[スポンサーリンク]

天然物

ミック因子 (Myc factor)

[スポンサーリンク]

 

ミック因子は、リン酸などの土壌ミネラルを運ぶことができる菌根菌から分泌されて、植物に認識される「共生しようよ」のメッセージになる分子。菌根(mycorrhiza)の形成を仲介します。

詳細

ミック因子(Myc factor)の発見には、2つの生理活性試験が使われました。1つ目は、ヤハズエンドウ(Vicia sativa)の菌根菌感染時に枝分かれする根毛です。2つ目は、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)の菌根菌感染シグナル応答に関与する遺伝子ENOD1[1]のプロモータに試薬を加えると反応して青い色素を作るレポーター配列を組み込んだものです。この2つを併用してミック因子は単離され、オリゴ糖に脂肪酸が結合した構造が決定されました[2]。根粒菌とマメ科植物の共生を仲介するノッド因子とは、脂肪鎖の不飽和結合に違いがあります。

GREEN2013myc1.png

ミック因子とノッド因子は不飽和結合に違い

分子モデル

GREEN2013mycmovie.gif

参考文献

[1] “A Diffusible Factor from Arbuscular Mycorrhizal Fungi Induces Symbiosis-Specific MtENOD11 Expression in Roots ofMedicago truncatula.” Kosuta S et al. Plant Physiol 2003 DOI: ?10.?1104/?pp.?011882

[2] “Fungal lipochitooligosaccharide symbiotic signals in arbuscular mycorrhiza.”?Maillet F et al. Nature 2011 DOI: 10.1038/nature09622

Green

投稿者の記事一覧

静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。

関連記事

  1. ボンビコール /bombykol
  2. アルファリポ酸 /α-lipoic acid
  3. チアミン (thiamin)
  4. 酒石酸/Tartaric acid
  5. 化学者のためのエレクトロニクス講座~無電解めっきの原理編~
  6. 【解ければ化学者】オリーブオイルの主成分の素はどれ?【脂肪の素っ…
  7. メラトニン melatonin
  8. 亜鉛クロロフィル zinc chlorophyll

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 田辺製薬、エイズ関連治療薬「バリキサ錠450mg」を発売
  2. グアニジニウム/次亜ヨウ素酸塩触媒によるオキシインドール類の立体選択的な酸化的カップリング反応
  3. 菌・カビを知る・防ぐ60の知恵―プロ直伝 防菌・防カビの新常識
  4. DABSOを用いるSO2導入反応 SO2 incorporation using DABSO
  5. テトロドトキシン Tetrodotoxin
  6. 付設展示会に行…けなくなっちゃった(泣)
  7. Ru触媒で異なるアルキン同士をantiで付加させる
  8. 第173回―「新たな蛍光色素が実現する生細胞イメージングと治療法」Marina Kuimova准教授
  9. マテリアルズ・インフォマティクスを実践するためのベイズ最適化入門 -デモンストレーションで解説-
  10. “秒”で分析 をあたりまえに―利便性が高まるSFC

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

GoodNotesに化学構造が書きやすいノートが新登場!その使用感はいかに?

みなさんは現在どのようなもので授業ノートを取っていますでしょうか。私が学生だったときには電子…

化学者のためのWordマクロ -Supporting Informationの作成作業効率化-

「化合物データの帰属チェックリスト、見やすいんですが、もっと使いやすくならないですか」ある日、ラ…

酢酸ウラニル(VI) –意外なところから見つかる放射性物質–

酢酸ウラニル(VI) (UO2(CH3COO)2·2H2O) はウラニル (二酸化ウ…

機械学習と計算化学を融合したデータ駆動的な反応選択性の解明

第612回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学 大学院理工学府(五東研究室)博士課程後期1年の坂…

超塩基配位子が助けてくれる!銅触媒による四級炭素の構築

銅触媒による三級アルキルハライドとアニリン類とのC–Cクロスカップリングが開発された。高い電子供与性…

先端領域に携わりたいという秘めた思い。考えてもいなかったスタートアップに叶う場があった

研究職としてキャリアを重ねている方々の中には、スタートアップは企業規模が小さく不安定だからといった理…

励起パラジウム触媒でケトンを還元!ケチルラジカルの新たな発生法と反応への応用

第 611 回のスポットライトリサーチは、(前) 乙卯研究所 博士研究員、(現) 北海道大学 化学反…

“マブ” “ナブ” “チニブ” とかのはなし

Tshozoです。件のことからお薬について相変わらず色々と調べているのですが、その中で薬の名…

【著者に聞いてみた!】なぜ川中一輝はNH2基を有する超原子価ヨウ素試薬を世界で初めて作れたのか!?

世界初のNH2基含有超原子価ヨウ素試薬開発の裏側を探った原著論文Amino-λ3-iodan…

千葉 俊介 Shunsuke Chiba

千葉俊介 (ちばしゅんすけ、1978年05月19日–)は日本の有機化学者である。シンガポール南洋理⼯…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP