[スポンサーリンク]

B

ベロウソフ・ジャボチンスキー反応 Belousov-Zhabotinsky(BZ) Reaction

[スポンサーリンク]

 

概要

BZ反応は大変珍しい化学振動(Chemical Oscillation)の代表例として知られている。金属イオンを選ぶことで溶液の色がさまざまに変わるので、この反応は試演に向いている。

合成化学的観点からは特筆すべき点は無いものの、生命現象や自然界の挙動、複雑系、非線形科学現象を理解する上で、大変示唆に富む反応の一つとされている。

基本文献

  •  Zhabotinsky, A. M. Chaos 1991, 1
  •  Pechenkin, A. , J. Biosci. 2009, 34,  365.

 

開発の歴史

1951年BZ反応はソ連の化学者ベロウソフによって見出されたが、周期的な現象であることが認められなかったため受理されなかった。その後、1961年にジャボチンスキーが再発見した。

Boris Pavlovich Belousovと Anatoly Zhabotinsky

Boris Pavlovich Belousovと Anatoly Zhabotinsky

 

反応機構

セリウムを用いる場合、Ce(III)とCe(IV)の酸化還元系になり、溶液はそれぞれ無色と黄色。Ce(III)→Ce(IV)の酸化反応は臭化物イオン(Br)の濃度が高いときに速く、Ce(IV)→Ce(III)の還元反応は臭素(Br2)の濃度が高いときに速い。他の条件を適切に設定してやることで、Ce(III)とCe(IV)の間で振動的に酸化還元反応を起こすことができる。

臭素酸塩およびマロン酸を媒介として組み立てられているので、これらが消費されると反応自体は停止する。
BZ_2.gif
詳細はWikipedia(ベロウソフ・ジャボチンスキー反応)に詳しい。

 

反応例

現象が視覚的に明瞭ということもあり、ネット上にも動画が多数公開されている。Youtubeから一つ引用しておく。

BZ反応機構を組み込んだ、化学エネルギーを使って自走するゲル

実験手順

※実験手順自体は簡単で、試薬を混ぜるだけで良い。中学・高校の化学クラブなどでの試演に向いている。

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4061532278″ locale=”JP” title=”非平衡系の科学〈3〉反応・拡散系のダイナミクス”][amazonjs asin=”0486428818″ locale=”JP” title=”Chemical Oscillations, Waves, and Turbulence (Dover Books on Chemistry)”]

 

外部リンク

 

関連記事

  1. 野依不斉水素化反応 Noyori Asymmetric Hydr…
  2. アルコールのアルカンへの還元 Reduction from Al…
  3. 林・ヨルゲンセン触媒 Hayashi-Jørgensen Cat…
  4. 根岸カルボメタル化 Negishi Carbometalatio…
  5. クライゼン縮合 Claisen Condensation
  6. 超原子価ヨウ素 Hypervalent Iodine
  7. エピスルフィド合成 Episulfide Synthesis
  8. フリッチュ・ブッテンバーグ・ウィーチェル転位 Fritsch-B…

注目情報

ピックアップ記事

  1. ロイカート・ヴァラッハ反応 Leuckart-Wallach Reaction
  2. ハウアミンAのラージスケール合成
  3. 超原子価ヨウ素反応剤を用いたジアミド類の4-イミダゾリジノン誘導化
  4. 合成化学発・企業とアカデミアの新たな共同研究モデル
  5. 生体分子反応を制御する: 化学的手法による機構と反応場の解明
  6. 静岡大准教授が麻薬所持容疑で逮捕
  7. 研究者・技術系ベンチャー向けアクセラレーションプログラム”BRAVE”参加者募集
  8. 米国版・歯痛の応急薬
  9. 世界の技術進歩を支える四国化成の「独創力」
  10. 第15回 触媒の力で斬新な炭素骨格構築 中尾 佳亮講師

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP