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天然物

ギ酸 (formic acid)

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ギ酸は炭素数1の還元性を持つカルボン酸。アリから発見されました。

 

詳細

ギ酸は炭素数1の最も構造が単純なカルボン酸のひとつ。アルデヒドの性質もあわせ持ち、還元性があります。ギ酸は常温液体で、水とは任意の割合で混和します。ギ酸は水素イオンを放出しやすく、酢酸やプロピオン酸など他のカルボン酸と比べるとやや強い酸です。
ギ酸を濃硫酸で脱水させて起こる化学反応は、実験室での一酸化炭素の生成法として、よく用いられます。一酸化炭素もしくは二酸化炭素からギ酸を作る反応は、どうにか光エネルギーを利用して効率よくできないものか、さかんに研究されています(参考:ケムステ記事「ついに成功した人工光合成」参照)。

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濃硫酸によるギ酸の脱水

死んだアリ(formicidae; アリ科)の蒸留で初めて単離されたため、この物質をイギリスの博物学者ジョン・レイ(John Ray)はギ酸(formic acid; 蟻酸)と命名しました。アリ科の昆虫すべてがギ酸を含有するわけではないものの、日本国内でわたしたちがよく見るクロオオアリやクロヤマアリはギ酸が含まれるアリのなかまです。アリに含まれるギ酸の濃度は、高いもので50パーセントを超えます。アリのギ酸は、天敵となる動物に食べられにくくする役割と、アリどうしのコミュニケーションとして警告フェロモンの役割があると考えられています。アリ組織抽出物を使った同位体追跡の実験によれば、ギ酸の炭素原子はグリシンもしくはセリンに由来します。生合成は葉酸が仲介となる経路だと考えられています[1]。
鳥の中には、生まれながらにしてアリにギ酸が含まれることを本能で知っているものもあります[2]。このような鳥は、アリをそのまま食べません。アリをくちばしでついばんだまま自分のからだになすりつけ、ギ酸を放出しきったところで食べる鳥もいます。ギ酸をなすりつけることで、鳥のからだの殺菌や殺虫にもなっていると考えられています。この行動は蟻浴(anting)と呼ばれています。

参考文献

[1] “Biosynthesis and accumulation of formic acid in the poison gland of the carpenter ant Camponotus pennsylvanicus.” Hefetz A et al. Science1978 DOI: 10.1126/science.201.4354.454
[2] “Anting in Blue Jays: evidence in support of a food-preparatory function.” Eisner T et al. Chemoecology2008 DOI: 10.1007/s00049-008-0406-3

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静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。

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