[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

テッベ試薬 Tebbe Reagent

[スポンサーリンク]

アルデヒド、ケトン→アルケン

概要

Tebbe試薬は、カルボニルをエキソオレフィンに変換できる有用な試薬である。

アルデヒドやケトンのみならず、Wittig試薬では達成できないエステル、ラクトン、アミド、チオエステル類のメチレン化にも適用可能。

塩基性が低くルイス酸性が強い。このため、立体的に混み合っているケトンや、エノール化しやすいケトン、α位に不斉点を有するケトンに対しても、エピメリ化などを最小限に抑えるつつ反応させることができる。

適当な位置にオレフィンが存在するとオレフィンメタセシス様反応も併発する。

基本文献

  •  Tebbe, F. N.; Parshall, G. W.; Reddy, G. S. J. Am. Chem. Soc. 1978, 100, 3611. doi:10.1021/ja00479a061
  • Pine, S. H.; Zahler, R.; Evans, D. A.; Grubbs, R. H. J. Am. Chem. Soc. 1980, 102, 3270. DOI: 10.1021/ja00529a076
  • Brown-Wensley, K. A.; Buchwald, S. L.; Cannizzo, L.; Clawson, L.; Ho, S.; Meinhardt, D.; Stille, J. R.; Straus, D.; Grubbs, R. H. Pure Appl. Chem. 1983, 55, 1733. doi:10.1351/pac198355111733
  •  Pine, S. H. et al. J. Org. Chem. 198550, 1212. DOI: 10.1021/jo00208a013
  • Pine, S. H. et al. Org. Synth. 1990, 65, 72.
  • Kelly, S. E. Comp. Org. Syn. 1991, 1, 743.
  • Pine, S. H.; Shen, G. S.; Hoang, H. Synthesis 1991, 165. DOI: 10.1055/s-1991-26406
  •  Pine, S. H. Org. React. 1993, 43, 1.
  • Beadham, I.; Micklefield, J. Curr. Org. Syn. 20052, 231.

 

反応機構

活性種はチタノセンSchrockカルベン種Cp2Ti=CH2と考えられている。これとカルボニルとのメタセシス反応を経て、炭素-炭素二重結合が形成される。非常に強いチタン-酸素結合が反応進行の駆動力となっている。
on-ene2.gif

反応例

tebbe_3.gif

実験手順

Tebbe試薬の合成法:塩化チタノセン(Cp2TiCl2)およびトリメチルアルミニウムをトルエン中に混合することで調製できる。
Tebbe_4.gif
※発火性があるため、不活性ガス雰囲気下で取り扱うこと。

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”352730634X” locale=”JP” title=”Modern Carbonyl Olefination: Methods and Applications”]

 

外部リンク

関連記事

  1. 過酸による求核的エポキシ化 Nucleophilic Epoxi…
  2. エッシェンモーザーカップリング Eschenmoser Coup…
  3. バンバーガー転位 Bamberger Rearrangement…
  4. ジョンソン オレフィン合成 Johnson Olefinatio…
  5. グロブ開裂 Grob Fragmentation
  6. リーベン ハロホルム反応 Lieben Haloform Re…
  7. 求電子的フッ素化剤 Electrophilic Fluorina…
  8. ワイス反応 Weiss Reaction

注目情報

ピックアップ記事

  1. 有機薄膜太陽電池の”最新”開発動向
  2. ポンコツ博士の海外奮闘録⑩ 〜博士,中和する〜
  3. 分子標的の化学1「2012年ノーベル化学賞GPCRを導いた親和クロマトグラフィー技術」
  4. 含フッ素遷移金属エノラート種の合成と応用
  5. 目指せ抗がん剤!光と転位でインドールの(逆)プレニル化
  6. 人工タンパク質、合成に成功 北陸先端大、エイズ薬剤開発に道
  7. 光触媒水分解材料の水分解反応の活性・不活性点を可視化する新たな分光測定手法を開発
  8. ジョージ・フェール George Feher
  9. ゾイジーンが設計した化合物をベースに新薬開発へ
  10. 水素社会実現に向けた連続フロー合成法を新開発

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP