[スポンサーリンク]

N

野依不斉水素化反応 Noyori Asymmetric Hydrogenation

概要

Ru(II)-BINAP触媒および水素を用いて、オレフィンもしくはケトンの不斉還元を行う方法。

Ru(OAc)2(binap)によるオレフィンの還元、およびRuCl2(binap)(dmf)n触媒によるケトンの還元の場合には、近傍にエステル・アミド・カルボン酸・アルコールなどの配位性官能基の存在が必須である。

単純ケトン(配位性官能基を持たないケトン)の触媒的不斉還元法は、過去にはCBS還元以外に一般性の高い方法が存在していなかった。野依らはRu(II)-BINAP-キラルジアミン錯体が単純ケトンの不斉還元触媒として働くことを見いだした。

本法ではオレフィン共存下にケトンを優先的に還元させることが出来る。一般に触媒性能はきわめて高く、基質によっては触媒回転数(TON)が100,000近くに達する。
基質一般性は広く、水素を還元剤として用いることが出来るクリーンかつ高アトムエコノミーの反応であり、工業プロセスにも応用されている。

本法の開発による触媒的不斉還元法への貢献のため、名大の野依良治教授は2001年ノーベル化学賞を受賞している。

基本文献

  • Noyori, R. Asymmetric Catalysis in Organic Synthesis , Ojima, I. Ed.; John Wiley & Sons; New York, 1994, chapter 2.
  • Noyori, R..; Ohkuma, T. Angew. Chem., Int. Ed. 200140, 40. [abstract]
  • 大熊 毅, 有機合成化学協会誌 2001, 59, 446.
  • 塚本真幸, 北村雅人, 有機合成化学協会誌 2005, 63, 899.

<Nobel Lectures>

  • Knowles, W. S. Angew. Chem. Int. Ed. 200141, 1998. [abstract]
  • Noyori, R. Angew. Chem. Int. Ed. 200141, 2008. [abstract]

 

反応機構

Ruの価数は反応を通じて2価(モノヒドリド機構)であり、この点はRh(I)←→Rh(III)で回転するロジウム触媒系と異なっている。
noyori_red_4.gif
noyori_red_5.gif
Ru(II)-BINAP-キラルジアミン系の触媒遷移状態においては、アミン上の水素原子が基質固定に重要な役割を果たすと考えられている。(野依不斉水素移動反応も参照)

 

反応例

noyori_red_9.gif
noyori_red_6.gif
noyori_red_8.gif

実験手順

シトロネロールの合成[1] noyori_red_7.gif

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Org. Synth. 1993, 72, 74.

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

The following two tabs change content below.
Hiro

Hiro

Hiro

最新記事 by Hiro (全て見る)

関連記事

  1. アセタール還元によるエーテル合成 Ether Synthesis…
  2. 有機銅アート試薬 Organocuprate
  3. ローゼンムント還元 Rosenmund Reduction
  4. リード反応 Reed Reaction
  5. 不均一系接触水素化 Heterogeneous Hydrogen…
  6. ウィッティヒ反応 Wittig Reaction
  7. アセト酢酸エステル/マロン酸エステル合成 Acetoacetic…
  8. バンバーガー転位 Bamberger Rearrangement…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. サリドマイドの治験、22医療機関で 製薬会社が発表
  2. LSD1阻害をトリガーとした二重機能型抗がん剤の開発
  3. 第94回日本化学会付設展示会ケムステキャンペーン!Part II
  4. 細胞を模倣したコンピューター制御可能なリアクター
  5. 芳香族トリフラートからアリールラジカルを生成する
  6. 三枝・伊藤酸化 Saegusa-Ito Oxidation
  7. テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリカート:Tetrabutylammonium Difluorotriphenylsilicate
  8. 最近の有機化学注目論文3
  9. 米FDA、塩野義の高脂血症薬で副作用警告
  10. 光延反応 Mitsunobu Reaction

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

超分子化学と機能性材料に関する国際シンポジウム2018

「超分子化学と機能性材料に関する国際シンポジウム2018」CEMS International Sy…

アメリカで Ph. D. を取る –研究室に訪問するの巻–

この連載は、米国の大学院で Ph.D. を取得することを目指す学生が日記感覚で近況を記録するためのも…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP