[スポンサーリンク]

D

1,3-双極子付加環化反応 1,3-Dipolar Cycloaddition

 

概要

1,3-双極子(1,3-dipole)とは、三原子からなる4π電子化学種であり、アルケンやアルキンなどの親双極子(dipolarophile)と付加環化反応を起こし、5員複素環化合物を与える。以下のような1,3-双極子が知られている。

ニトロンニトリルオキシドトリメチレンメタンアジド-アルキン環化オゾン分解に関しては別項参照。

1_3_dipolar_6

 

基本文献

<review>

・Huisgen, R. Angew. Chem. Int. Ed. 19632, 565. doi:10.1002/anie.196305651
・Huisgen, R. Angew. Chem. Int. Ed. 19632, 633. doi:10.1002/anie.196306331
・Padwa, A. Angew. Chem. Int. Ed. 1976, 15, 123. DOI: 10.1002/anie.197601231
・Gothelf, K. V.; Jorgensen, K. A. Chem. Rev. 199898, 863. DOI: 10.1021/cr970324e
・Pellissier, H. Tetrahedron 2007, 63, 3235. doi:10.1016/j.tet.2007.01.009
・Nair, V.; Suja, T. D. Tetrahedron 200763, 12247. DOI: 10.1016/j.tet.2007.09.065
・Zhang, W. Chem. Lett. 2013, 42, 676. doi:10.1246/cl.130504

反応機構

 Diels-Alder反応と同様、熱許容の[4π+2π]環化付加であり、協奏的・立体特異的に進行する。位置選択性はフロンティア軌道論により予測が可能。(参考:J. Org. Chem. 1976, 41, 403.

 

反応例

Zaragogic Acidの合成[1]: Rhカルベノイド+カルボニルの分子内反応を利用して1,3-双極子を生成させる手法は、複雑な縮環構造を持つ天然物合成における強力な戦略の一つである。
1_3_dipolar_2.gif
(-)-Deoxyharringtonineの合成[2] 1_3_dipolar_4.gif
アジドとアルキンの[3+2]付加環化(Huisgen環化)は、他に官能基が共存していても高選択的に反応する。クリックケミストリーの代名詞的反応として、ケミカルバイオロジー・材料分野などにおいて広く用いられることが増えた。
1_3_dipolar_8.gif
ニトリルオキシドの[3+2]付加環化はイソオキサゾリンを与える。N-O結合を還元的に切断・加水分解することで、β-ヒドロキシケトンを与える。すなわち、アルドール等価体を与える反応と見なすことができる。
1_3_dipolar_5.gif
グリシン誘導体をホルムアルデヒドで処理すると、脱炭酸を経てアゾメチンイリドが生成する。この1,3-双極子付加反応は、フラーレンC60への官能基導入法として非常に優れている(Prato反応)。[3] 1_3_dipolar_7.gif

実験手順

実験のコツ・テクニック

参考文献

[1] Hirata, Y.; Nakamura, S.; Watanabe, N.; Kataoka, O.; Kurosaki, T.; Anada, M.; Kitagaki, S.; Shiro, M.; Hashimoto, S. Chem. Eur. J. 2006, 12, 8898. doi:10.1002/chem.200601212
[2] Eckelbarger, J. D.; Wilmot,J. T.; Gin, D. Y. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 10370. DOI: 10.1021/ja063304f
[3] Maggini, M.; Scorrano, G.; Prato, M. J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 9798. DOI: 10.1021/ja00074a056

 

関連反応

 

関連書籍

関連リンク

The following two tabs change content below.
Hiro

Hiro

Hiro

最新記事 by Hiro (全て見る)

関連記事

  1. トロスト酸化 Trost Oxidation
  2. ピナコールカップリング Pinacol Coupling
  3. 環化異性化反応 Cycloisomerization
  4. スズアセタールを用いる選択的変換 Selective Trans…
  5. 縮合剤 Condensation Reagent
  6. アルキンの水和反応 Hydration of Alkyne
  7. ボーチ還元的アミノ化反応 Borch Reductive Ami…
  8. ヨウ化サマリウム(II) Samarium(II) Iodide…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. アコニチン (aconitine)
  2. ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0):Bis(tri-tert-butylphosphine)palladium(0)
  3. 魅惑の薫り、漂う香り、つんざく臭い
  4. 「薬草、信じて使うこと」=自分に合ったものを選ぶ
  5. メーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ還元 Meerwein-Ponndorf-Verley (MPV) Reduction
  6. スケールアップ実験スピードアップ化と経済性計算【終了】
  7. ヤモリの足のはなし ~吸盤ではない~
  8. ハーバート・ブラウン―クロスカップリングを導いた師とその偉業
  9. トップリス ツリー Topliss Tree
  10. 低分子化合物の新しい合成法 コンビナトリアル生合成 生合成遺伝子の利用法 Total Synthesis vs Total Biosynthesis

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

シクロペンタジエニル錯体の合成に一筋の光か?

β-炭素脱離を用いるシクロペンタジエニル(Cp)錯体の新たな調製法が報告された。本法により反応系中で…

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP