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山口マクロラクトン化/Yamaguchi Macrolactonization

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⏱ 30秒サマリー

  • 何をする反応か — 分子内に水酸基とカルボキシ基をあわせ持つ「セコ酸」を、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド(山口試薬)で混合酸無水物に変え、DMAP を作用させて分子内で環化させる反応。

  • 何ができるか — 12員環から30員環を超える大環状ラクトン(マクロラクトン)が、既存の官能基・立体中心をほぼそのまま保持した形で得られる。

  • いつ使うか — 全合成の終盤で大環状骨格を一気に閉じたいとき。実績が最も豊富で、まず最初に試す標準手法。

概要

山口マクロラクトン化(Yamaguchi macrolactonization)は、1979年に九州大学の稲永純二・平田久仁子・佐伯浩子・香月勗・山口勝によって報告された、混合酸無水物を経由するエステル化・大環状ラクトン化法である[1]。原報のタイトルが示すとおり、もともとは「混合酸無水物を用いる高速エステル化とその大環状ラクトン化への応用」として提出された手法であり、続報ではチオールエステル合成へも展開された[2]

反応は2つの操作に分かれる。まずセコ酸(ω-ヒドロキシカルボン酸)のカルボキシ基を、トリエチルアミン存在下で 2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド(TCBC、山口試薬)と反応させ、混合酸無水物に変換する。次にこれを 4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)存在下、希薄条件で分子内のヒドロキシ基と反応させて環を閉じる。カルボン酸を活性化するタイプのマクロラクトン化としては最も適用実績が多く、大環状天然物の全合成における事実上の標準手法となっている[19,22,25,27]

1990年に米満宰らが報告した改変山口法(米光条件)では、DMAP を触媒量ではなく大過剰に用いることで、室温・還流不要でエリスロノリド A の14員環を極めて効率よく閉じられることが示された[5,6,7,8,9]。さらに、α位に立体中心をもつ基質では還流条件がむしろ収率とジアステレオ選択性の両方を悪化させるという直接比較データも報告されている[32]

反応機構

(1) 混合酸無水物の生成

セコ酸のカルボキシ基が Et₃N によって脱プロトン化され、生じたカルボキシラートが TCBC のカルボニル炭素を攻撃して、脂肪族アシル基と 2,4,6-トリクロロベンゾイル基が酸素を介して連結した混合酸無水物を与える[1]。この段階で塩酸塩(Et₃N·HCl)が析出する。

(2) 求核触媒 DMAP によるアシルピリジニウムの生成

混合酸無水物には2つのカルボニルがあるため、どちら側が攻撃されるかが反応の成否を決める。古典的には「2,4,6-トリクロロベンゾイル側は2個のオルト位塩素の立体障害によって攻撃されないため、DMAP は脂肪族側を選択的に攻撃する」と説明されてきた[1]。ただしこの描像は、2006年の機構研究によって一段深く修正されている。

Dhimitruka と SantaLucia は、立体障害のないベンゾイルクロリド等では混合酸無水物・対称芳香族酸無水物・対称脂肪族酸無水物の混合物が生じるのに対し、嵩高い活性化剤を用いた場合には系内のカルボキシラートが混合酸無水物の脂肪族側を攻撃して「対称脂肪族酸無水物 (RCO)₂O」が生成し、これが実際にアルコールと反応する求電子種であると報告した。位置選択性の起源は立体障害だけではなく、脂肪族カルボキシラートの高い求核性と脂肪族酸無水物の高い求電子性という電子的要因にもある、というのが彼らの主張である[3]。2024年の総説もこの不均化経路を採用して機構を記述している[27]。ただし Dhimitruka らが検討したのは分子間エステル化であり、マクロラクトン化は分子内かつ超希薄条件で行う。分子間系の知見をマクロラクトン化へそのまま外挿してよいかは、現時点では未解決の問題と考えられる。

DMAP がここで働いているのは「塩基」としてではなく「求核触媒」としてである。無水物+アルコール+Et₃N という同型の系についての DFT 計算と速度論の研究は、①最も有利な経路が DMAP のカルボニル炭素への求核付加であること、②生じたアシルピリジニウム/カルボキシラート・イオン対がアシル基を移すこと、③アルコールと DMAP について一次、Et₃N について0次であること、④アルコールを脱プロトン化するのは Et₃N ではなくイオン対内のカルボキシラートであること、を示している[4]

(3) 分子内アシル移動による閉環

アシルピリジニウム中間体のカルボニルを、同一分子内のヒドロキシ基が攻撃して環化が完結し、DMAP が再生する。

(4) なぜ希釈と滴下が必要か

分子内閉環は一次反応(速度 ∝ [基質])であるのに対し、分子間の二量化・オリゴマー化は二次反応(速度 ∝ [基質]²)である。したがって選択性は基質濃度に反比例し、濃度を下げるほど環化が有利になる。実際の操作では、シリンジポンプによる低速滴下による「擬似高希釈」が用いられる[1]。米光変法はこれとは相補的な戦略であり、DMAP を大過剰にして環化側の速度定数そのものを引き上げることで、高希釈・還流を不要にする[6,7,8]

(5) 主な副反応
  • ジオリド(環状二量体)・オリゴマー:分子間エステル化が先行した場合に生じる。直鎖状の配座が安定なセコ酸では二量化が有利になり、単量体:二量体 ≒ 1:5(目的物17%程度)まで悪化しうることが報告されている[21]
  • 2,4,6-トリクロロ安息香酸エステル:アルコールが混合酸無水物の「誤った側」(トリクロロベンゾイル側)を攻撃した場合の副生物であり、カルボキシ基は遊離のまま残るデッドエンドとなる[3,27]
  • α位のエピマー化・ラセミ化、E/Z 異性化:活性化されたアシル種は α 位の酸性度を高めるため、塩基存在下・加熱下でエピマー化が起こりうる。これらは近年、査読論文において「古典的マクロラクトン化の課題」として明示的に名指しされている[17,32]

特徴・適用範囲・類似反応との比較

強み:
  • 適用実績が圧倒的に多い。 原報の被引用は2,000件を超え、12員環から30員環超まで、ポリケチド・マクロリド・環状デプシペプチドと幅広い骨格で成功例が蓄積している[25,27]。「まず山口法を試す」という選択には、比較対象となる先例が豊富にあるという実務的な価値がある。
  • 試薬が安価で入手しやすい。 TCBC・Et₃N・DMAP のいずれも汎用試薬である。
  • 条件の振り幅が大きい。 室温(米光型)から 110 ℃(トルエン還流)まで、基質に応じて温度・塩基・溶媒を調節できる。環化が進まない歪んだ基質では昇温が有効という報告もある[21]
  • セコ酸を直接使える。 事前に活性エステル等へ誘導する必要がなく、活性化と環化をワンポットに近い形で行える[6,7]
弱み・注意点:
  • 高希釈と低速滴下が必要で、体積効率が悪い。 これはスケールアップの主要な障壁とされ、化学量論量の活性化剤を要する点、副生物の除去が煩雑な点とあわせて、工業化を妨げる要因として指摘されている[26]
  • α位に立体中心をもつ基質ではエピマー化のリスクがある。
  • 配座が「伸びた」セコ酸では二量化が優位になる[21]
  • 中員環(8〜11員環)は依然として難しい。 この環サイズの構築だけで独立した総説が書かれるほどの難所である[20]
  • 効かない基質が実在する。 イエジマライドB の全合成では「山口条件では目的物が得られなかった」と報告され、閉環メタセシスに変更されている[30]。大環状化の成否が戦略全体を左右するという点は、全合成の総説でも繰り返し論じられている[24]
  • TCBC 自体の反応性は必ずしも高くない。 立体的に嵩高いことに起因する反応性の低さ、基質の分解、低収率が、山口法の欠点として明記されている[27]
類似反応との比較
反応 主な前駆体 生成物の型 長所 短所・注意 使いどころ
山口マクロラクトン化 セコ酸(ω-ヒドロキシカルボン酸) マクロラクトン(12〜30員超) 実績が最も豊富/試薬が安価/室温〜還流まで条件の幅が広い 高希釈・低速滴下が必要/α位エピマー化/副生トリクロロ安息香酸の除去が煩雑 大環状化でまず最初に試す標準手法。特に配座的に環化しやすいポリケチド系
椎名マクロラクトン化 セコ酸 マクロラクトン(中員環にも強い) 室温・真の触媒量で回る/酸クロリドを使わず HCl が出ない/エピマー化が少ない[13,14,15] 試薬(MNBA)が山口試薬より高価 エピマー化しやすい基質、8〜9員環などの中員環[20]
コーリー・ニコラウ マクロラクトン化 セコ酸(2-ピリジルチオエステル経由) マクロラクトン 古典的で信頼性が高い/「二重活性化」による分子内制御 加熱を要する/基質によっては選択性が逆転した例がある[32] 山口法・椎名法で結果が出ないときの選択肢
ケック マクロラクトン化 セコ酸(DCC/DMAP 系) マクロラクトン DMAP 塩酸塩をプロトン源に用いる工夫で副反応を抑制 尿素副生物の除去/基質によっては低収率[32] Steglich 型条件に馴染む基質
光延反応 セコ酸(アルコール側を活性化) マクロラクトン(立体反転 アルコール側の立体化学を反転できる ホスフィンオキシド・ヒドラジンの除去/二量化しやすい アルコール立体中心を反転させたい場合

反応例

クリプトフィシン-24(アレナスタチンA)

抗腫瘍性デプシペプチド。Georg らによる C16 側鎖の改変を可能とする全合成において、山口法が用いられた[29]。 なお2024年には別ルートが報告されており、そこではセグメント連結のエステル化に山口条件が使われる一方、大環状化そのものはラクタム化で行われている[37]。「山口法=必ず大環化に使われる」わけではない。

(−)-エニグマゾールB

セコ酸を THF 中で TCBC と Et₃N により混合酸無水物とし、溶媒をトルエンに替えて DMAP 存在下 80 ℃ で環化させ、18員環マクロラクトンを 93% で得ている[36,38]。「THF で活性化 → トルエンで環化」という二溶媒プロトコルは、近年の標準形のひとつである。

LI-F04a

同一基質に対して5つのマクロラクトン化法を比較している[32]

手法 条件 収率 dr
コーリー・ニコラウ PySSPy, PPh₃, MeCN, 80 ℃ 56% 13:87(逆選択)
ケック(Boden–Keck) DCC/DMAP/CSA, CH₂Cl₂ 14% 45:55
山口(原法型) TCBC/DMAP/Et₃N, トルエン, 110 ℃ 20% 61:39
山口(米光型) TCBC/DMAP/Et₃N, トルエン, 25 ℃, 低速滴下 58% 92:8
椎名(MNBA) MNBA/DMAP/Et₃N, トルエン, 25 ℃, 低速滴下 52% 94:6

論文の結論は「セコ酸を活性化剤側へ低速滴下することがエピマー化最小化の鍵」というものである。また、ターン誘起基(シュードプロリン)の導入はかえって収率を悪化させた(7–24%)とも報告されており、「配座を固定すれば必ず良くなる」わけではないことを示している。

マイコラクトン

Kishi らの第1世代合成では TCBC・DIPEA・DMAP をベンゼン中・室温でワンポットに用いて 70%、第2世代では混合酸無水物を形成してから DMAP を加える逐次法に変更して 96%に改善された。Negishi らの合成でも78%が報告されている[23]DMAP を最初から共存させるより、混合酸無水物を作ってから加える方が良いことを示唆する実例である。

ブリオスタチン1

アルツハイマー病や HIV 潜伏感染に関連して注目される PKC 調節剤。C1–C25 セコ酸のマクロラクトン化に山口条件が使われている[31]

プラジエノライドB/ (+)-ネオペルトリド/ イリオモテオライド-1a

スプライソソーム阻害剤プラジエノライドB は TCBC/Et₃N/DMAP/THF 系で 63%[33]、(+)-ネオペルトリドは山口条件で 90%[34]、イリオモテオライド-1a/1b は TCBC/DIPEA/DMAP 系で 61%[35] が報告されている。

実験手順

標準的な実施例:二溶媒プロトコル((−)-エニグマゾールB の18員環形成)[36,38]
  1. セコ酸を無水 THF に溶かし、トリエチルアミンを加える。
  2. 2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリドを加え、室温で撹拌して混合酸無水物を生成させる。析出したトリエチルアミン塩酸塩は必要に応じて濾別する。
  3. 溶媒を留去し、残渣を無水トルエンに溶かす。
  4. 別途、DMAP を含む無水トルエンを 80 ℃ に加熱しておき、そこへ 3 の溶液をシリンジポンプで低速滴下する(希薄条件を保つため)。
  5. 反応終了後、通常の水系後処理(副生物・DMAP を除くための酸性水洗を含む)を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。 → 18員環マクロラクトンが 93% で得られる。
変法A:米光型(室温・DMAP 大過剰・セコ酸を滴下)[6,7,8,32]

エピマー化しやすい基質、熱に弱い基質にはこちらが適していると考えられる。

  1. TCBC・トリエチルアミン・DMAP を無水トルエンに溶かし、25 ℃(室温)で撹拌する。
  2. セコ酸のトルエン溶液を、この活性化剤溶液へシリンジポンプで低速滴下する(=原法とは滴下の向きが逆)。
  3. 後処理・精製は上記と同様。 → 25員環環状デプシペプチドで 58%、dr 92:8(同一基質を110 ℃で行うと 20%、dr 61:39)[32]
変法B:逐次 DMAP 添加型(ベンゼン・室温)[23]
  1. セコ酸に TCBC と i-Pr₂NEtをベンゼン中・室温で作用させ、混合酸無水物を生成させる。
  2. 続いて DMAP を加える。 → 12員環マクロラクトンが 96%(DMAP を最初から共存させたワンポット条件では 70%)。

実験のコツ・テクニック

  • 温度:「トルエン還流」を既定値にしない。 同一基質での直接比較では、110 ℃ で 20%(dr 61:39)だったものが、25 ℃ +低速滴下で 58%(dr 92:8)まで改善したという報告がある[32]。α位に立体中心がある、あるいは熱・塩基に弱い官能基をもつ基質では、まず室温条件から検討するのが合理的と考えられる。逆に、配座的に歪んで環化が進まない基質では昇温が有効との指摘もある[21]
  • 滴下の「速度」より「向き」。 原法は混合酸無水物を DMAP 溶液へ滴下するが、椎名法および上記の最適化条件はいずれもセコ酸を活性化剤側へ滴下する形に収束している[13,32]。これは混合酸無水物を系内に溜めないことでオリゴマー化を抑える設計と理解できる。環化がうまくいかないときに試す価値のある変更点である。
  • DMAP は「塩基」ではなく「求核触媒」。 速度論的には Et₃N は0次(速度式に現れない)であり、単なる HCl 捕捉剤として働く[4]。したがって環化段階に Et₃N·HCl を持ち込む積極的な理由はなく、濾別してから環化させるという原法の操作には合理性がある。ただし濾別が必須ではないとする指摘もある(詳細は外部リンク参照)。
  • DMAP の当量は「触媒量」では足りないことが多い。 米光変法の要点は DMAP を化学量論量以上に用いる点にある[6,7,8]。系内に残る HCl・トリクロロ安息香酸による DMAP のプロトン化(=求核性の失活)を補う意味もあると考えられる。
  • 混合酸無水物は「単離しない」中間体と考える。 原法でも単離せず、濃縮してトルエンに溶かし直して使う。近年の改良(椎名法、米光型、保存安定な TCB–DMAP 塩[10])はいずれも「混合酸無水物を蓄積させない/作らずに済ませる」方向に向かっている。
  • TCBC の品質管理。 メーカー資料では 水分感受性・不活性ガス下での保存が指定されており、開封済み瓶の劣化は現実的なリスクである。沸点が 275 ℃ と高いため、精製するなら減圧蒸留となる。数年間保存可能な結晶性の代替試薬(TCB–DMAP 塩)が報告されており、この問題への設計的な回答となっている[10]
  • 副生する 2,4,6-トリクロロ安息香酸の除去が厄介。 水溶性が低く、カラムでの分離に手間がかかる。この問題に対しては、フルオラス相分離で回収できるフルオラス山口試薬が報告されている[11]
  • 後処理では酸性水洗を入れる。 塩基性の DMAP を水層に除くためである。
  • ⚠ DMAP の経皮毒性に注意。 MSDS では経皮 LD50(ウサギ)13 mg/kg に対し経口 LD50(ラット)250 mg/kg と、皮膚からの吸収の方が約20倍危険という、有機試薬としては異例のプロファイルが記載されている。「皮膚から吸収されると致死的となりうる」「皮膚から容易に吸収される」と明記されている。米光変法は DMAP を化学量論量以上使うため、原法より曝露リスクが構造的に高い点に留意されたい。二重手袋・こまめな交換など、手袋の過信を避ける運用が望まれる。
  • ⚠ TCBC は GHS「危険」区分。 H314(重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷)、H290(金属腐食のおそれ)。加水分解して塩化水素を発生するため、ドラフト内での取り扱いと器具の腐食への配慮が必要である。
  • エピマー化・E/Z 異性化を避けたい場合の代替手段。 これらは近年、査読論文で古典的マクロラクトン化の課題として名指しされており、イナミド媒介法[17]、Hf(OTf)₄ 触媒による直接マクロラクトン化[16]、ラセミ化抑制型の改良山口試薬[12]といった代替が提案されている。特に後者は「シリルエーテル・アセタール・カルバマートに耐性」「低速滴下も共沸脱水も不要」を謳っている。

参考文献

【原著】
  1. Inanaga, J.; Hirata, K.; Saeki, H.; Katsuki, T.; Yamaguchi, M. Bull. Chem. Soc. Jpn. 1979, 52, 1989–1993. DOI: https://doi.org/10.1246/bcsj.52.1989 (原報。混合酸無水物による高速エステル化と大環状ラクトン化)
  2. Kawanami, Y.; Dainobu, Y.; Inanaga, J.; Katsuki, T.; Yamaguchi, M. Bull. Chem. Soc. Jpn. 1981, 54, 943–944. DOI: https://doi.org/10.1246/bcsj.54.943 (チオールエステル合成への展開)
【機構・理論】
  1. Dhimitruka, I.; SantaLucia, J., Jr. Org. Lett. 2006, 8, 47–50. DOI: https://doi.org/10.1021/ol0524048 (位置選択性の起源の再検討。対称脂肪族酸無水物が活性種とする説)
  2. Xu, S.; Held, I.; Kempf, B.; Mayr, H.; Steglich, W.; Zipse, H. Chem. Eur. J. 2005, 11, 4751–4757. DOI: https://doi.org/10.1002/chem.200500398 (DMAP 触媒アシル化の DFT +速度論。Et₃N は0次)
【変法・改良法】
  1. Tone, H.; Nishi, T.; Oikawa, Y.; Hikota, M.; Yonemitsu, O. Tetrahedron Lett. 1987, 28, 4569–4572. DOI: https://doi.org/10.1016/S0040-4039%2800%2996566-3 (変法の初出。(9S)-9-ジヒドロエリスロノリドA)
  2. Hikota, M.; Tone, H.; Horita, K.; Yonemitsu, O. J. Org. Chem. 1990, 55, 7–9. DOI: https://doi.org/10.1021/jo00288a004 (タイトルに “modified Yamaguchi method” を明記。命名の一次出典)
  3. Hikota, M.; Sakurai, Y.; Horita, K.; Yonemitsu, O. Tetrahedron Lett. 1990, 31, 6367–6370. DOI: https://doi.org/10.1016/S0040-4039%2800%2997066-7 (「通常のアシル化条件」で高希釈・還流が不要になることを示す)
  4. Hikota, M.; Tone, H.; Horita, K.; Yonemitsu, O. Tetrahedron 1990, 46, 4613–4628. DOI: https://doi.org/10.1016/S0040-4020%2801%2985585-X (フルペーパー。配座調整とセコ酸の高度活性化)
  5. Sakurai, Y.; Hikota, M.; Horita, K.; Yonemitsu, O. Chem. Pharm. Bull. 1992, 40, 2540–2542. DOI: https://doi.org/10.1248/cpb.40.2540 (続報:直接マクロラクトン化)
  6. Okuno, Y.; Isomura, S.; Nishibayashi, A.; Hosoi, A.; Fukuyama, K.; Ohba, M.; Takeda, K. Synth. Commun. 2014, 44, 2854–2860. DOI: https://doi.org/10.1080/00397911.2014.919659 (保存安定な TCB–DMAP 塩型の改良山口試薬)
  7. Nishio, Y.; Kawazu, A.; Hirano, S.; Matsubara, H. Tetrahedron 2016, 72, 720–725. DOI: https://doi.org/10.1016/j.tet.2015.12.026 (回収可能なフルオラス山口試薬)
  8. Chandra, J.; Manne, S. R.; Mondal, S.; Mandal, B. ACS Omega 2018, 3, 6120–6133. DOI: https://doi.org/10.1021/acsomega.8b00732 (ラセミ化抑制型の改良山口試薬)
【類似反応・代替法】
  1. Shiina, I.; Kubota, M.; Ibuka, R. Tetrahedron Lett. 2002, 43, 7535–7539. DOI: https://doi.org/10.1016/S0040-4039%2802%2901819-1 (MNBA によるマクロラクトン化の原著)
  2. Shiina, I.; Kubota, M.; Oshiumi, H.; Hashizume, M. J. Org. Chem. 2004, 69, 1822–1830. DOI: https://doi.org/10.1021/jo030367x (塩基性触媒で促進される混合酸無水物法)
  3. Shiina, I.; Ushiyama, H.; Yamada, Y.; Kawakita, Y.; Nakata, K. Chem. Asian J. 2008, 3, 454–461. DOI: https://doi.org/10.1002/asia.200700305 (DMAPO を求核触媒とする改良)
  4. de Léseleuc, M.; Collins, S. K. ACS Catal. 2015, 5, 1462–1467. DOI: https://doi.org/10.1021/acscatal.5b00082 (Hf(OTf)₄ 触媒によるセコ酸の直接マクロラクトン化)
  5. Yang, M.; Wang, X.; Zhao, J. ACS Catal. 2020, 10, 5230–5235. DOI: https://doi.org/10.1021/acscatal.0c00523 (イナミド媒介法。ラセミ化・E/Z 異性化の回避)
  6. Sutar, D. V.; Sarang, N. U.; Jamdade, A. B.; Gnanaprakasam, B. J. Org. Chem. 2023, 88, 3740–3759. DOI: https://doi.org/10.1021/acs.joc.2c03000 (高希釈条件下の連続フロー・マクロラクトン化。向山試薬系
【総説】
  1. Parenty, A. D. C.; Moreau, X.; Campagne, J.-M. Chem. Rev. 2006, 106, 911–939. DOI: https://doi.org/10.1021/cr0301402 (全合成におけるマクロラクトン化の定番総説)
  2. Shiina, I. Chem. Rev. 2007, 107, 239–273. DOI: https://doi.org/10.1021/cr050045o (8・9員環ラクトン。中員環形成の難しさ)
  3. Shiina, I.; Katoh, T.; Nagai, S.; Hashizume, M. Chem. Rec. 2009, 9, 305–320. DOI: https://doi.org/10.1002/tcr.200900017 (マクロラクトン化の効率評価。単量体:二量体 ≒ 1:5 の出典)
  4. Parenty, A. D. C.; Moreau, X.; Niel, G.; Campagne, J.-M. Chem. Rev. 2013, 113, PR1–PR40. DOI: https://doi.org/10.1021/cr300129n (上記の Update 1)
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  9. Munir, R.; Zahoor, A. F.; Anjum, M. N.; Mansha, A.; Irfan, A.; Chaudhry, A. R.; Kotwica-Mojzych, K.; Głowacka, M.; Mojzych, M. Front. Chem. 2024, 12, 1477764. DOI: https://doi.org/10.3389/fchem.2024.1477764 (2021–2023の適用例を網羅)
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【応用例】
  1. Eggen, M.; Mossman, C. J.; Buck, S. B.; Nair, S. K.; Bhat, L.; Ali, S. M.; Reiff, E. A.; Boge, T. C.; Georg, G. I. J. Org. Chem. 2000, 65, 7792–7799. DOI: https://doi.org/10.1021/jo000767%2B (クリプトフィシン-24/アレナスタチンA)
  2. Fürstner, A.; Nevado, C.; Tremblay, M.; Chevrier, C.; Teplý, F.; Aïssa, C.; Waser, M. Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 5837–5842. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.200601860 (イエジマライドB。山口条件が効かなかった例)
  3. Keck, G. E.; Poudel, Y. B.; Cummins, T. J.; Rudra, A.; Covel, J. A. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 744–747. DOI: https://doi.org/10.1021/ja110198y (ブリオスタチン1、20員環)
  4. Cochrane, J. R.; Yoon, D. H.; McErlean, C. S. P.; Jolliffe, K. A. Beilstein J. Org. Chem. 2012, 8, 1344–1351. DOI: https://doi.org/10.3762/bjoc.8.154 (LI-F04a。5手法の直接比較。オープンアクセス)
  5. Yoo, M.; Krische, M. J. Angew. Chem. Int. Ed. 2021, 60, 13923–13928. DOI: https://doi.org/10.1002/anie.202103845 (プラジエノライドB、12員環)
  6. Nakazato, K.; Oda, M.; Fuwa, H. Org. Lett. 2022, 24, 4003–4008. DOI: https://doi.org/10.1021/acs.orglett.2c01429 ((+)-ネオペルトリド、14員環)
  7. Ghosh, A. K.; Yuan, H. Mar. Drugs 2022, 20, 587. DOI: https://doi.org/10.3390/md20100587 (イリオモテオライド-1a/-1b、20員環。オープンアクセス)
  8. Goda, Y.; Fuwa, H. Org. Lett. 2023, 25, 8402–8407. DOI: https://doi.org/10.1021/acs.orglett.3c03002 ((−)-エニグマゾールB、18員環)
  9. Mihara, Y.; Kadoya, H.; Kakihana, S.; Kotoku, N. Molecules 2024, 29, 4058. DOI: https://doi.org/10.3390/molecules29174058 (アレナスタチンAの新ルート。山口法は断片連結に使用。オープンアクセス)
  10. Goda, Y.; Sakamoto, K.; Murata, K.; Fuwa, H. Bull. Chem. Soc. Jpn. 2025, 98, uoaf079. DOI: https://doi.org/10.1093/bulcsj/uoaf079 ((−)-エニグマゾールB のフルペーパー)
【書籍】
  1. 東郷 秀雄『改訂 有機人名反応 そのしくみとポイント』講談社, 2011. ISBN 978-4-06-154373-7. https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000148652
  2. 日本化学会 編『天然有機化合物の全合成』化学同人, 2018. ISBN 978-4-7598-1387-6. https://www.kagakudojin.co.jp/book/b345295.html
  3. Li, J. J. Name Reactions; Springer: Cham, 2014; pp 648–649(”Yamaguchi esterification”). ISBN 978-3-319-03978-7. https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-319-03979-4_295
  4. Nicolaou, K. C.; Sorensen, E. J. Classics in Total Synthesis: Targets, Strategies, Methods; Wiley-VCH: Weinheim, 1996. ISBN 978-3-527-29231-8.

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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