2009年ノーベル化学賞は誰の手に?
Sep
07
2009
9月に入り、朝夜は涼しくなってきたこのごろ、気づいたらもう発表まであと1ヶ月と迫ってきましたノーベル賞。毎年、Chem-Stationではノーベル化学賞に注目して、発表前の予想から、発表後の人物、研究紹介を行ってきました(詳しくは下記の関連記事一覧をごらんください)。一昨年度は予想的中とまではいかないですが、Gerhard Ertl氏を当てる事ができました(2007年度ノーベル化学賞を予想!(4))。昨年度は予想を行いませんでしたが、今年は行いたいと思います! また、今年からノーベル化学賞への道と題して特設サイトを開設しました。こちらもご覧ください!
ずばり2009年ノーベル化学賞予想は
です!
...
いやいやそんなのいままで候補に挙がってきただろう、人が多すぎてとれないだろう、選んでいる人が違うだろう、むしろそこまでの貢献はしているのか?という声がいくつか聞こえてきそうですが、根拠に基づいて(希望も含めて)今年の予想は80%当たると信じています。次からあげる情報は、正確さに問題が有る可能性もありますのでむやみに信じないでくださ い。あくまで予想であり、立場上言えない言えないもいくつかありますのでご了承を。
ずばり2009年ノーベル化学賞予想は
『パラジウムケミストリーおよびクロスカップリング反応の開発への貢献』
Barry M. Trost, Tsuji Jiro, Akira Suzuki
Barry M. Trost, Tsuji Jiro, Akira Suzuki
です!
...
いやいやそんなのいままで候補に挙がってきただろう、人が多すぎてとれないだろう、選んでいる人が違うだろう、むしろそこまでの貢献はしているのか?という声がいくつか聞こえてきそうですが、根拠に基づいて(希望も含めて)今年の予想は80%当たると信じています。次からあげる情報は、正確さに問題が有る可能性もありますのでむやみに信じないでくださ い。あくまで予想であり、立場上言えない言えないもいくつかありますのでご了承を。
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- 今年は有機化学の年?
そういう目で今までの受賞者をみてみると次のように分野は分けられます。
1984 有機化学
1985 分析化学
1986 理論化学
1987 有機化学(超分子化学)
1988 生化学
1989 生化学
1990 有機化学
1991 分析化学
1992 理論化学
1993 生化学
1994 有機化学
1995 その他(環境化学)
1996 物理化学、有機化学
1997 生化学
1999 その他(理論化学)
2000 その他(高分子化学)
2001 有機化学
2002 分析化学
2003 生化学
2004 生化学
2005 有機化学
2006 生化学
2007 無機化学(物理化学)
2008 生化学
2009 ????
当時の分野の注目度や新分野の創製によって変わりますし、おそらく分野の研究者人口に対して平等であるため完全に一定とはいいきれず、傾向のないところもあるかもしれません。また、分野がうまく分けれていないこともあるかもしれません。それにしてもよく見てみると今年は、有機化学である気がしませんか?他の可能性としてもちろんあまり出ていない(ように見える)物理化学分野や分析化学という可能性も否定できません。また、2000年に登場した高分子化学分野(重合触媒?)という可能性もあります。とはいっても有機化学分野の研究人口からみても、特に増減しているわけでもないですし、ある一定の割合でくると考えると、今年か来年は有機化学の年である事はまず間違いないでしょう。
- 2005年には次点であった?
- 推薦書が100通必要?
- 論文の引用回数
1. Tamao, K; Sumitani, K.; Kumada M. J. Am. Chem. Soc. 1972, 94, 4374. doi:10.1021/ja00767a075. 引用回数:516回
京都大学の熊田誠、玉尾皓平らのグループが発見したニッケル触媒を用いたクロスカップリング反応。分子触媒(molecular catalysis)や反応機構をはじめて記した。Corriuらも同時期に発見していた事から熊田-玉尾-Corriuクロスカップリングと呼ばれている。
2. Suzuki, A. J. Orgmet. Chem. 1999, 576, 147. 引用回数:1400回
doi:10.1016/S0022-328X(98)01055-9
Miyaura, N.; Suzuki, A, Chem. Rev., 1995, 95, 2457. 引用回数:4056回
doi:
北海道大学の宮浦憲夫、鈴木章らが発見したパラジウム触媒を用いた有機ホウ素化合物と有機ハロゲン化化合物のクロスカップリング反応(鈴木ー宮浦クロスカップリング反応)の総説。カップリング反応の中で現在最も利用されている反応。オリジナルペーパーはなんと引用回数105件。
Trostらによる不斉Tsuji-Trost反応の総説は1000回オーバーですが、Trost、辻両者とも元文献は引用回数は低いようです。
ちなみに同様な分野で比較すると2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治も最高で引用回数1000回、Sharplessは2096回、2005年に受賞したGrubbsは1866回です。さらにカーボンナノチューブを発見した飯島澄男は8000回を超える引用回数であると。化け物です。引用回数で決まるのならば飯島先生で決定かもしれません。
- 研究の貢献度

それでは『パラジウムケミストリーおよびクロスカップリング反応の開発への貢献』がどのように社会に貢献しているかという話になりますと、これは申し分ないと思います。クロスカップリング反応は医薬品や材料科学によく見られるビアリール骨格を構築するために非常に有用な反応ですし、その主な触媒としてはパラジウム触媒です。通常の有機合成においてもパラジウム触媒を用いた炭素ー炭素結合反応は周知として利用されています。それを用いなければ得られなかった医薬品や材料も数多く有り、有用性も含めてGrubbs触媒がノーベル賞を受賞したのならば(これはサイクリックポリマーなどの高分子の分野での貢献もありますが)、実用性という面でもクリアしているのではないかと思います。
- クロスカップリング反応だけでは決めれない?
- 他賞の受賞数
ウェルチ化学賞:賞金30万ドル。物質化学の基礎研究を奨励する理念に基づき、人類に貢献する研究をなしえた化学者に対して授与される。
ベンジャミンフランクリンメダル:生命科学、工学、地球科学、化学、物理学、計算機・認知科学の6部門において、世界の優れた科学者、技術者を称える賞
日本国際賞:科学技術において、独創的・飛躍的な成果を挙げ、科学技術の進歩に大きく寄与し、人類の平和と繁栄に著しく貢献した」人に対し授与される。国際科学技術財団が主催。賞金は5000万円。
ロジャーアダムス賞:アメリカ化学会(ACS)が授与する有機化学界における最高の賞
プリーストリーメダル:アメリカ化学会(ACS)が授与する最高の賞です。化学分野全般が対象で、そのなかでも特に卓越した業績に対して贈られます。
今回あげた3人の中ではTrostがロジャーアダムス賞を受賞しているのみです。これらの賞だけで考えると、ほとんどの賞を総ナメにしている Whitesides が最有力候補になるのかもしれません。ちなみに飯島澄男先生は2008年に4つの賞を受賞しており、賞金総額は数億円。これまたびっくりです。
- 研究の注目度
学術的な意味でもクロスカップリング反応、パラジウムケミストリーは留まるところをしりません。現在でもパラジウムを用いたクロスカップリング反応はBuchwaldカップリングを始めとして多くの研究者によって研究が進められています。さらには近年、有機ハロゲン化合物を使わない、炭素ー水素結合を用いた直接的なクロスカップリング反応も多数報告されています。そのなかでも中心となるのはパラジウム触媒です。一大分野を築き上げた功績という意味でもノーベル賞は間違いないのではないでしょうか。
- 最後に
また、同意する、他にも考えられるなど2009年のノーベル化学賞予想に関する屈託のない意見を募集しておりますので下記に書き込んでもらえるとうれしいです。また特設サイト『ノーベル化学賞への道』では、過去のノーベル賞や、ノーベル賞に関する資料、逸話、予想や各種資料などを紹介していくつもりです。今年のノーベル化学賞の発表は日本時間10月7日18時45分。果たしてどの化学者にその栄光は訪れるでしょうか。楽しみに待ちたいと思います。
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