[スポンサーリンク]

K

熊田・玉尾・コリューカップリング Kumada-Tamao-Corriu Cross Coupling

[スポンサーリンク]

ハロゲン化合物→芳香族化合物、アルカン、アルケン

 

概要

  • アリールハライド・アリールトリフラートとGrignard試薬間の、ニッケルもしくはパラジウム触媒によるクロスカップリング反応。
  • sp2炭素-炭素結合形成反応、いわゆる”クロスカップリング反応”の先駆けであり、実用・学術両面におけるマイルストーンとなった反応。
  • 操作も簡便であり、安価なニッケルを用いることが出来るため実用性は高い。一方パラジウム触媒のほうは穏和な反応性を示すため、化学選択性により優れる傾向にある。
  • ただし、当然のことながらGrignard試薬と反応してしまう、活性官能基を持つ化合物には適用できない。
  • 亜鉛とのトランスメタル化により低反応性の有機亜鉛試薬にする(根岸カップリング)、もしくはNi・Pdの代わりにFe(III)触媒を用いる(Kochi-Fustnerカップリング)ことで解決できる場合もある。

基本文献

 

反応機構

Grignard試薬のHomocouplingにより0価のNiもしくはPdがまず生成する。アリールハライドがそれに酸化的付加する。引き続きGrignard試薬とのトランスメタル化→還元的脱離を経て、触媒サイクルが完結する。
kumada_tamao_2.gif

反応例

  • 不斉熊田カップリングの例[1] kumada_tamao_3.gif
  • マグネシウムアート錯体を用いる官能基受容型熊田カップリング[2]

kumada_tamao_4.gif

  • アリールフルオライドを基質とする熊田カップリング[3]

 

kumada_tamao_5.gif

 

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

  1. Hayashi, T.; Hayashizaki, K.; Kiyoi, T.; Ito, Y. J. Am. Chem. Soc. 1988, 110, 8153. DOI: 10.1021/ja00232a030
  2. Martin, R.; Buchwald, S. L. J. Am. Chem. Soc. 2007129, 3844. doi:10.1021/ja070830d
  3. Yoshikai, N.; Mashima, H.; Nakamura, E. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 17978. DOI: 10.1021/ja056327n

 

関連書籍

[amazonjs asin=”3527331549″ locale=”JP” title=”Metal Catalyzed Cross-Coupling Reactions and More, 3 Volume Set”][amazonjs asin=”3527319379″ locale=”JP” title=”Modern Arylation Methods”]

 

外部リンク

関連記事

  1. ビニルシクロプロパン転位 Vinylcyclopropane R…
  2. マクファディン・スティーヴンス反応 McFadyen-Steve…
  3. コーンブルム酸化 Kornblum Oxidation
  4. カテラニ反応 Catellani Reaction
  5. ケーニッヒ・クノール グリコシド化反応 Koenigs-Knor…
  6. シュミット グリコシル化反応 Schmidt Glycosyla…
  7. アサートン・トッド反応 Atherton-Todd Reacti…
  8. ジョーンズ酸化 Jones Oxidation

注目情報

ピックアップ記事

  1. リンダウ会議に行ってきた④
  2. マイクロ波を用いた合成プロセス技術と実用化への道【終了】
  3. 第18回「化学の職人」を目指すー京都大学 笹森貴裕准教授
  4. ボールペンなどのグリップのはなし
  5. 【マイクロ波化学(株) 石油化学/プラスチック業界向けウェビナー】 マイクロ波による新事業 石油化学・プラスチック業界のための脱炭素・電化ソリューション
  6. 2009年ロレアル・ユネスコ女性科学者 日本奨励賞発表
  7. 条件最適化向けマテリアルズ・インフォマティクスSaaS 「miHub」のアップデート情報をご紹介 -分子構造を考慮した解析、目的変数の欠損値補完編-
  8. 水素結合水H4O
  9. 合成ルートはどれだけ”良く”できるのか?分子構造からプロセス質量強度を予測する SMART-PMI
  10. クロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I) (ダイマー):Chloro(1,5-cyclooctadiene)rhodium(I) Dimer

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2025年5月号:特集号 有機合成化学の力量を活かした構造有機化学のフロンティア

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年5月号がオンラインで公開されています!…

ジョセップ・コルネラ Josep Cornella

ジョセップ・コルネラ(Josep Cornella、1985年2月2日–)はスペイン出身の有機・無機…

電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功

第658回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 農学研究科(生体機能化学研究室)修士2年の市川…

ティム ニューハウス Timothy R. Newhouse

ティモシー・ニューハウス(Timothy R. Newhouse、19xx年xx月x日–)はアメリカ…

熊谷 直哉 Naoya Kumagai

熊谷 直哉 (くまがいなおや、1978年1月11日–)は日本の有機化学者である。慶應義塾大学教授…

マシンラーニングを用いて光スイッチング分子をデザイン!

第657 回のスポットライトリサーチは、北海道大学 化学反応創成研究拠点 (IC…

分子分光学の基礎

こんにちは、Spectol21です!分子分光学研究室出身の筆者としては今回の本を見逃…

ファンデルワールス力で分子を接着して三次元の構造体を組み上げる

第 656 回のスポットライトリサーチは、京都大学 物質-細胞統合システム拠点 (iCeMS) 古川…

第54回複素環化学討論会 @ 東京大学

開催概要第54回複素環化学討論会日時:2025年10月9日(木)~10月11日(土)会場…

クソニンジンのはなし ~草餅の邪魔者~

Tshozoです。昔住んでいた社宅近くの空き地の斜面に結構な数の野草があって、中でもヨモギは春に…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP