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ディスカッション

私がケムステスタッフになったワケ(4)

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今回の記事は第1回ケムステオンライン座談会『ケムステスタッフで語ろうぜ』において、3月20日あたりから4月10日あたりまでフェイスブックのケムステグループで交わされたやりとりを抜粋したものです。これまでの第一回, 第二回, 第三回に続いて、この記事は4番目です。今回は、1、メーカ企業で働くスタッフと、2、天然物化学を先行する大学院生スタッフに「なぜケムステスタッフになったのか」その理由について聞いてみました。

1、メーカー企業スタッフの場合

問:なぜケムステスタッフになったのか?

メーカー企業スタッフ:私が参加させて頂いた理由は、試薬開発が活発になって欲しい、会社で試薬部門を立ちあげたい この二つです。学生時代に試薬の自製で苦労し、なんで市販されていないんだと逆切れしながら研究生活をおくりました。そんなことから、他社にない試薬を売るという某社で色々な試薬を合成しようと意気込むも見事に不採用。他の試薬メーカーも不採用の経緯を経て今の会社に入ったものの、試薬への憧れが捨てきれませんでした。悩んだ末に 今の会社で試薬部門を立ち上げれば良いじゃないか、と無謀な発想に至り、試薬の勉強として試薬関連の記事の投稿をしようと思いケムステに参加させて頂いた次第です。また、試薬に関する話題が少ないように感じていたため、記事を通じて試薬がもっと注目されるようになれば良いなと思ったことも理由の1つです。

スタッフA:ケムステでは、他社の新製品について書きたいですか?それとも論文見て「これ試薬化ませんか!」と書きたいですか?

メーカー企業スタッフ:将来的には新製品についての記事を描きたいです。販売されるということは、それだけのニーズが有るということであり、他人に使用して貰えるモノを目指したいという思いがあるので、記事を書く中でニーズや市場を学ぶには良いと思うのです。ただ、既存の試薬についての知識が非常に足りない部分がありますし、同じカテゴリーの試薬でも違いを解説してくれているサイト(Wikiのカルボジイミドのようなページ)がもっと沢山あるといいなと思うので、まずは既存の試薬についての記事を書きたいです。あと、うちの会社は試薬メーカーというよりは、受託合成がメインです。

スタッフA:うちの研究室で、ジボック(Boc2O)かDCCかは忘れましたが、たくさん使うのに、ガリガリ削りだすのに苦労してて…私が「溶かせばいいんだよ」って言ったら驚いてましたから、そのような単純は話でもん面白いかもしれません。

スタッフB:試薬業界で最近ホットな話題って何だと思いますか?

メーカー企業スタッフ:試薬業界というよりは受託業界の人間なので、自分の興味的な分野になってしまいますが、貴金属担持試薬でしょうか。グリーンが流行りだからというのもありますが、今日の発表において国内のある先生が、高い不斉収率(確か98%ee)が出る金属ナノ粒子担持触媒を開発されたらしく、これをきっかけに更なる注目が集まるのではないかと考えてます。

スタッフB:金属ナノ粒子担持触媒!要注目ですね!


2、天然物化学を専攻する大学院生スタッフの場合

問:なぜケムステスタッフになったのか?

大学院生:学生の頃からケムステの読者でした。スタッフの募集記事などは以前から目にしていました。興味はありましたが、自分なんかのレベルではスタッフには到底なれないと思い、応募は思いとどまっていました。その後、数年が経ち、私はシリコンバレーバイオベンチャー見学ツアーに参加しました。(記事:製薬産業の最前線バイオベンチャーを訪ねてみよう! ?シリコンバレーバイオ合宿?)このツアーで、無理だと思っても、たとえ失敗しても何かにチャレンジすれば、その過程で新しい出会いや、チャンスが訪れるということを学び、勇気を出してケムステスタッフに応募してみようかなと思いました。また、自分の専門が天然物化学ということもあり、ケムステであまり深く触れられていない分野だったので貢献できるかもしれないというのも応募を後押ししました。見学ツアーの直後で気持ちがハイになっていた、他のスタッフと少し専門が異なっていたということで勇気を出して応募することが出来ましたが、そうでなかったらスタッフにはなっていなかったと思います。ケムステスタッフになった理由は、「天然物化学=モノトリ」という観念を覆したいという気持ちと、記事を書けば自分の勉強になるかもという2つです。

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スタッフA:「天然物化学=モノトリ」という観念を覆したい…これは記事を読んでて毎度なるほどと思うところです。実際そういうイメージが僕自身凄く強かったです。というのも学部生時代の天然物授業なんて、「天然物の名前を覚えるだけ」のものでしたしね(現在の授業はどうだか知りませんが・・・)。学生実習も植物成分の抽出でしたしね。これでモノトリというイメージをぬぐうのはまず無理でしょうね。というわけで、とても貴重なスタンスの記事だと思いますし、その狙いは機能していると思いますよ。

大学院生:正直、自分の記事がどう思われているのかって全然分からないので、こういって頂けると嬉しいです。天然の授業は相変わらずですが、実習には酵素を用いた化合物の合成というものが追加されました。

スタッフB:モノ取りとしての天然物屋って、今は少ない気がするんですが(勉強不足かな…)?私は学科は違うもののモノ取り&合成やってる先生が2人いたので何となく知ってますが、今の学生は知る機会あるのかな?って事でモノ取りの天然物の話を書くのも面白いかもしれないですね。

スタッフC:モノ取りは近年苦戦していると思います。そもそも全く新しい骨格、構造の化合物はこれから益々でなくなっていくことは目に見えています。そして、新しい活性ももはや見つからなくなってきています。しかし、天然物化学の根底はモノ取りにあって、たった一つの化合物が起爆剤となって全く新しい手法が生み出されたり(トリコスタチンとか)重要な分野であることには変わりないと思っています。そんで日本がモノ取りに強かったというのもありますね

大学院生:天然物の根底はモノトリにあるという意見に賛成です。結局、生合成や酵素の研究やっても生成物の構造を決めるにはモノトリの技術が必要なんですよね。そもそもモノトリがされている植物とか微生物を生合成研究のターゲットに決めてますし、モノトリが無いと研究がスタートしないのかなとも思います。

スタッフB:そう言えば最近、「サクラの香り成分をとってきた」ってニュースを見て、こんな化合物かぁ(ー ー;)って思った。香料会社の研究所見学行った時に、ガスクロの先に匂い嗅ぐ所あって!人力検出器かい!ってすごい新鮮だったのを思い出したよ。

スタッフD:そもそも新しい生理活性試験の実験系を作ろうという気がなく、古典的な細胞毒性を指標に、分類が少し違うだけの生き物から、抽出しても似たようなモノが取れるのは当たり前ですよね。何かよく分からんけどスペクトル読んでみたらこうなりました、構造は複雑そうですね、真の生理活性型か知らないけれども内生量を無視していっぱいあげたら細胞が死にました、と。フグの毒の実態って何だろう(関連記事はこちら)、マタタビの何がネコを酔わすんだろう(関連記事はこちら)、シカの雌雄がなかむつまじくしている仕組みは何だろう、ウサギは子どものにおいが変わると世話をしなくなるのはなぜだろう、ホヤや海綿といったやわらかい海産動物が捕食されない理由には何かありそうだ、そういう根本的な疑問から始まるモノ取りはいまだに高い評価をされていると思います。ゴキブリの性フェロモンを取ったとか、菌根菌の分枝を誘導する物質を取ったとか、スズメバチの警報フェロモンを取ったとか、マウスの涙にフェロモンを見つけた(関連記事はこちら)、とか。まぁ、分子生物学の発展にともない仮説を証明するための方法が拡充されたので、50年前の図書館でしか読めないNature論文と違い、あれもこれもと要求されるのでしょうが。

スタッフD:読者だったころが短くないわけですがとくによく見ていたコンテンツは何でしたか?

大学院生:僕が一番好きだったのは、世界の化学者DBです。昔から、人の名前を覚えるのが好きです。あと、研究の流れみたいのを見るのが好きです。誰々はどこどこで修行して師匠の研究を少し引き継いで発展させて、とかです。

スタッフA:Academic Tree というサイトを提供致しましょう。ニヤニヤしてくださいw 世界の化学者データベースにもこういう系譜機能つけたいんですけどね。

第5回に続きます。

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(The original article was reformatted and organized on 25.03.2020 by Gakushi)

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