[スポンサーリンク]

N

根岸試薬(Cp2Zr) Negishi Reagent

[スポンサーリンク]

 

概要

市販のCp2ZrCl2に2当量のブチルリチウム、もしくはエチルGrignard試薬を加えることで、二価ジルコニウム錯体が調製される。これは、アルケン・アルキンに対し酸化的環化反応を起こし、ジルコナサイクル中間体を与える。中間体は求電子剤に対して活性であり、さらなる変換を施す事が可能。

基本文献

  •  Negishi, E; Cederbaum, F. E.; Takahashi, T. Tetrahedron Lett. 1986, 27, 2829. doi:10.1016/S0040-4039(00)84653-5
  • 総説: 根岸栄一, 高橋保 有機合成化学協会誌1989, 47,

 

  •  Review: Negishi, E.; Takahashi, T. Bull. Chem. Soc. Jpn. 1998, 71, 755. doi:10.1246/bcsj.71.755
  • Review: Takahashi, T.; Kotora, M.; Hara, R.; Xi, Z. Bull. Chem. Soc. Jpn.1999, 72, 2591. doi:10.1246/bcsj.72.2591

 

反応機構

Cp2ZrII
は14電子種であり、空d軌道を2つ、電子対占有d軌道を一つ持つ。不飽和結合へのカルベノイド様付加→空の軌道を利用した挿入→ジルコナサイクル形成という過程を経て進行する。アルキン(アルケン)→ジルコナサイクルの変換過程は可逆的であり、条件によっては立体異性化が起こることもある。
negishi_reagent_3.gif

反応例

ジルコナサイクル中間体は求電子剤によって捕捉され、様々な化合物へと変換可能である。得られる化合物の立体選択性も特筆すべき点である。
negishi_reagent_4.gif
反応するのは炭素-炭素不飽和結合に限らない。アルデヒド、ニトリルとも反応し、挿入付加物を与える。
negishi_reagent_5.gif
One-Potでの多置換ベンゼン誘導体、ピリジン誘導体の合成も可能である。
negishi_reagent_6.gif
複雑な骨格を持つ天然物合成にも利用されている。
例) WenderらによるPhorbolの合成[1] negishi_reagent_7.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Wender,P.A.; McDonald, F. E. J. Am. Chem. Soc. 1990,112, 4956. DOI: 10.1021/ja00168a050

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”3527304282″ locale=”JP” title=”Titanium and Zirconium in Organic Synthesis”]

 

外部リンク

関連記事

  1. デーブナー・フォン=ミラー キノリン合成 Doebner-von…
  2. フォン・ペックマン反応 von Pechmann Reactio…
  3. 野崎・檜山・岸反応 Nozaki-Hiyama-Kishi (N…
  4. 福山クロスカップリング Fukuyama Cross Coupl…
  5. ミカエリス・アルブゾフ反応 Michaelis-Arbuzov …
  6. ゼムラー・ウォルフ反応 Semmeler-Wolff React…
  7. ペタシス試薬 Petasis Reagent
  8. 三枝・伊藤 インドール合成 Saegusa-Ito Indole…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学小説まとめ
  2. CIPイノベーション共創プログラム「世界に躍進する創薬・バイオベンチャーの新たな戦略」
  3. 果たして作ったモデルはどのくらいよいのだろうか【化学徒の機械学習】
  4. ディーター・ゼーバッハ Dieter Seebach
  5. ヨアヒム・フランク Joachim Frank
  6. 富士写、化学材料を事業化
  7. 細胞内で酵素のようにヒストンを修飾する化学触媒の開発
  8. 日本薬学会  第143年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part 2
  9. 前人未踏の超分子構造体を「数学のチカラ」で見つけ出す
  10. 産官学の深耕ー社会への発信+若い力への後押しー第1回CSJ化学フェスタ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP