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硤合不斉自己触媒反応/Soai Asymmetric Autocatalysis

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⏱ 30秒サマリー

  • 何をする反応か — ピリミジン-5-カルバルデヒド類にジイソプロピル亜鉛を付加させる反応で、生成物のピリミジルアルカノール自身が不斉触媒となり、同じ鏡像体を自己増殖させる。
  • 何ができるか — 約0.00005% eeというごくわずかな不斉の偏りを、数回の反応の繰り返しで>99.5% eeまで増幅できる。
  • いつ使うか — 合成法としてではなく、ホモキラリティーの起源の議論や微小キラリティーの検出に。2026年ノーベル化学賞の対象。

概要

1990年、硤合憲三(東京理科大学)らは、光学活性な3-ピリジルアルカノールを触媒としてピリジン-3-カルバルデヒドにジアルキル亜鉛を付加させると、触媒と同じ構造・同じ絶対配置のアルコールが生成する「不斉自己触媒反応」を初めて報告した[1]。続いて1995年には5-ピリミジルアルカノールを用い、わずか2% eeの触媒から連続反応で88% eeまでeeが高まる不斉増幅を実証した[2]。生成物が自分自身の生成を触媒し、かつ鏡像体の生成を抑えるという、Frankが1953年に理論的に提唱した自己触媒モデル[5]を実在の分子で示した例である。

1999年には2位にアルキニル基をもつ5-ピリミジルアルカノールで、>99.5% ee・収率>99%を保ったまま繰り返し自己増殖する「ほぼ完全な」不斉自己触媒が達成された[3]。さらに約0.00005% eeの触媒から出発しても、3回の反応で>99.5% eeに達することが示されている[4]。この極端な増幅能のため、円偏光・キラル結晶・同位体置換に由来する微小なキラリティーまで検出・増幅でき[36][40][43]、生体分子のホモキラリティー(片方の鏡像体だけが使われる現象)の起源を考えるモデル反応として広く研究されている(総説[27][30]–[33][35]、成書[50]–[53])。

不斉触媒の非線形効果を見いだしたKaganの研究[21][28]とともに、本反応は2026年ノーベル化学賞「不斉有機合成における非線形効果および自己触媒作用の発見」の対象となった(ケムステ速報)。一方、反応機構、とりわけ触媒活性種の構造については、現在も異なるモデルが並立している[13][16][34]。

反応機構

(1) 亜鉛アルコキシドの生成と自己触媒サイクル

生成物のアルカノールはiPr₂Znと反応してイソプロピル亜鉛アルコキシドとなり[12]、これがアルデヒドへのイソプロピル基移動を触媒する[2]。生成した新しいアルコキシドは同じ配置をもつため、そのまま触媒集団に加わる。このため反応は自己加速的に進み、シグモイド型の反応速度曲線を示す[15]。速度解析ではiPr₂Znについて0次であることが報告されている[10][15]。

(2) 不斉増幅の起源:ホモキラル会合体とヘテロキラル会合体

Blackmondらは反応熱量測定に基づく速度解析から、生成物アルコキシドが統計的にホモキラル二量体とヘテロキラル二量体を形成し、ホモキラル二量体だけが触媒活性をもつとする「二量体モデル」を提案した[6][9]。ヘテロキラル会合体が少数側の鏡像体を不活性な形で捕捉するため、サイクルを重ねるごとに多数側の鏡像体が優勢になる。この考え方は、不斉配位子のeeと生成物のeeが比例しない非線形効果[21][28]、とりわけ野依らがDAIB触媒によるジアルキル亜鉛付加で示した正の非線形効果[23]と同じ枠組みにある。硤合反応では生成物そのものが触媒になるため、この効果が反応のたびに積み重なり、極端な増幅につながる[9]。

