[スポンサーリンク]

D

不斉ディールス・アルダー反応 Asymmetric Diels-Alder Reaction

[スポンサーリンク]


概要

キラル補助基を用いる方法と不斉触媒法の2パターンが主軸。Diels-Alder反応ヘテロDiels-Alder反応いずれの例も研究が進んでいる。

基本文献

  • Waldmann, H. Synthesis 1994, 535. DOI:10.1055/s-1994-25519
  • Kagan, H. B.; Riant, O. Chem. Rev. 1992, 92, 1007.
  • Dias, L C.; J. Braz. Chem. Soc. 1997, 8, 289.
  • Corey, E. J. Angew. Chem. Int. Ed.200241, 1650. [Abstract]

 

開発の歴史

不斉補助基を用いたDiels-Alder反応は1960年代に遡る。1963年にWalborskyらが塩化スズを触媒として(–)-フマル酸ジメンチルエステルをジエノフィルとしてブタジエンとDiels-Alder反応を行うことで、75%の光学収率でDiels-Alder付加体を得ている。[a] [a]  Walborsky, H.M.;  Barash, L; Davis, T.C. Tetrahedron, 1963, 12, 1963. DOI: 10.1016/0040-4020(63)85050-4

 

反応機構

Diels-Alder反応を参照。

 

反応例

Ti-BINOL系(三上触媒)を用いた例[1] asym_D_A_2.gif
キラルオキサザボロリジンを用いるDiels-Alder反応(冒頭スキーム参照)[2]は、最も有名な不斉触媒反応の一例である。様々な化合物合成にも応用されている。

Platensimycinの合成[3]:Bronsted酸複合型Lewis酸触媒による不斉Diels-Alder反応[4]が鍵反応。
asym_D_A_3.gif
MacMillan触媒[5]による不斉Diels-Alder反応[6]:アクロレインをアクセプターにすることができる。アルデヒドは続く変換に伏しやすく、合成的価値が高い。
asym_D_A_4.gif
(+)-Ambruticinの合成[7] asym_D_A_5.gif

実験手順

実験のコツ・テクニック

参考文献

[1] (a) Mikami, K.; Terada, M.; Motoyama, Y.; Nakai, T. Tetrahedron:Asymmetry 1991, 2, 643. doi:10.1016/S0957-4166(00)86118-2 (b) Mikami, K.; Motoyama, Y.; Terada, M. J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 2812. DOI: 10.1021/ja00086a014

[2] (a) Corey, E. J.; Lee, T. W. Chem. Commun. 2001, 1321. DOI: 10.1039/B104800G (b) Hayashi, Y.; Rohde, J. J.; Corey, E. J. J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 5502. DOI: 10.1021/ja960766s
[3] Li, P.; Payette, J. N.; Yamamoto, H. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 9534. DOI: 10.1021/ja073547n
[4] Payette, J. N.; Yamamoto, H. J. Am. Chem. Soc. 2007129, 9536. DOI: 10.1021/ja0735958
[5] Lelais, G.; MacMillan, D. W. C. Aldrichimica Acta  2006, 39, 79. [PDF] [6] Ahrendt, K. A.; Borths, C. J.; MacMillan, D. W. C. J. Am. Chem. Soc; 2000, 122, 4243. DOI:10.1021/ja000092s
[7] Liu, P.; Jacobsen, E. N. J. Am. Chem. Soc. 2001123, 10772. DOI: 10.1021/ja016893s

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”047180343X” locale=”JP” title=”The Diels-Alder Reaction: Selected Practical Methods”][amazonjs asin=”B00F8JP5SA” locale=”JP” title=”Enantioselective Organocatalyzed Reactions II: Asymmetric C-C Bond Formation Processes: 2″]

 

外部リンク

関連記事

  1. DABSOを用いるSO2導入反応 SO2 incorporati…
  2. プレヴォスト/ウッドワード ジヒドロキシル化反応 Prevost…
  3. デーヴィス酸化 Davis Oxidation
  4. 1,3-ジチアン 1,3-Dithiane
  5. デ-マヨ反応 de Mayo Reaction
  6. ジイミド還元 Diimide Reduction
  7. N-カルバモイル化-脱アルキル化 N-carbamoylatio…
  8. ダキン・ウェスト反応 Dakin-West Reaction

注目情報

ピックアップ記事

  1. PCC/PDC酸化 PCC/PDC Oxidation
  2. 有機合成化学協会誌2018年3月号:π造形科学・マグネシウムカルベノイド・Darzens反応・直接的触媒的不斉アルキニル化・光環化付加反応
  3. 野依賞―受賞者一覧
  4. ゾイジーンが設計した化合物をベースに新薬開発へ
  5. 【書評】スキルアップ有機化学 しっかり身につく基礎の基礎
  6. アレノフィルを用いるアレーンオキシドとオキセピンの合成
  7. 薄くて巻ける有機ELディスプレー・京大など開発
  8. 新しい糖尿病治療薬認可へ~人体機能高めるタイプから吸入式まで
  9. カーン グリコシド化反応 Kahne Glycosidation
  10. くすりに携わるなら知っておきたい! 医薬品の化学

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年8月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP