; Nakamura, Y.; Sawaguchi, M.; Yoneda, N.; Ayuba, S.; Hara, S. Tetrahedron Lett. 2003, 44, 4117. doi:10.1016/S0040-4039(03)00841-4 (b) Yoshida, M. et al. ARKIVOC 2003, 6,

36.

[3] Peng,W.; Shreeve, J. M. J. Org. Chem. 200570, 5760. DOI: 10.1021/jo0506837

[4] Furuya, T.; Strom, A. E.; Ritter, T. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 1662. DOI: 10.1021/ja8086664

[5] Furuya, T.; Ritter, T. Org. Lett. 200911, 2860. DOI: 10.1021/ol901113t

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

関連記事

  1. ピナー ピリミジン合成 Pinner Pyrimidine Sy…
  2. シュワルツ試薬 Schwartz’s Reagent…
  3. ショッテン・バウマン反応 Schotten-Baumann Re…
  4. クネーフェナーゲル ピリジン合成 Knoevenagel Pyr…
  5. ニトロキシルラジカル酸化触媒 Nitroxylradical O…
  6. 硫酸エステルの合成 Synthesis of Organosul…
  7. ディールス・アルダー反応 Diels-Alder Reactio…
  8. メチオニン選択的タンパク質修飾反応 Met-Selective …

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 含フッ素カルボアニオン構造の導入による有機色素の溶解性・分配特性の制御
  2. 博士号とは何だったのか - 早稲田ディプロマミル事件?
  3. 海の生き物からの贈り物
  4. 森謙治 Kenji Mori
  5. 住友化学の9月中間営業益は+20.5%、精密・医薬など好調で
  6. 電子不足トリプトファン誘導体を合成する人工酵素
  7. ヒュー・デーヴィス Huw M. L. Davies
  8. 医薬品の合成戦略ー医薬品中間体から原薬まで
  9. 転職を成功させる「人たらし」から学ぶ3つのポイント
  10. 私がケムステスタッフになったワケ(5)

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年8月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

Christoper Uyeda教授の講演を聴講してみた

bergです。この度は2024年5月13日(月)に東京大学 本郷キャンパス(薬学部)にて開催された「…

有機合成化学協会誌2024年5月号:「分子設計・編集・合成科学のイノベーション」特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年5月号がオンライン公開されています。…

電子のスピンに基づく新しい「異性体」を提唱―スピン状態を色で見分けられる分子を創製―

第614回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(松田研究室)の清水大貴 助教にお願い…

Wei-Yu Lin教授の講演を聴講してみた

bergです。この度は2024年5月13日(月)に東京大学 本郷キャンパス(薬学部)にて開催されたW…

【26卒】太陽HD研究開発 1day仕事体験

太陽HDでの研究開発職を体感してみませんか?私たちの研究活動についてより近くで体験していただく場…

カルベン転移反応 ~フラスコ内での反応を生体内へ~

有機化学を履修したことのある方は、ほとんど全員と言っても過言でもないほどカルベンについて教科書で習っ…

ナノ学会 第22回大会 付設展示会ケムステキャンペーン

ナノ学会の第22回大会が東北大学青葉山新キャンパスにて開催されます。協賛団体であるACS(ア…

【酵素模倣】酸素ガスを用いた MOF 内での高スピン鉄(IV)オキソの発生

Long らは酸素分子を酸化剤に用いて酵素を模倣した反応活性種を金属-有機構造体中に発生させ、C-H…

【書評】奇跡の薬 16 の物語 ペニシリンからリアップ、バイアグラ、新型コロナワクチンまで

ペニシリンはたまたま混入したアオカビから発見された──だけではない.薬の…

MEDCHEM NEWS 33-2 号「2022年度医薬化学部会賞」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP