[スポンサーリンク]

chemglossary

超臨界流体 Supercritical Fluid

[スポンサーリンク]

scfluid1

 

物質はある圧力・温度以上においては、気相-液相の区別が付かなくなります。この圧力・温度(臨界点)を超えた状態を超臨界流体(supercritical fluid)と呼びます。

臨界点以上では、分子間力を振り切るに十分な運動エネルギーが得られる温度でありつつも、高圧であるために分子間距離が近い、すなわち分子間力の影響を考えざるを得ないという、特異な状態が実現されています。このため超臨界流体は、液体でも気体でもない独特の性質を持ちます。

固体微細空間にも容易に染みこむことが出来、溶解度などのパラメータを連続的に変化させられるために、抽出・洗浄・反応溶媒などへの応用が成されています。1978年には、ドイツでコーヒー豆からカフェインを抽出する目的で、超臨界流体が実用化されています。
また、超臨界流体クロマトグラフィ(supercritical fluid chromatograph; SFC)なども、今では普及している技術の一つです。簡単に言えば超臨界流体を展開系として使ったHPLCのことです。通常のHPLCよりも更に高い分離能を誇ります。

こういった目的での応用においては、.超臨界二酸化炭素(scCO2)がもっとも頻繁に使われます。実験室レベルで簡便に実現できる臨界点(27℃、7.8MPa)を持つことが大きな理由です。

もう一つよく使われるものに、超臨界水(scH2O)があります。これは強い酸化力・加水分解力を有しつつ、有機物質を良く溶かすために、廃棄物分解などの応用へつながる技術として期待されています。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”B00HSSC726″ locale=”JP” title=”Supercritical Fluid Chromatography: Advances and Applications in Pharmaceutical Analysis”][amazonjs asin=”462108061X” locale=”JP” title=”超臨界流体入門”][amazonjs asin=”4781301630″ locale=”JP” title=”超臨界流体技術とナノテクノロジー開発 (CMCテクニカルライブラリー―新材料・新素材シリーズ)”][amazonjs asin=”478130057X” locale=”JP” title=”超臨界流体技術の開発と応用 (新材料・新素材シリーズ)”]

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 重医薬品(重水素化医薬品、heavy drug)
  2. 多重薬理 Polypharmacology
  3. 分子の点群を帰属する
  4. 卓上NMR
  5. mRNAワクチン(メッセンジャーRNAワクチン)
  6. クリックケミストリー / Click chemistry
  7. MOF-5: MOF の火付け役であり MOF の代名詞
  8. 二水素錯体 Dihydrogen Complexes

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第84回―「トップ化学ジャーナルの編集者として」Anne Pichon博士
  2. Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」①(解答編)
  3. バートン脱カルボキシル化 Barton Decarboxylation
  4. マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎
  5. 合成化学の”バイブル”を手に入れよう
  6. チャート式実験器具選択ガイド:スパチュラ・グローブ編
  7. 第二回ケムステVシンポジウム「光化学へようこそ!~ 分子と光が織りなす機能性材料の新展開 ~」を開催します!
  8. 2005年6月分の気になる化学関連ニュース投票結果
  9. ショウリョウバッタが吐くアレについて
  10. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑱:Apple Watchの巻

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP