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2010年ノーベル化学賞予想ーケムステ版

 

発表まであと2週間ほどに迫った今年度のノーベル化学賞。昨年は見事に外し、皆さんを残念がらせて申し訳ございませんでした。【参照:2009年ノーベル化学賞は誰の手に?】先日他の海外化学ブログで紹介されていたノーベル化学賞予想を紹介しました。【2010年ノーベル化学賞予想―海外版】。しかしながら、2010年のノーベル化学賞有力候補として今年ケムステが(いや実は筆者が)決定した候補は入っていませんでした。2007年から予想をはじめてこれまで候補者をあげましたが、いや意外にまぐれですが、2007年のエルトゥル教授と2009年のスタイツ教授は見事当てています…

証拠: 2007年 2007年度ノーベル化学賞を予想!(4)
2009年 2007年度ノーベル化学賞を予想!(5)

これだけあげれば当たるよ!と言われなくはないですが、どちらも当時他の大きなメディアでは候補にも出されていなかった科学者たちです(もちろん分野としては有力候補でした)。

というわけで、今回は前回に続いて当たるか当たらないかわからないけれども、一発ツモ狙いで2010年ノーベル化学賞受賞者予想をしてみたいと思います。(既にトップの画像をみてわかった方にはスミマセン。)

予想これが今年のノーベル化学賞だ!

こんな大々的に書いてしまっていいのでしょうか…まあ、どうせ当たってもハズレても痛くも痒くもないので、大々的にそして大胆に予想します!

2010年のノーベル化学賞は….

 リチウムイオン二次電池に関する先駆的な研究とその開発

テキサス大学のジョン・B・グッドイナフ教授

goodenough.png

(写真:財団法人国際科学技術財団)

としました。これから予想の理由を述べたいと思います。
 

現代ハイテク技術に必須な電池の開発者

 在り来たりの前書きですが、携帯電話、PCなどモバイル製品に必須であるリチウムイオン電池。現在のハイブリッド自動車はいまだニッケル水素電池が主流ですが、ポテンシャルを考えると次世代電気自動車はリチウムイオン電池が中心になっていくでしょう。そんなリチウムイオン二次電池を開発したのが今から30年ほど前、当時オックスフォード大学に所属していたグッドイナフ教授でした。科学的にもう少し正確にいえば、リチウムイオン電池ではなく、「リチウムイオン電池の正極」です。それまでリチウム電池は知られていましたが、その正極としては化学的に反応性の高い金属リチウムであり使い物になりませんでした。ところが1979年にグッドイナフ教授と当時オックスフォード大学に留学していた水島公一氏(現東芝リサーチコンサルティング)が正極としてリチウムコバルト酸化物(Li-XCoO2)が適していることを見出し、特許として報告しました。その後、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)も正極材料として効率的であることを発見しています。

 その後、旭化成の研究員であった、吉野彰氏(現旭化成フェロー)が白川英樹教授(2000年ノーベル化学賞受賞者)が発見したポリアセチレンに注目し、1981年に負極に炭素(ポリアセチレン)、正極にをリチウムコバルト酸化物を用いた現在のリチウム二次電池の基礎となる電池を創成しました。その後、電解質にポリマーを用いる(リチウムポリマー電池)など様々な改良が加えられ現在の実用化にいっています。

 以上のように正極の発想がなければ現在のハイテク技術、次世代のエネルギー問題を解決し得る材料は生まれることがなかったのです。これだけ身近で実用的なものであるならば、正極と負極で両横綱、つまりノーベル化学賞受賞ということがあってもよいのではないでしょうか。
 

あれ?登場した2人の日本人は?

 当然、水島公一氏、吉野彰氏の受賞、すなわちトリプル受賞の可能性も高いと思われます。もし否定的に見るのならば、グッドイナフのところで働いていた研究員として水島氏、また、2000年のノーベル賞とも関係があり、2つを合わせたのが吉野氏と見られるとグットイナフ教授の単独受賞も可能性が高いと思われます。それでも初めて実用化をしたのは日本の企業であるSONYですし、現在この分野のトップランナーとして開発を邁進している国であるので、このタイトルで受賞ならば日本人の受賞があっても良い気がします。ちなみに正極が発見されてから30年強、1991年にリチウムイオン電池が実用化されてからもうすぐ20年。時期的にもばっちりな気がします。
 

時期は?

 前回に予想したときに、ノーベル化学賞にはある程度分野の持ち回り的なところがあるのではないかとお話しました。そうなるとこの分野は無機材料、固体化学分野となるため、2007年が一番近くなり、可能性は低いかもしれません。ただし、2000年のポリアセチレンに関連し、材料科学と考えると10年ぶりとなり、急に受賞可能性が高くなります。金属リチウムおよびリチウムイオン電池関連がここまで盛り上がっているこの時期を逃したらと考えると時期的には抜群であると思われます。
 

国際的な賞

 これも前回に述べましたが、当然ですが、国際的で著名な賞を受賞していると受賞可能性が高いと思われます。グッドイナフ教授は2001年に日本国際賞を受賞しています。これは最近の例で言うと2007年にノーベル化学賞を受賞したエルトゥル教授が受賞しています。これは実はかなり大きな賞で、化学ではなくサイエンス対象であり、受賞者には5000万円の賞金が与えられます。

リチウムは次世代の石油?

 ちなみに、ノーベル化学賞とは関係ないですが、リチウムイオン電池の原料であるのはその名の通りリチウム電池ですね。上記のよう次世代材料も金属リチウムがなければなにも始まりません。しかし、リチウムは実はレアメタル(希少金属)の1つです。現在の供給国は南米のチリやその周辺、中国などが主ですが、実はとてつもなくリチウムを埋蔵している国があります。それは南米の貧困国ボリビアです。今後のことを考えるともしかするとボリビアやチリが現在のドバイやサウジアラビアのような大資源国になる可能性があります。現在日本はもちろん先進国はボリビアのリチウムの採掘技術の開発、利権獲得を狙っています。最近非常にこの話題ニュースが多く、最も注目されている金属であり、代表材料はリチウムイオン電池と考えると、世論を考えても賞は妥当な感じがします。
 

ケムステでも予想していた(苦笑)!

 昔予想したとこ
ろから受賞者がでる可能性は、それは分野で一番の人をピックアップしているので高く、全員継続的に受賞可能性がある化学者です。グッドイナフ教授に関しても2007年に予想しています。【参照:2007年度ノーベル化学賞を予想!(5)

本当は…

いや、もちろん本当は前回通り、有機化学パラジウム触媒を利用した有機合成、カップリング反応で辻二郎Trost鈴木章に加えてHeck玉尾皓平らに受賞して欲しいのは山々です。もちろん有機化学の年(5年前後に1回有機化学分野の受賞があること)は今年も続いているので可能性は最も高い受賞分野であることは間違いないでしょう。ただし、前回と同じは面白くないのと、余りにも時代に即している受賞テーマが考えられたので以上のように予想しました。

 

皆さんの予想

皆さんの予想はいかがでしょうか。海外版でも記載したとおりブログやTwitterのタグ#sci_onで予想してみましょう。そういうわけで今年もノーベル化学賞への道2010と題して特設サイトを設置しました。有力候補者や、これまでのケムステのノーベル賞関連記事に簡単にアクセス出来るようになっております。昔を振り返って、思いを巡らせてみてください。

またもしよろしければこちらのアンケートにご協力ください!!
宜しくお願い致します。

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webmaster
Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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