[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

越野 広雪 Hiroyuki Koshino

[スポンサーリンク]

越野 広雪(こしの ひろゆき)は、NMRやマススペクトルなどのもとにした有機分子の構造解析を専門とする有機化学者である。
国立研究開発法人理化学研究所・環境資源科学研究センター・技術基盤部門・分子構造解析ユニット・ユニットリーダー
第31回ケムステVシンポ講師

経歴

1990年3月 北海道大学大学院農学研究科博士課程修了 農学博士 (北海道大学)
1990年4月 理化学研究所・基礎科学特別研究員 (抗生物質研究室)
1992年4月 理化学研究所・分子構造解析室・研究員
2000年6月 理化学研究所・分子構造解析室・室長
2003年10月 独立行政法人理化学研究所・先端技術開発支援センター
物質構造解析チーム・チームリーダー
2008年4月 独立行政法人理化学研究所・基幹研究所・先端技術基盤部門
物質構造解析チーム・チームヘッド
2009年10月 独立行政法人理化学研究所・基幹研究所・ケミカルバイオロジー研究基盤施設
物質構造解析チーム・チームヘッド
2013年4月  独立行政法人理化学研究所・袖岡有機合成化学研究室・副主任研究員
 (兼務)グローバル研究クラスタ・連携支援ユニット
2015年4月   国立研究開発法人理化学研究所・環境資源科学研究センター
技術基盤部門・分子構造解析ユニット・ユニットリーダー
(現在に至る)

受賞歴

日本農芸化学会 奨励賞(2002年)

研究業績

NMRを用いた構造解析

溶液NMRを用いた新規天然有機化合物1)の構造解析を中心に、様々な合成化合物2)から合成高分子3)の構造解析に携わってきた。NMRによる構造決定はすべての可能性がある候補構造から一つの構造を選択する作業である。NMRの化学シフト、スピン結合定数、ロングレンジ相関、NOE相関などのNMRデータを用いて可能性のある部分構造を絞り込むことを的確に判断することが構造解析には求められる。

NMRを用いた構造訂正研究

天然物の再単離に伴う再解析4)、計算化学や合成化学の専門家との共同研究などにより様々な構造訂正研究5)に携わってきた。構造訂正の切っ掛けは元の構造解析において、化学構造とNMRの化学シフトやスピン結合定数において何らかの矛盾を見出すことから始まるが、未訂正のものを含め構造訂正されるべき論文があまりにも多く、構造訂正研究に常に興味を持つことになった。

CAST/CNMRシステムの開発と応用研究

CAST/CNMRシステムは独自に構築したデータベースに基づき、立体化学や環構造の情報を考慮して化学構造式に対して13C NMRの化学シフトを予測する機能であるChemical Shift Predictorと、化学シフト値から部分構造を検索し、分子構造を提案するStructure Elucidatorからなるコンピュータシステムである。6)データベースに登録するデータに間違いがないことを重要視しているので、必然的に構造式や帰属の間違いを見出すことが多く、構造訂正研究をCAST/CNMRシステムの応用研究としても取り組んでいる。

 

関連文献

1. (a) Ubukata, M.; Koshino, H.; Osada, H.; Isono, K.; J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1994, 1877. DOI: 10.1039/C39940001877 (b) Pulici, M.; Sugawara, F.; Koshino, H.; Uzawa, J.; Yoshida, S.; Lobkovsky, E.; Clardy, J. J. Org. Chem., 1996, 61, 2122. DOI: 10.1021/jo951736v (c) Koshino, H.; Muroi, M.; Tajika, T.; Kimura, Y.; Takatsuki, A. J. Antibiot., 2001, 54, 494. DOI: 10.7164/antibiotics.54.494 (d) Choi, J.-H.; Fushimi, K.; Abe, N.; Tanaka, H.; Maeda, S.; Morita, A.; Hara, M.; Motohashi, R.; Matsunaga, J.; Eguchi, Y.; Ishigaki, N.; Hashizume, D.; Koshino, H.; Kawagishi, H. ChemBioChem, 2010, 11, 1373. DOI: 10.1002/cbic.201000112 (e) Kusakabe, K.; Honmura, Y.; Uesugi, S.; Tonouchi, A.; Maeda, H.; Kimura, K.; Koshino, H.; Hashimoto, M. J. Nat. Prod., 2017, 80, 1484. DOI: 10.1021/acs.jnatprod.6b01177 (f) Herman, N. A.; Kim, S. J.; Li, J. S.; cai, W.; Koshino, H.; Zhang, W. Nature Commun., 2017, 8, 1514. DOI: 10.1038/s41467-017-01809-5

2. (a) Satake, A.; Koshino, H.; Nakata, T. J. Organometallic Chem., 2000, 595, 208. DOI: 10.1016/S0022-328X(99)00625-7 (b) Iwamoto, O.; Koshino, H.; Hashizume, D.; Nagasawa, K. Angew. Chem. Int. Ed., 2007, 46, 8625. DOI: 10.1002/anie.200703326 (c) Satoh, M.; Koshino, H.; Nakata, T. Org. Lett., 2008, 10, 1683. DOI: 10.1021/ol8002699 (d) Malon, M.; Imakubo, T.; Koshino, H. Magn. Reson. Chem., 2008, 46, 150 DOI: 10.1002/mrc.2147 (e) Mukaiyama, T.; Ishikawa, H.; Koshino, H.; Hayashi, Y. Chem. Eur. J., 2013, 19, 17789 DOI: 10.1002/chem.201302371 (f) Funk, P. Motyka, K.; Soural, M.; Malon, M.; Koshino, H.; Kusz, J.; Hlavac, J. PLoS ONE, 2017, 12, e0175364. DOI: 10.1371/journal.pone.0175364 (f) Saito, T.; Morita, M.; Koshino, H.; Sodeoka, M.; Nakata, T. Org. Lett., 2017, 19, 3203. DOI: 10.1021/acs.orglett.7b01301 (g) Hirai, G.; Kato, M.; Koshino, H.; Nishizawa, E.; Oonuma K.; Ota, E.; Watanabe, T.; Hashizume, D.; Tamura, Y.; Okada M.; Miyagi, T.; Sodeoka, M. JACS Au, 2021, 1, 137. DOI: 10.1021/jacsau.0c00058

3. (a) Guo, F.; Nishiura, M.; Koshino, H.; Hou, Z. Macromolecules, 2011, 44, 2400. DOI: 10.1021/ma200441w (b) Guo, F.; Nishiura, M.; Koshino, H.; Hou, Z. Macromolecules, 2011, 44, 6335. DOI: 10.1021/ma201271r (c) Ando, S.; Ohta, E.; Kosaka, A.; Hashizume, D.; Koshino, H.; Fukushima, T.; Aida, T. J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 11084. DOI: 10.1021/ja303117z (d) Yamamoto, A.; Nishiura, M.; Oyamada, J.; Koshino, H.; Hou, Z. Macromolecules, 2016, 49, 2458. DOI: 10.1021/acs.macromol.6b00083 

4. (a) Komoda, T.; Sugiyama, Y.; Abe, N.; Imachi, M.; Hirota, H.; Koshino, H.; Hirota, A. Tetrahedron Lett., 2003, 44, 7417. DOI: 10.1016/j.telet.2003.08.047 (b) Tani, H.; Koshino, H.; Sakuno, E.: Cutler, H. G.; Nakajima, H. J. Nat. Prod., 2006, 69, 722. DOI: 10.1021/np060071x (c) Kim, Y. J.; Kim, H.-J.; Kim, G.-W.; Cho, K.; Takahashi, S.; Koshino, H.; Kim, W.-G. J. Nat. Prod., 2016, 79, 2223. DOI: 10.1021/acs.jnatprod.6b00294 (d) Tani, H.; Koshino, H.; Taniguchi, T.; Yoshimatsu, M.; Hikami, S.; Takahashi, S. ACS Omega, 2020, 5, 12245. DOI: 10.1021/acsomega.0c00910

5. (a) Koshino, H.; Satoh, H.; Yamada, T.; Esumi, Y. Tetrahedron Lett., 2006, 47, 4623. DOI: 10.1016/j.tetlet.2006.04.139 (b) Takahashi, S.; Satoh, H.; Hongo, Y.; Koshino, H. J. Org. Chem., 2007, 72, 4578. DOI: 10.1021/jo070478m (c) Ye, Y. Q.; Koshino, H.; Onose, J.; Negishi, C.; Yoshikawa, K.; Abe, N.; Takahashi, S. J. Org. Chem., 2009, 74, 4642. DOI: 10.1021/jo900638b (d) Izuchi, Y.; Koshino, H.; Hongo, Y.; Kanomata, N.; Takahashi, S. Org. Lett., 2011, 13, 3360. DOI: 10.1021/ol2011117 (e) Kitamura, Y.; Koshino, H.; Nakamura, T.; Tsuchida, A.; Nitoda, T.; Kanzaki, H.; Matsuoka, K.; Takahashi, S. Tetrahedron Lett., 2013, 54, 1456. DOI: 10.1016/j.tetlet.2013.01.015 (f) Takahashi, S.; Akita, Y.; Nakamura, T.; Koshino, H. Tetrahedron Asymmetry, 2012, 23, 952. DOI: 10.1016/j.tetasy.2012.06.009 (g) Takahashi, S.; Yoshida A.; Uesugi, S.; Hongo, Y.; Kimura, K.; Matsuoka, K.; Koshino, H. Bioorg. Med. Chem. Lett., 2014, 24, 3373. DOI: 10.1016/j.bmcl.2014.05.091 (h) Takahashi, S.; Yasuda, M.; Nakamura, T.; Hatano, K.; Matsuoka, K.; Koshino, H. J. Org. Chem., 2014, 79, 9373. DOI: 10.1021/jo501228v (i) Mukhina, O. A.; Koshino, H.; Crimmins, M. T.; Kutateladze, A. G. Tetrahedron Lett., 2015, 56, 4900. DOI: 10.1016/j.tetlet.2015.06.078 (j) Takahashi, S.; Satoh, D.; Hayashi, M.; Takahashi, K.; Yamaguchi, K.; Nakamura, T.; Koshino, H. J. Org. Chem., 2016, 81, 11222. DOI: 10.1021/acs.joc.6b02187 (k) Takahashi, S.; Kawano, T.; Nakajima, N.; Suda, Y.; Usukhbayar, N.; Kimura, K.; Koshino, H. Bioorg. Med. Chem. Lett., 2018, 28, 930. DOI: 10.1016/j.bmcl.2018.01.054

6. (a) Satoh, H.; Koshino, H.; Funatsu, K.; Nakata, T. J. Chem. Inf. Comput. Sci., 2000, 40, 622. DOI: 10.1021/ci990147d (b) Satoh, H.; Koshino, H.; Funatsu, K.; Nakata, T. J. Chem. Inf. Comput. Sci., 2001, 41, 1106. DOI: 10.1021/ci000136g (c) Satoh, H.; Koshino, H.; Nakata, T. J. Comput. Aided Chem., 2002, 3, 48. DOI: 10.2751/jcac.3.48 (d) Satoh, H.; Koshino, H.; Uzawa, J.; Nakata, T. Tetrahedron, 2003, 59, 4539. DOI: 10.1016/S0040-4020(03)00662-8 (e) Satoh, H.; Koshino, H.; Uno, T.; Koichi, S.; Iwata, S.; Nakata, T. Tetrahedron, 2005, 61, 7431. DOI: 10.1016/j.tet.2005.05.074 (f) Koichi, S.; Iwata, S.; Uno, T.; Koshino, H.; Satoh, H. J. Chem. Inf. Model., 2007, 47, 1734. DOI: 10.1021/ci600238j (g) Koichi, S.; Arisaka, M.; Koshino, H.; Aoki, A.; Iwata, S.; Uno, T.; Satoh, H. J. Chem. Inf. Model., 2014, 54, 1027. DOI: 10.1021/ci400601c 

 

関連書籍

改訂6版 分析化学データブック 日本分析化学会編 丸善出版

関連リンク

分子構造解析ユニット HOME
分子構造解析ユニット 越野広雪
JEOL NMRソフトウェア「CAST/CNMR」

Macy

投稿者の記事一覧

有機合成を専門とする教員。将来取り組む研究分野を探し求める「なんでも屋」。若いうちに色々なケミストリーに触れようと邁進中。

関連記事

  1. ロベルト・カー Roberto Car
  2. 井口 洋夫 Hiroo Inokuchi
  3. 浅野 圭佑 Keisuke Asano
  4. ピエトロ・ビギネリ Pietro Biginelli
  5. リチャード・ヘック Richard F. Heck
  6. ドナルド・トマリア Donald Tomalia
  7. 鈴木 啓介 Keisuke Suzuki
  8. アハメド・ズウェイル Ahmed H. Zewail

注目情報

ピックアップ記事

  1. 危険物データベース:危険物に関する基礎知識
  2. 小林 洋一 Yoichi Kobayashi
  3. ダイキン、特許を無償開放 代替フロンのエアコン冷媒
  4. γ-チューブリン特異的阻害剤の創製
  5. どっちをつかう?:cooperateとcollaborate
  6. 株式会社メカノクロス – メカノケミストリーの社会実装に向けた企業の設立
  7. セライトのちょっとマニアックな話
  8. のむ発毛薬の輸入承認 国内初、年内にも発売へ
  9. GoogleがVRラボを提供 / VRで化学の得点を競うシミュレーションゲーム
  10. 第2回慶應有機合成化学若手シンポジウム

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年10月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

第6回鈴木章賞授賞式&第10回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学、情報科学、実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

条件の「前後」も実験条件である【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

そのpH、“本当にその場所”の値ですか?ニードル式pHセンサーを使ってみた!

突然ですが、「培養の再現性がなんか悪い」「同じ条件のはずなのに結果がズレる」といった経験はあ…

「骨格編集」×「ナノカーボン合成」〜ナノカーボン合成の新戦略を実証〜

第719回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(忍久保研究室)博士後期課程2年の平…

【書評】立体化学 はじめの一歩

立体化学は,分子の三次元構造を理解するための重要な分野であり,有機化学や…

水のシミュレーション入門 — 水分子を計算機の中でどう”描く”か —

身近なのに、計算機にとって手強い"水"。本記事では、点電荷モデルから機械学習まで、その"描き方"の進…

◆◇◆◇ 第36回フォーラム・イン・ドージン開催のご案内 ◆◇◆◇

同仁化学研究所が熊本から世界へ情報発信するフォーラム・イン・ドージンの開催ご案内です。今年は『な…

『力』による円偏光発光のon/off制御を単一分子レベルで実現

第718回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 物質理工学院(相良研究室)博士後期課程2年の野中…

数日かかっていた反応機構解析を、わずか数分に!

機械学習ポテンシャルが変える計算化学の現在近年、DFT計算による反応機構解析は広く行われるよ…

海外ポスドクのオファーをもらう【アメリカで Ph.D. を取る: 進路編】

ポスドクとして海外に留学する場合、希望する研究室の教授に直接連絡を取り、面接などを通して適性を判断さ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP