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ケムステまとめ

世界の最新科学ニュース雑誌を日本語で読めるーNature ダイジェストまとめ

ケムステBlog「化学者のつぶやき」2015年10月から紹介している、「Natueダイジェスト」のまとめ記事です。

NATURE ダイジェストとは?

最高峰の科学ジャーナルであるNature(ネイチャー)を出版しているシュプリンガー・ネイチャーの出版している日本語の科学まとめ雑誌です。最近、発行が始まったわけではなく、発行開始は2004年と11年前。業界で話題の研究結果はもちろん科学のニュースや社会情勢、科学政策など、科学を取り巻く世界のさまざまな情報をNature独自の切り口で、すべて日本語で配信しており、分野外でも非常に読みやすいものとなっています。

紹介記事一覧は以下から。

研究助成金を獲得する秘訣:2017年9月号

研究助成金の縮小に伴い、獲得競争は激しさを増している。Nature は米国NIH グラントを例に、助成金獲得に有効な戦略や、よくある助言のうち無視すべきものを探った。このたびの調査結果は、世界中のどの助成金申請にも当てはまり、若手研究者の助けとなるだろう。

本記事では、NIHの最新の助成システムを紹介し、助成金獲得に向けてここは抑えておいたほうがいい、逆にこれはうわさなので信じる必要はないというポイントを簡潔かつ明解に述べています。

ニセ試薬のサプライチェーン:2017年8月号

偽造試薬の一大市場となっている中国。その製造・供給ルートには、近所の印刷店など、予想だにしない人々まで関与していた。この状況を変えようと、中国の研究者や試薬製造企業が対抗策を講じ始めているが、中国の偽造試薬問題はすでに国外にも及んでいる。

ちょっと状況は異なりますが、私はある試薬会社から購入した試薬の中身が全く違う化合物だったことがあります。その時は烈火の如く怒りました。むしろ本記事の内容ではそれが日常茶飯事であるということですよね。

DNAが絡まないためのループ:2017年7月号

DNA はなぜ絡まずに収納されるのか。これはゲノム高次構造に関する最も悩ましい問題の1つだが、「ループ状ドメイン」の形成がその1つの答えとなりそうだ。ただし、ループ形成を推し進めているものの正体については見解が分かれている。

何がループ押し出しの原動力になっているのかという問いにはいまだ最終的な答えには程遠いですが、現在ゲノム生物学における最大とされているこの問題の解決に多くの科学者達が挑んでいます。

深海の美しい怪物、魚竜:2017年6月号

恐竜の時代に広大な海を支配していた巨大な爬虫類「魚竜」。細長い吻(ふん)と大きな眼を持つこの謎に満ちた深海の怪物は、恐竜人気に圧されて長く影が薄れてしまっていたが、近年、再び関心が高まっており、その驚くべき進化史や生態が解き明かされつつある。今、魚竜研究が熱い。

恐竜も昔はかっこよかったのに、最近の研究により毛があったんじゃないかといわれ、イメージ図はえらい変わってますね。一般的な意味でも他の生物に目が向いてくるのは自明なのかもしれません。

暑いほどエコな太陽熱冷房:2017年5月号

大量の電力を消費する冷房。その需要は高まっていて、冷房用の電力需要は2100 年までに2000年の30 倍以上になると予想される。そうした状況を受け、暑さの原因である「太陽熱」を利用した空調システムに注目が集まっている。

今月号の特集記事。一見矛盾しているタイトルではありますが、最近注目されている「太陽熱エアコン」について述べています。

ウコンの成分「クルクミン」自体に効果はない?:2017年4月号

香辛料抽出物クルクミンは広範な評価試験でニセの反応を示す分子であると、注意を呼びかける論文が発表された。

なんと実はクルクミンに明確な治療効果があるという証拠はないというのが本記事の内容。2017年に米国ミネソタ大Waltersらが発表した包括的なクルクミン関連の批評論文に基づいて述べられています

CRISPRの謎:2017年3月号

世界はバイオテクノロジーに革命をもたらす遺伝子編集ツール「CRISPR」に群がっているが、それがどのように働き、何に由来するのかという基礎的な問題は、今なお大きな謎となっている。

どこを眺めても科学の最注目キーワードは「CRISPER」ですね。本記事では、「CRISPR」の基礎的な研究に焦点をあて、どこから来たのか、どうやって働くのか、他にどんな役割があるのか、なぜ一部の生物だけがりようしているのかなどについて6ページに渡り紹介しています。

4つの性がある小鳥と超遺伝子:2017年2月号

スズメに似た野鳥、ノドジロシトドの体色には白色と黄褐色の2 種類があり、ほとんどのつがいは白– 黄褐である。つまり配偶者選びは、雄か雌かだけでなく体色にも左右されるのだ。このような「2 つ目の性染色体」を持つ生物は珍しく、性染色体進化の謎を解く手掛かりをもたらしてくれる。

小鳥の世界にそんなことってあるの?と、化学とも研究とも全く関係ないですが、大変興味深く読めた記事。そんな変わった「配偶者(つがい)選び」を実践している小鳥は、スズメ目ホオジロ科のノドジロシトド。その小鳥の生態を追い続けたのが生態学者Elaina Tuttle教授(インディアナ州立大学)とその夫のRusty Gonser教授(同大学)です。