(3) 活性種をめぐる議論①:二量体・四量体モデル

BrownらはNMR解析から、THF中で亜鉛アルコキシドが二量体のみを形成することを示した[8]。一方、BuonoとBlackmondは速度論的証拠から四量体遷移状態の関与を提案した(四量体の統計的形成でも二量体モデルと同じ数式で記述できる)[7]。硤合らは2-(tert-ブチルエチニル)ピリミジル体のイソプロピル亜鉛アルコキシドのX線結晶構造を決定し、四量体構造をとりうることを示した[12]。

Denmark・Houkらはピリジン-3-カルバルデヒド系を中心に、速度論・分光法・DFT計算を組み合わせて、窒素–亜鉛配位で組み上がるホモキラルなsquare–macrocycle–square(SMS)型四量体が基質を二点で捕捉し、配位したiPr₂Znからアルキル基を移す「pyridine-assisted cube escape」機構を提唱した[13]。ここではmeso(ヘテロキラル)四量体が少数側の鏡像体のトラップとして働く。続報では、自己触媒能に複素環窒素とイソプロピル基が必要であることが示され、モデルはピリミジル系へ拡張された[14]。

(4) 活性種をめぐる議論②:ヘミアセタラート機構

Blackmond・Brownらは¹H NMRのリアルタイム観測で、反応中に過渡的なヘミアセタール中間体を検出した。ただし彼らはこれを触媒サイクルの外にある種とみなした[11]。これに対しTrappらは、in situ高分解能質量分析で亜鉛ヘミアセタラート錯体を検出し(反応速度曲線の変曲点で極大)、アルデヒドとアルコキシドから生じる過渡的ヘミアセタラートこそが真の触媒であると提案した[15]。2025年には同グループが、ピリジル系・ピリミジル系の4基質について速度解析とシミュレーションを行い、アルデヒドの還元という副反応を補正するとアルデヒドについて2次・アルコールについて1次の速度式となること、律速段階がヘミアセタラート触媒の生成であることを報告した[16]。同条件では単量体と二量体のアルコキシドは検出されたが、四量体は検出されなかった[16]。Geigerは両モデルを比較し、両者は異なる基質系(ピリジル系とピリミジル系)を主に扱っており、条件によってはいずれの経路も働きうると論じている[34]。現時点で機構は単一のモデルに収束しておらず、断定は避けるべき段階にある。

論文[16]より引用

(5) 主な副反応・競合過程
  • アルデヒドの還元:iPr₂Znによるアルデヒドの第一級アルコールへの還元が競合する。これを考慮しないと速度次数を見誤る、と指摘されている[16]。
  • キラル源なしでの自発的な偏り:キラル物質を加えなくても、どちらかの鏡像体が確率的に優勢になる[39]。わずかなキラル不純物が結果を左右しうる理由でもある[29]。
  • 逆温度依存性:反応温度を下げるほど最大反応速度が大きくなるという、異常な温度依存性が報告されている[10]。

特徴・適用範囲・類似反応との比較

強み
  • 極めて大きな不斉増幅:約0.00005% eeの触媒から、3回の反応で57%→99%→>99.5% eeへ増幅される[4]。
  • 生成物が触媒として自己増殖する:別途触媒を用意する必要がなく、上記の3回の反応で生成物の量は約63万倍に増える[4]。
  • 高い選択性と収率:2-アルキニル-5-ピリミジルアルカノールでは、>99.5% ee・収率>99%を10回の繰り返しでも維持する[3]。
  • 多様な不斉源を増幅できる:円偏光、石英などのキラル無機結晶、アキラル化合物のキラル結晶、同位体置換に由来するキラリティーまで、生成物の絶対配置として読み出せる[36]–[44][46][47][49]。
弱み・注意点
  • 基質が極端に限られる:高い増幅を示すのは、ピリミジル・ピリジル・キノリルなど含窒素芳香族アルデヒドとiPr₂Znの組み合わせにほぼ限られる。複素環窒素とイソプロピル基が必要とされる[14][17]–[20]。
  • 汎用的な合成法ではない:任意のアルデヒドから光学活性アルコールを得る目的には適さない。
  • 確率的な挙動:キラル源がなくてもどちらかの鏡像体が優勢になる[39]。微量のキラル汚染でeeや符号が変わりうる[29]。
  • 応答が「全か無か」的:開始剤ごとに不斉誘起の強さ(トリガー強度)が大きく異なり、中程度のeeと高いeeを区別しにくい。分析法としての限界も指摘されている[48]。
  • 機構が未確定:活性種について四量体モデルとヘミアセタラートモデルが並立している[13][16][34]。
反応 主な前駆体 生成物の型 長所 短所・注意 使いどころ
硤合不斉自己触媒反応 含窒素芳香族アルデヒド+iPr₂Zn+微量の不斉源 光学活性第二級アルコール(=触媒) 極端な不斉増幅と自己増殖[3][4] 基質が極端に限られる。確率的挙動[39] 不斉の起源の研究。微小キラリティーの増幅・検出
キラルアミノアルコール触媒によるジアルキル亜鉛付加(野依DAIBほか)[22][23] アルデヒド+R₂Zn+キラル配位子 光学活性第二級アルコール 基質一般性が広い。正の非線形効果[23] 配位子が別途必要。生成物は触媒にならない 一般的な光学活性アルコール合成
非線形効果を示す不斉触媒反応(Kagan)[21][28] 反応による 反応による 低eeの配位子から高eeの生成物が得られる場合がある 生成物は自己増殖しない 不斉触媒の機構解析
撹拌結晶化・粉砕による対称性の破れ(Kondepudi/Viedma)[24][25] 結晶化する化合物(例:NaClO₃) 単一キラリティーの結晶 完全なキラル純度に到達しうる[25] 結晶系に限られる 結晶系のホモキラリティーのモデル
アミノ酸の固液平衡による熱力学的増幅(Blackmond)[26] 非ラセミのアミノ酸 溶液中で高eeのアミノ酸 平衡(熱力学)でeeが決まる 溶解挙動に依存する 前生物的な不斉増幅のモデル

反応例

本反応は汎用合成法ではないため、以下では基質の系譜と、本反応を特徴づける「不斉源(トリガー)」の例を挙げる。

3-ピリジルアルカノール:最初の不斉自己触媒(1990)

86% eeの(S)-3-ピリジルアルカノールを触媒とするピリジン-3-カルバルデヒドへのiPr₂Zn付加で、同じ(S)体が35% eeで得られた[1][31]。eeは低下したものの、生成物が自分自身の生成を触媒する初めての例である。

5-ピリミジルアルカノール:ee増幅の実証(1995〜1996)

5-ピリミジルアルカノールを触媒とすると、2% eeから4回の連続反応で88% eeまでeeが増幅された[2]。2-メチル-5-ピリミジルアルカノールでも、ee増幅を伴う高効率な不斉自己触媒が示された[17]。

2-アルキニル-5-ピリミジルアルカノール:ほぼ完全な不斉自己触媒(1999〜2003)

2-(tert-ブチルエチニル)体では、>99.5% eeの触媒20 mol%から>99.5% ee・収率>99%で同じ(S)体が生成し、10回繰り返してもeeは低下しなかった[3]。約0.00005% eeからも3回の反応で>99.5% eeに達する[4]。

その他の基質:キノリル・カルバモイルピリジル・アルケニルピリミジル

3-キノリルアルカノールでは8.9% eeから88.1% eeへの増幅が報告されている[18]。5-カルバモイル-3-ピリジル体[19]、2-アルケニルおよび2-ビニル-5-ピリミジル体[20]も不斉自己触媒として働く。

多様な不斉源(トリガー)による開始

本反応では、微量の不斉源で生じたわずかなeeが増幅され、その絶対配置が不斉源の「向き」と対応する。主な例を下表にまとめる。

不斉源(トリガー) 生成アルカノールの配置・ee 文献
d-石英/l-石英 d→(S)体 97% ee(収率95%)、l→(R)体 97% ee(収率97%) [36]
d-/l-NaClO₃結晶 d→(S)体、l→(R)体(高ee) [37]
重水素置換によってのみキラルな第一級アルコール 高選択的に誘起 [38]
円偏光(ラセミ体の不斉光分解) l-CPL→(S)体、r-CPL→(R)体(いずれも>99.5% ee) [40]
クリプトキラルな飽和炭化水素(5-エチル-5-プロピルウンデカン) (R)体→(S)体、(S)体→(R)体(91〜97% ee) [41]
アキラルなシトシンのキラル結晶 CD(+)₃₁₀結晶→(R)体、CD(−)₃₁₀結晶→(S)体(高ee) [42]
¹³C/¹²C置換によるキラリティー 開始剤の配置とeeの符号が一貫して対応 [43]
¹⁶O/¹⁸O置換によるキラリティー 不斉増幅を伴って誘起 [44]
¹⁴N/¹⁵N置換によるキラリティー 窒素同位体のみによる初めての不斉誘起 [46]
アキラルな石膏結晶の鏡像面((010)面/(0−10)面) (010)→(R)体、(0−10)→(S)体 [47]
アキラルなo-ターフェニル類のキラル結晶 最大>99.5% ee [49]

旋光度では検出できないほど小さなキラリティー(クリプトキラル炭化水素[41]、同位体置換体[38][43][44][46])まで、生成物の配置として読み出せる点が本反応の大きな特徴である。

キラル源を加えない自発的絶対不斉合成

キラル物質を一切加えずにピリミジン-5-カルバルデヒドとiPr₂Znを反応させると、検出可能なeeをもつ生成物が得られ、その配置は(S)体19回・(R)体18回とほぼ1:1の確率分布を示した[39]。統計的な揺らぎが自己触媒によって増幅されたものと解釈されており、自発的な対称性の破れの実例とされる。

分析ツールとしての検証

Welch・硤合らは、本反応を光学純度と絶対配置を判定する汎用分析法として検証した[48]。バリノール・プロリノール・フェニルグリシノールは開始剤と同じ配置の生成物を与えたが、フェニルアラニノールは逆の配置を与えた。開始剤ごとにトリガー強度が大きく異なることと、「全か無か」的な応答が限界として示された[48]。

実験手順

実施例:2種のキラル触媒でシードを作り、不斉自己触媒で増幅[45]
  1. 不活性ガス下、2種のキラル化合物((1R,2S)-DMNE 0.1 mmol、(R)-PEAE 0.3 mmol)のヘキサン溶液をヘキサンで希釈し、0 ℃でiPr₂Zn(1 M ヘキサン溶液、1.3 mmol)を滴下して30分撹拌する。
  2. 2-(tert-ブチルエチニル)ピリミジン-5-カルバルデヒド(0.5 mmol)を粉体滴下漏斗から加え、0 ℃で一晩撹拌する。ここで生じたアルカノールが次段の「シード」となる。
  3. 反応液1 mLを別のフラスコに移し、iPr₂Zn(1 Mトルエン溶液、0.25 mmol)とアルデヒド(0.125 mmol)のトルエン溶液を加え、0 ℃で2.5時間撹拌する。
  4. トルエンで希釈したのち、iPr₂Zn(1 Mトルエン溶液、1.0 mmol)とアルデヒド(0.5 mmol)のトルエン溶液を順に加え、さらに2時間撹拌する。
  5. 30%アンモニア水と飽和塩化アンモニウム水溶液の2:1混合液で反応を止め、クロロホルムで3回抽出する。Na₂SO₄で乾燥・濃縮し、シリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル 3:1)で精製する → (S)-ピリミジルアルカノール、収率91%(加えた自己触媒分を差し引いた値)、95.2% ee。eeはキラルHPLC(Daicel Chiralpak IB、5% 2-プロパノール/ヘキサン、254 nm)で決定する。

実験のコツ・テクニック

  • iPr₂Znは自然発火性:空気・水分と激しく反応する。乾燥した器具を用い、不活性ガス下でシリンジやカニューラで扱う。
  • わずかなキラル汚染が結果を左右しうる:キラル源がなくても(S)体・(R)体が確率的に生じる[39]。器具・試薬に由来する微量不純物の影響を含め、どの条件が結果を左右するかは総説に整理されている[29]。
  • キラル源なしの対照実験を並行して行う:確率的に生じる偏り[39]と不斉源による誘起を区別するため、対照実験を併せて行うことが望ましい。
  • 開始剤ごとにトリガー強度が大きく異なる:試料に少量でもトリガー強度の高い成分が混入していると、結果を支配しうる[48]。
  • 応答は「全か無か」的:微小なeeの検出には強いが、中程度のeeと高いeeの差の評価には向かない[48]。
  • 低温ほど速い場合がある:最大反応速度が温度の低下とともに大きくなる逆温度依存性が報告されている[10]。温度条件を変える際は注意する。
  • 溶媒で会合状態が変わる:THF中では亜鉛アルコキシドが二量体のみを形成するとの報告がある[8]。溶媒の変更は機構・選択性に影響しうる。
  • 副反応(アルデヒドの還元)を考慮する:速度解析では、iPr₂Znによるアルデヒドの第一級アルコールへの還元を補正しないと速度次数を誤る[16]。
  • 基質の骨格で反応速度が変わる:ピリミジル系はピリジル系より速く、2位がtert-ブチルエチニル基のピリミジル体が最も速いと報告されている[16]。

参考文献

【原著】
  1. Soai, K.; Niwa, S.; Hori, H. J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1990, 982–983. DOI: https://doi.org/10.1039/C39900000982(3-ピリジルアルカノールによる最初の不斉自己触媒反応)
  2. Soai, K.; Shibata, T.; Morioka, H.; Choji, K. Nature 1995, 378, 767–768. DOI: https://doi.org/10.1038/378767a0(5-ピリミジルアルカノールでee増幅を初めて実証。2%→88% ee)
  3. Shibata, T.; Yonekubo, S.; Soai, K. Angew. Chem., Int. Ed. 1999, 38, 659–661. DOI: https://doi.org/10.1002/(SICI)1521-3773(19990301)38:5<659::AID-ANIE659>3.0.CO;2-P(2-アルキニル体で>99.5% ee・収率>99%の「ほぼ完全な」不斉自己触媒)
  4. Sato, I.; Urabe, H.; Ishiguro, S.; Shibata, T.; Soai, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2003, 42, 315–317. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.200390105(約0.00005% eeから3回で>99.5% eeへ増幅)
【機構・理論】
  1. Frank, F. C. Biochim. Biophys. Acta 1953, 11, 459–463. DOI: https://doi.org/10.1016/0006-3002(53)90082-1(自己触媒と鏡像体の相互阻害による自発的不斉合成の理論モデル)
  2. Blackmond, D. G.; McMillan, C. R.; Ramdeehul, S.; Schorm, A.; Brown, J. M. J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 10103–10104. DOI: https://doi.org/10.1021/ja0165133(反応熱量測定による速度解析と二量体モデル)
  3. Buono, F. G.; Blackmond, D. G. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 8978–8979. DOI: https://doi.org/10.1021/ja034705n(四量体遷移状態の速度論的証拠)
  4. Gridnev, I. D.; Serafimov, J. M.; Brown, J. M. Angew. Chem., Int. Ed. 2004, 43, 4884–4887. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.200353572(NMRによる亜鉛アルコキシドの溶液構造。THF中で二量体)
  5. Blackmond, D. G. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2004, 101, 5732–5736. DOI: https://doi.org/10.1073/pnas.0308363101(不斉自己触媒とホモキラリティー起源の関係を論じた論文)
  6. Quaranta, M.; Gehring, T.; Odell, B.; Brown, J. M.; Blackmond, D. G. J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 15104–15107. DOI: https://doi.org/10.1021/ja103204w(反応速度の異常な逆温度依存性)
  7. Gehring, T.; Quaranta, M.; Odell, B.; Blackmond, D. G.; Brown, J. M. Angew. Chem., Int. Ed. 2012, 51, 9539–9542. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.201203398(リアルタイム¹H NMRで過渡的ヘミアセタールを観測)
  8. Matsumoto, A.; Abe, T.; Hara, A.; Tobita, T.; Sasagawa, T.; Kawasaki, T.; Soai, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2015, 54, 15218–15221. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.201508036(イソプロピル亜鉛アルコキシドのX線結晶構造)
  9. Athavale, S. V.; Simon, A.; Houk, K. N.; Denmark, S. E. Nat. Chem. 2020, 12, 412–423. DOI: https://doi.org/10.1038/s41557-020-0421-8(SMS型四量体と「cube escape」機構の提唱)
  10. Athavale, S. V.; Simon, A.; Houk, K. N.; Denmark, S. E. J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 18387–18406. DOI: https://doi.org/10.1021/jacs.0c05994(自己触媒能に必要な構造要素の系統的解析)
  11. Trapp, O.; Lamour, S.; Maier, F.; Siegle, A. F.; Zawatzky, K.; Straub, B. F. Chem. Eur. J. 2020, 26, 15871–15880. DOI: https://doi.org/10.1002/chem.202003260(in situ MSで亜鉛ヘミアセタラート錯体を検出し触媒種と提案)
  12. Möhler, P.; Betzenbichler, G.; Huber, L.; Siegle, A. F.; Trapp, O. Nat. Commun. 2025, 16, 7303. DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-025-62591-3(ピリジル・ピリミジル系の速度解析。四量体は検出されず)
【変法・改良法】
  1. Shibata, T.; Morioka, H.; Hayase, T.; Choji, K.; Soai, K. J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 471–472. DOI: https://doi.org/10.1021/ja953066g(2-メチル-5-ピリミジルアルカノールの不斉自己増殖)
  2. Shibata, T.; Choji, K.; Hayase, T.; Aizu, Y.; Soai, K. Chem. Commun. 1996, 1235–1236. DOI: https://doi.org/10.1039/CC9960001235(3-キノリルアルカノールで8.9%→88.1% ee)
  3. Shibata, T.; Morioka, H.; Tanji, S.; Hayase, T.; Kodaka, Y.; Soai, K. Tetrahedron Lett. 1996, 37, 8783–8786. DOI: https://doi.org/10.1016/S0040-4039(96)02031-X(5-カルバモイル-3-ピリジルアルカノール)
  4. Sato, I.; Yanagi, T.; Soai, K. Chirality 2002, 14, 166–168. DOI: https://doi.org/10.1002/chir.10068(2-アルケニル・2-ビニル-5-ピリミジルアルカノール)
【類似反応・代替法】
  1. Puchot, C.; Samuel, O.; Duñach, E.; Zhao, S.; Agami, C.; Kagan, H. B. J. Am. Chem. Soc. 1986, 108, 2353–2357. DOI: https://doi.org/10.1021/ja00269a036(不斉合成における非線形効果の最初の報告)
  2. Kitamura, M.; Suga, S.; Kawai, K.; Noyori, R. J. Am. Chem. Soc. 1986, 108, 6071–6072. DOI: https://doi.org/10.1021/ja00279a083(DAIB触媒によるジアルキル亜鉛の不斉付加)
  3. Kitamura, M.; Okada, S.; Suga, S.; Noyori, R. J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 4028–4036. DOI: https://doi.org/10.1021/ja00193a040(DAIB系の機構と正の非線形効果)
  4. Kondepudi, D. K.; Kaufman, R. J.; Singh, N. Science 1990, 250, 975–976. DOI: https://doi.org/10.1126/science.250.4983.975(撹拌結晶化によるNaClO₃のキラル対称性の破れ)
  5. Viedma, C. Phys. Rev. Lett. 2005, 94, 065504. DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.94.065504(粉砕による脱ラセミ化:Viedma ripening)
  6. Klussmann, M.; Iwamura, H.; Mathew, S. P.; Wells, D. H., Jr.; Pandya, U.; Armstrong, A.; Blackmond, D. G. Nature 2006, 441, 621–623. DOI: https://doi.org/10.1038/nature04780(アミノ酸の固液平衡による熱力学的不斉増幅)
【総説】
  1. Soai, K.; Shibata, T.; Sato, I. Acc. Chem. Res. 2000, 33, 382–390. DOI: https://doi.org/10.1021/ar9900820(初期の展開をまとめた総説)
  2. Satyanarayana, T.; Abraham, S.; Kagan, H. B. Angew. Chem., Int. Ed. 2009, 48, 456–494. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.200705241(不斉触媒の非線形効果の総説)
  3. Gehring, T.; Busch, M.; Schlageter, M.; Weingand, D. Chirality 2010, 22, E173–E182. DOI: https://doi.org/10.1002/chir.20849(反応を左右する原料・条件の実験的事実の整理)
  4. Soai, K.; Kawasaki, T.; Matsumoto, A. Acc. Chem. Res. 2014, 47, 3643–3654. DOI: https://doi.org/10.1021/ar5003208(ピリミジルアルカノール系とホモキラリティー起源研究の総説)
  5. Soai, K. Proc. Jpn. Acad., Ser. B 2019, 95, 89–110. DOI: https://doi.org/10.2183/pjab.95.009(硤合自身による包括的総説。無料公開)
  6. Soai, K.; Kawasaki, T.; Matsumoto, A. Symmetry 2019, 11, 694. DOI: https://doi.org/10.3390/sym11050694(ホモキラリティー起源研究への応用。オープンアクセス)
  7. Blackmond, D. G. Chem. Rev. 2020, 120, 4831–4847. DOI: https://doi.org/10.1021/acs.chemrev.9b00557(ホモキラリティー起源の自己触媒モデルの総説)
  8. Geiger, Y. Chem. Soc. Rev. 2022, 51, 1206–1211. DOI: https://doi.org/10.1039/D1CS01038G(四量体機構とヘミアセタラート機構を比較したViewpoint)
  9. Soai, K.; Kawasaki, T.; Matsumoto, A. Orig. Life Evol. Biosph. 2022, 52, 57–74. DOI: https://doi.org/10.1007/s11084-022-09626-7(ホモキラリティー起源と高ee化合物をつなぐ不斉自己触媒の総括)
【応用例】
  1. Soai, K.; Osanai, S.; Kadowaki, K.; Yonekubo, S.; Shibata, T.; Sato, I. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 11235–11236. DOI: https://doi.org/10.1021/ja993128t(d-/l-石英を不斉源とする初めての例)
  2. Sato, I.; Kadowaki, K.; Soai, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2000, 39, 1510–1512. DOI: https://doi.org/10.1002/(SICI)1521-3773(20000417)39:8<1510::AID-ANIE1510>3.0.CO;2-R(NaClO₃結晶を不斉源とする例)
  3. Sato, I.; Omiya, D.; Saito, T.; Soai, K. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 11739–11740. DOI: https://doi.org/10.1021/ja002992e(重水素置換のみでキラルなアルコールを不斉源とする例)
  4. Soai, K.; Sato, I.; Shibata, T.; Komiya, S.; Hayashi, M.; Matsueda, Y.; Imamura, H.; Hayase, T.; Morioka, H.; Tabira, H.; Yamamoto, J.; Kowata, Y. Tetrahedron: Asymmetry 2003, 14, 185–188. DOI: https://doi.org/10.1016/S0957-4166(02)00791-7(キラル物質を加えない自発的絶対不斉合成)
  5. Kawasaki, T.; Sato, M.; Ishiguro, S.; Saito, T.; Morishita, Y.; Sato, I.; Nishino, H.; Inoue, Y.; Soai, K. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 3274–3275. DOI: https://doi.org/10.1021/ja0422108(円偏光による不斉光分解を引き金とする例)
  6. Kawasaki, T.; Tanaka, H.; Tsutsumi, T.; Kasahara, T.; Sato, I.; Soai, K. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6032–6033. DOI: https://doi.org/10.1021/ja061429e(クリプトキラルな飽和炭化水素のキラリティー識別)
  7. Kawasaki, T.; Suzuki, K.; Hakoda, Y.; Soai, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2008, 47, 496–499. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.200703634(アキラルなシトシンのキラル結晶を不斉源とする例)
  8. Kawasaki, T.; Matsumura, Y.; Tsutsumi, T.; Suzuki, K.; Ito, M.; Soai, K. Science 2009, 324, 492–495. DOI: https://doi.org/10.1126/science.1170322(¹³C/¹²C同位体キラリティーを引き金とする例)
  9. Kawasaki, T.; Okano, Y.; Suzuki, E.; Takano, S.; Oji, S.; Soai, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2011, 50, 8131–8133. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.201102263(酸素同位体置換によるキラリティーを引き金とする例)
  10. Kawasaki, T.; Wakushima, Y.; Asahina, M.; Shiozawa, K.; Kinoshita, T.; Lutz, F.; Soai, K. Chem. Commun. 2011, 47, 5277–5279. DOI: https://doi.org/10.1039/C1CC10136F(2種のキラル触媒の協同による面選択性の反転。実験手順の出典)
  11. Matsumoto, A.; Ozaki, H.; Harada, S.; Tada, K.; Ayugase, T.; Ozawa, H.; Kawasaki, T.; Soai, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2016, 55, 15246–15249. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.201608955(¹⁴N/¹⁵N同位体のみによる不斉誘起)
  12. Matsumoto, A.; Kaimori, Y.; Uchida, M.; Omori, H.; Kawasaki, T.; Soai, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2017, 56, 545–548. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.201610099(アキラルな石膏結晶の鏡像面を不斉源とする例)
  13. Welch, C. J.; Zawatzky, K.; Makarov, A. A.; Fujiwara, S.; Matsumoto, A.; Soai, K. Org. Biomol. Chem. 2017, 15, 96–101. DOI: https://doi.org/10.1039/C6OB01939K(光学純度・絶対配置の汎用分析法としての検証と限界)
  14. Kawasaki, T.; Tateishi, D.; Matsumoto, A.; Soai, K. Tetrahedron 2024, 152, 133835. DOI: https://doi.org/10.1016/j.tet.2024.133835(アキラルなo-ターフェニル類のキラル結晶を不斉源とする例)
【書籍】
  1. Soai, K.; Kawasaki, T.; Matsumoto, A., Eds. Asymmetric Autocatalysis: The Soai Reaction; RSC Catalysis Series No. 43; Royal Society of Chemistry, 2022. ISBN: 978-1-83916-261-9(硤合反応に特化した成書)
  2. Ojima, I., Ed. Catalytic Asymmetric Synthesis, 3rd ed.; Wiley, 2010. ISBN: 978-0-470-17577-4(第12章で不斉増幅と自己触媒を扱う)
  3. 日本化学会 編『キラル化学 ―その起源から最新のキラル材料研究まで―』(CSJカレントレビュー13); 化学同人, 2013. ISBN: 978-4-7598-1373-9(第II部15章「不斉自己増殖とホモキラリティーの起源」)
  4. 生命の起原および進化学会 監修『生命起源の事典』; 朝倉書店, 2024. ISBN: 978-4-254-16078-9(項目「不斉自己触媒反応」「ホモキラリティ」を収録)

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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