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『リンダウ・ノーベル賞受賞者会議』を知っていますか?

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リンダウ・ノーベル賞受賞者会議(Lindau Nobel Laureate Meeting)とは、ドイツの保養地リンダウにおいて、毎年一週間程度の日程で開催されている会議です。

世界各国の若手研究者の育成を目的とした交流会議であり、普段の国際学会とは趣旨を異にするものと言えます。

リンダウ会議って何?

リンダウ会議は、1951年から継続的に開催されており、毎回20名程度のノーベル賞受賞者が招かれます。それとともに、数百名の若手研究者が世界各国から参加します。ノーベル賞受賞者は、参加者に向けて講演を行い、若手研究者とのディスカッションの場を持ちます。ノーベル賞受賞者と親しく接して知的刺激を受けると同時に、諸国の仲間とのネットワークを形成できる、若手研究者にとって絶好の機会になるわけです。

 

物理→化学→医学・生理学の順に、一年ごとに分野をローテーションして開催されています。 第59回(2009年)は、まさに化学分野が対象となっています。

2009年会議に招待されているノーベル賞受賞化学者は23名。2008年受賞者のRoger TsienMartin Chalfie下村脩の3氏を始めとして、不斉水素化触媒の野依良治、表面化学のGerhard Ertl、フラーレン発見者のHarold Kroto、メタセシス触媒のRobert GrubbsRichard Schrock、密度汎関数法(DFT)計算のWalter Kohn、電子移動理論のRudolph Marcus、オゾン層破壊のメカニズムを示したFrank Rowlandなどなど・・・(以上敬称略)。 なんとも豪華そのものな面々です。

 

「2009年が化学ならば、次に化学分野が回ってくるのは3年後なの? 残念、当分先か・・・」と考えてしまうのは、ちょっとお待ちを。 来年(2010年)のリンダウ会議は、実は5年に1度の3分野合同会議にあたります。上記分野すべてが一同に集う会になるので、化学領域の人でも参加可能となっています。

参加するにはどうすればいいの?

このような貴重な機会を若手研究者に活用してもらうべく、日本学術振興会(JSPS)が、リンダウ会議への参加支援事業を行っています。採用されれば、リンダウ会議の参加費・旅費などがJSPS持ちになり、参加の大きな助けになります。

リンダウ会議の参加資格は「学部生以上」なのですが、この制度に関してはJSPS側の都合上、博士課程学生 もしくはポスドク研究者 (博士取得6年以内、35歳未満) のみ応募可能となっています。(それ以下の方は残念ですが、将来、応募枠が増えることを祈っていてください。) 2010年用の申請期間は2009/6/25~9/25で、募集人数は20名。全ての分野が対象となるので、なかなかに競争率は高そうなのですが、興味とモチベーションのある方は要チェックといえます。

貴重な機会を知って欲しい!

リンダウ会議というものの存在を、実は筆者自身、ごく最近まで知りませんでした。なんとも勿体ないことに思うのですが、英語ソースにしかほとんど情報がないゆえに、致し方ない面もあるのかと思えます。「こういう有益な日本語情報こそ、もっと増えるべき」と感じたのも、本記事を書く動機の一つになっています。

そんな程度の認識だったのですが、筆者は幸運にも2009年のリンダウ会議に参加出来ることとなりました。様々な優れた考え方を吸収してくるとともに、この上なく貴重な機会を精一杯楽しんで来たいと思います。

会議終了後にでも、体験レポなどをこのブログで書いてみようと考えています。お楽しみに!

 

追記:体験レポを公開しました

参加したケムステスタッフ2人による体験記です。

 

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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