生きた細胞内でケイ素と炭素がはじめて結合!:2017年1月号

生物は豊富にあるケイ素を利用しない。このたび、ケイ素と化学結合を形成して体内の生化学経路に取り込むことのできる酵素が見いだされた。

昨年、カルフォルニア工科大学のFrances Arnold教授らは、この炭素ーケイ素結合の形成を実現する酵素を発見し、Scienceに報告しました。

天才児の見つけ方・育て方:2016年12月号

並外れて優秀な子どもたち5000 人を45 年にわたり追跡してきた米国のSMPY による調査から、そうした子供たちに学習意欲を持ち続けさせるためには手助けが必要なことが分かってきた。彼らは、自分自身で興味のあるものを見つけ、自力でその力を伸ばしていくことができると考えられがちだが、そうではないのだという。

今月号の特集。ちょうど乳児・幼児をもつ親として気になってしまいました(笑)。記事は1968年ジョン・ホプキンス大学の教授であったJulian Stanley(写真)が、若干13歳でジョン・ホプキンス大学に入学したJoseph Batesという少年に会ったところから始まります。

無限の可能性を秘めたポリマー:2016年11月号

高分子(ポリマー)は持続可能かつ未来を切り開く新素材が生まれる可能性を秘めているが、その開発には分野横断的な取り組みが必要だ。

「めちゃくちゃざっくりとしたタイトル!(笑)」と思いつつ、ガチで化学であったので、第一に読んでしまいました。記事はなんと、「高分子化学の父」とよばれるヘルマン・シュタウディンガー(1953年ノーベル化学賞受賞者)が1920年に「高分子」という言葉を主張したところから始まっています。

「温故知新」で医薬品開発:2016年10月号

創薬コストの高騰を受け、既存の承認薬や開発が途中で中止になった化合物を対象に、新たな適応疾患を探し出して製品化する「ドラッグ・リポジショニング」と呼ばれる取り組みが盛んになっている。

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「医薬品つくる」。人類の健康に直接役立つ壮大なものづくりは、多くの理系学生の羨望の職業であることはいまでもかわりません。しかしながら、1つの薬を生み出す為にためには、現在平均して13年ー15年2000億円ー3000億円の月日とコストが必要だといわれています。しかも、その効率は著しく減少しているとのこと。

情報の最小単位がついに原子?超次世代型メモリー誕生!2016年9月号

「この原子メモリは1平方インチ辺り502テラバイトという桁外れの面記録密度を持つ。」

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「集積回路の実装密度は18カ月ごとに2倍になる」という有名なムーアの法則が、あと数年で崩れるというニュースがあったばかり(関連記事:2021年、ムーアの法則が崩れる?)そのような背景のもと、機能の最小単位である分子を飛び越えて、原子でメモリをつくってやろうと試み、成功したのがデルフト工科大学の物理学者Sander Otte准教授

ヒト胚研究、ついに未知領域へ:2016年8月号

ヒト胚を受精後13日まで培養できる方法が編み出された。この手法を用いて、ヒトの初期発生を知るための手がかりが得られそうだ。

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13日が最長記録。短いように思うかもしれませんが、ヒト胚を培養できる期間には限りがあります。ヒトで受精が行われたあと、1個の胚が2つに分かれて、一卵性双生児となる限界の発生段階だからです。すなわち、この時点を過ぎると唯一無二の個体となるため、倫理的な観点から「規制」されているのです。正確に言えば、以下の図で濃い青色の部分は「法律で14日以内」と規定され、薄い青色の部分は「学協会のガイドラインで規定」されています。

たるんだ肌を若返らせる薄膜:2016年7月号

塗布するだけで、たるんだ皮膚に若々しい弾性がよみがえる、透明なシリコンポリマーが開発された。

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「まるで肌のための補正下着」 

と評された透明なシリコン系薄膜。

この薄膜を開発したのは、生物工学の第一人者Robert Langer教授(MIT)。Langer教授はリビングプルーフという会社を設立し、日常のケア用に、2014年から皮膚科医を通じてこのポリマーを販売しています。

ナノスケールの虹が世界を変える:2016年6月号

あらゆる色の蛍光を発するウイルスサイズの粒子が、テレビのディスプレイからがん治療まで、広範囲な応用分野に革命を起こそうとしている。

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最近、「ナノ発光体」と呼ばれる直径わずか数十nm粒子の応用研究が盛んになっています。

もっとも代表的なものは「量子ドット」と呼ばれる、ナノスケールの半導体結晶。結晶の粒子の大きさや形によって特定の色の光だけを吸収したり放出することが可能です。すでに実用化されているフラットディスプレイやバイオイメージング研究だけでなく、太陽電池、DNAマッピング、外科手術に至るまで、”ウイルスサイズの粒子”が科学分野を席巻しています。

量子ドット技術を初期段階で企業化した(Nanosys)の創設者であり、超有名科学者であるPaul Alivisatos教授は、

今は非常に面白いときです」。

と話しています。

カンブリア爆発の謎に新展開:2016年5月号

 5億4千年前起きた生物の爆発的進化「カンブリア爆発」。進化論では説明できないこの事象解明の糸口が、最近の新たな発見によりつかめつつある。

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エディアカラ紀のまでの生物は単純な生態系でした。5億4千年前に急激な生物進化により、今日の動物と同じ解剖学的特徴をもつ生態系が広がった。なぜ、その時点でそのような生態系が爆発的に生まれたのか、その「火種」はなんだろう?それが数十年間、生物学者の論争の的となっています。いまだ正確な原因はわかっていないが、最近の研究結果より酸素濃度の上昇が「火種」とする論争が再発している。記事では、その経緯と、単純に酸素濃度の上昇だけでは説明できない証拠の発見などについて詳細に説明しています。

その実験結果信用できますか?: 2016年4月号

実験結果のばらつきや再現性のなさは誰もが経験をしたことがある”難題”。君たちの日々の実験に「品質保証」の基準を取り入れることで、解決できる可能性がある。これを知ってもらおうと奮闘している研究者がいる。

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本記事の主役はミネソタ大学獣医学部の内分泌研究者Rebecca Davies。研究の傍ら科学研究の世界では聴き慣れない、「品質保証」に関するグループを率いています。

最期の病:悪液質: 2016年3月号

 がんなどの疾患の末期、患者の筋肉量が著しく減少し、痩せて衰弱する。「悪液質」と呼ばれるこの状態はほぼすべての慢性疾患の末期にみられる状態。この作用機序が少しずつ明らかになってきた。

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進行がん患者の80%がなるという、いわゆる”最期の病”である悪液質。これまで研究者の関心は、元になる基礎疾患に集中しており、この病の対策は見過ごされてきました。しかし、現在では悪液質を治療可能な別個の疾患とみなすようになってきています。記事では悪液質の作用機序や処置法、そして医薬候補化合物について紹介しています。

受賞者は1000人以上!”21世紀のノーベル賞”:2016年2月号

21世紀のノーベル賞と称される「ブレークスルー賞」の受賞者はなんと1377人!ノーベル賞との方針の違いを印象づけた。

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さて、冒頭に記載したように「ブレークスルー賞」なる賞で、なんと1つの賞に1000人以上の受賞者が生まれたそうです。そもそも、読者の皆さんはこの賞聞いたことありましたか?(私は全く知りませんでした)。

記事によると、優れた業績を挙げた研究者を毎年表彰するもので、2012年に基礎物理学賞が設けられ、現在、生命科学賞と数学賞もあるそうです。1つの賞の賞金はなんと300万ドル(約3億6000万円)。新興の科学賞であるのでノーベル賞のような権威はありませんが、賞金だけなら圧倒的にノーベル賞を超えています。どこの誰が設立したかと調べてみると、Facebookのマーク・ザッカーバーグやアリババのジャック・マー、ロシア最大の投資家と言われるユリー・ミルナ−などIT起業家が設立したとのこと。

ゴジラ級のエルニーニョに…出会った!: 2016年1月号

記録的なエルニーニョの発生のために発生している異常気象。その発生の初期段階に偶然にもある研究チームが出会った。

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 エルニーニョは太平洋赤道域で海面水温が平年に比べ高くなる現象です。観測史上最強と言われるのは1997-1998年。その際の海水気温の気温差は高いところでは平均の+5℃にも達しました。その影響からの異常気象と洪水により、数千人が命を落とし、アジアでは2億5000万人もの人々が家を失ったと言われています。

ゾウががんになりにくい本当の理由: 2015年12月号

「ゾウはなぜ、がんになりにくいのだろうか?」。ある科学者が投げかけた難問に、1つの答えがでそうだ。

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1970年に上記の疑問を投げかけたオックスフォード大学の疫学者Richard Peto。通常、ゾウのような大きな動物や、高齢の動物は細胞分裂をたくさんしている分だけ、変異の確率が高く、すなわちがんになりやすいはず。

それにもかかわらずゾウはがんになりにくい。

Petoは細胞ががん化しないようにする生物学的疑問がもともと備わっているのではないかと推測した。

次なる新興感染症に備える: 2015年11月号

2014年7月、エボラウィルスに感染したリベリア人男性が空路でナイジェリアのラゴスに到着したことが判明したとき、世界中の公衆衛生の専門家は息をのんだ。

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Natureに掲載された”How to beat the next Ebola”(DOI:10.1038/524022a)の翻訳記事から。丁度1年前に起こった、エボラ出血熱のアウトブレイクの状況から紹介しています。ラゴスはアフリカ最大の国際空港。つまり、エボラが国際線の乗客から世界に拡散してしまうという危惧がありました。そのため、記事中でも「エボラ」「ラゴス」の2単語が入ったニュースは「世界最悪のニュース」と評されています。

臓器を体外で作る:2015年10月号

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当時、分子生物学研究所(オーストリア・ウィーン)の博士研究員Madeline Lancaster(現:英国MRC分子生物学研究所グループリーダー)が偶然にも”脳”をES細胞からつくってしまった話から始まります。

外部リンク

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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