[スポンサーリンク]

ケムステニュース

アミンの新合成法2

先日新規アミノ化反応を報告しましたが、今回またイリノイ大学から新規なアミノ化反応が報告されました。開発したのはWhite助教授。女性のまだ若手研究者です。彼女らが報告したのはC-Hアミノ化反応(C-H amination)

 

図のようなキラルなホモアリルN-トシルカルバマートにパラジウム触媒を作用させると、アリル位のC-Hにアミノ基が挿入し、ビニルanti-オキサゾリジノンが得られるという反応です。不飽和結合(オレフィン)に対してアミンが攻撃する反応はHydroaminationといいますが、この反応はオレフィンでなくアリル位に直接結合しています(正確に言えばそのように見えます)。

 

この手の反応は以前にロジウム錯体を用いたものをスタンフォード大のDu boisらが報告していますが、今回パラジウム触媒を用いて、この興味深い反応を成功したというわけです。

 

また彼女らの反応の場合、加水分解すれば1-2-amino alcohol、また末端にビニル基が残るため合成化学的に有用なのです。詳しくはまた「化学のつぶやき」にでもこの論文を紹介しましょう。

 

それにしてもイリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)の化学科の有機化学は強いですね。Buchwald-Hartwigクロスカップリングで知られるJohn F. Hartwig教授、Peter Beak 教授、反応開発のScott E. Denmark教授などなどすばらしい。この前まで、David Jin現スローンー・ケッタリング癌研究所教授もいましたし。

 

関連文献

“syn-1,2-Amino Alcohols via Diastereoselective Allylic C−H Amination”

Fraunhoffer, K. J.; White, M. C. J. Am. Chem. Soc.2007, 7274. DOI:10.1021/ja071905g

ja071905gn00001

A novel Pd/sulfoxide catalyzed diastereoselective allylic C−H amination reaction of chiral homoallylic N-tosyl carbamates is reported. Densely oxygenated α-olefin substrates with multiple stereogenic centers undergo allylic C−H amination in excellent yields and with diastereoselectivities that are controlled by the stereocenter that bears the N-tosyl carbamate. Streamlined routes to stereochemically defined anti-oxazolidinones that can be further elaborated to medicinally and biologically relevant 1,2-amino alcohols are also demonstrated. Evidence is provided that this reaction proceeds via a Pd/sulfoxide-mediated allylic C−H cleavage to form a π-allylPd intermediate followed by Pd(II) counterion-assisted deprotonation of the nitrogen nucleophile to effect functionalization.

 

関連試薬mfcd09842752.gif

Aldrich

White catalyst: 1,2-Bis(phenylsulfinyl)ethane palladium(II) acetate

分子量: 502.90

CAS:

製品コード: 684821

値段: 250mg 5800 (2008.10.30現在)

用途:触媒

説明: ビススルホキシド-Pd(II)触媒(White 触媒)は、分子間または分子内のアリルC-H酸化反応、アリルC-H酸化反応/ビニルC-Hアリール化の連続反応、さらに最近ではアリルC-Hアミノ化反応などに有効である。

文献: (1) Fraunhoffer, K. J.; White, M. C. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 7274. (2) Fraunhoffer, K. J. et al. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 9032. (3) Delcamp, J. H.; White, M. C. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 15076. (4) Chen, M. S. et al. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 6970.

その他のWhite 触媒に関する記述: White触媒:アリルC-H酸化反応/アミノ化反応の触媒(Aldrich製品紹介)

 

関連書籍

関連リンク

  • M. Christina White:この反応の開発者
The following two tabs change content below.
webmaster
Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 細胞集め増やす化合物…京大化学研発見、再生医療活用に…
  2. キレーション療法ってなに?
  3. 環境対策と経済性を両立する電解酸化反応、創造化学が実用化実験
  4. 大阪近海のアサリから麻痺性貝毒が検出される
  5. 米ファイザー、感染予防薬のバイキュロンを買収
  6. 米ブリストル、仏サノフィの買収提案に備え助言契約締結
  7. デュポン子会社が植物性化学原料の出荷を開始
  8. 東海カーボンと三菱化学、カーボンブラックの共同会社を断念

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. Reaxys体験レポート反応検索編
  2. 有機反応を俯瞰する ーMannich 型縮合反応
  3. ザック・ボール Zachary T. Ball
  4. マッチ博物館
  5. 岩村 秀 Hiizu Iwamura
  6. 製薬各社の被災状況
  7. ヘル・フォルハルト・ゼリンスキー反応 Hell-Volhard-Zelinsky Reaction
  8. いざ、低温反応!さて、バスはどうする?〜水/メタノール混合系で、どんな温度も自由自在〜
  9. 「引っ張って」光学分割
  10. 最長のヘリセンをつくった

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

2017年の注目分子はどれ?

今年も残りあとわずかとなり、毎年おなじみのアメリカ化学会(ACS)によるMolecules of t…

アルデヒドのC-Hクロスカップリングによるケトン合成

プリンストン大学・David W. C. MacMillanらは、可視光レドックス触媒、ニッケル触媒…

“かぼちゃ分子”内で分子内Diels–Alder反応

環状水溶性ホスト分子であるククルビットウリルを用いて生体内酵素Diels–Alderaseの活性を模…

トーマス・レクタ Thomas Lectka

トーマス・レクタ (Thomas Lectka、19xx年xx月x日(デトロイト生)-)は、米国の有…

有機合成化学協会誌2017年12月号:四ヨウ化チタン・高機能金属ナノクラスター・ジシリルベンゼン・超分子タンパク質・マンノペプチマイシンアグリコン

2017年も残すところあとわずかですね。みなさまにとって2017年はどのような年でしたでしょうか。…

イミデートラジカルを経由するアルコールのβ位選択的C-Hアミノ化反応

オハイオ州立大学・David A. Nagibらは、脂肪族アルコールのラジカル関与型β位選択的C(s…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP