[スポンサーリンク]

chemglossary

逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR; reverse transcription PCR)

[スポンサーリンク]

DNAではなく、RNAを対象としたPCR。逆転写酵素(reverse transcriptase)を用い、RNAサンプルを相補的DNA(cDNA)へと転写し、得られたcDNAに対して通常のPCRを行う。そのため、逆転写反応のステップ以外は通常のPCRと同じである。逆転写反応とPCRを1ステップで行う方法と、2ステップに分けて行う方法がある。

遺伝子発現量(mRNA量)の測定やRNAウイルスの感染検査など、RNAの定量を目的に、qPCRと組み合わせて用いられることが多い(RT-qPCR)。定量以外の目的では、クローニングや配列決定などにも利用される。

RT-PCRの流れ。

 

1ステップのRT-PCR

  • 手間・作業エラーが少ない。
  • 作業手順が少ないため、特にサンプル数が多い場合に有利。
  • 感度が下がる場合がある。
  • 特定の配列を対象にしたプライマーしか用いれない。

2ステップのRT-PCR

  • 逆転写反応と、PCR過程で異なるプライマーを用いることができる。
  • 各ステップの条件調整をしやすい。
  • 1ステップの手法よりも手順が多く、コンタミネーションやエラーが起こりやすい。

特に2ステップの手法では、逆転写反応でランダム配列のプライマーライブラリーを用いてcDNAライブラリを作り、PCR過程では特異的プライマーを用いて特定の遺伝子を増幅する、という手法がよく利用されている。ポリT配列のプライマー(mRNAのポリA配列に結合する)を用いる場合もある。

関連リンク

Avatar photo

kanako

投稿者の記事一覧

アメリカの製薬企業の研究員。抗体をベースにした薬の開発を行なっている。
就職前は、アメリカの大学院にて化学のPhDを取得。専門はタンパク工学・ケミカルバイオロジー・高分子化学。

関連記事

  1. 極性表面積 polar surface area
  2. 水分解 water-splitting
  3. ソーレー帯 (Soret band) & Q帯 (Q …
  4. 分子糊 モレキュラーグルー (Molecular Glue)
  5. シュテルン-フォルマー式 Stern-Volmer equat…
  6. 全合成 total synthesis
  7. 動的コンビナトリアル化学 Dynamic Combinatori…
  8. ケミカルバイオロジー chemical biology

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第8回平田メモリアルレクチャー
  2. エリック・ベッツィグ Eric Betzig
  3. オペレーションはイノベーションの夢を見るか? その3+まとめ
  4. クリスマス化学史 元素記号Hの発見
  5. Chemの論文紹介はじめました
  6. 第170回―「化学のジョブマーケットをブログで綴る」Chemjobber
  7. 有機合成化学協会誌2018年10月号:生物発光・メタル化アミノ酸・メカノフルオロクロミズム・ジベンゾバレレン・シクロファン・クロミック分子・高複屈折性液晶・有機トランジスタ
  8. ナタリー カロリーナ ロゼロ ナバロ Nataly Carolina Rosero-Navarro
  9. ワッカー酸化 Wacker oxidation
  10. 知られざる有機合成のレアテク集

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年5月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP