[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

トリメチレンメタン付加環化 Trimethylenemethane(TMM) Cycloaddition

[スポンサーリンク]

 

概要

トリメチレンメタン(TMM)は不飽和結合と[3+2]付加環化を進行させる。他の方法では収束的に得ることの難しい、炭素5員環を構築可能な手法。

以下のような共鳴構造を有するため、1,3-双極子の一種と見ることもできる。

TMM_2.gif

短寿命の高反応性化学種であり、多くの場合メチレンシクロプロパンへとすみやかに環化する。合成化学へ応用するには、分子内不飽和結合によりTMMが速やかに捕捉される基質設計、もしくはTMM種自体に安定化を施してやる必要がある。

基本文献

  • Baseman, R. J.; Pratt, D. W.; Chow, M.; Dowd, P. J. Am. Chem. Soc. 1976, 98, 5726. DOI: 10.1021/ja00434a068
  • Trost, B. M.; Chan, D. M. T. J. Am. Chem. Soc. 1979, 101, 6429. doi:10.1021/ja00515a046
  • Yamago, S.; Nakamura, E. J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 7285. DOI: 10.1021/ja00200a072
  •  Nakamura, E.; Yamago, S.; Ejiri, S.; Dorigo, A. E.; Morokuma, K. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 3183. DOI: 10.1021/ja00008a063

<review>

 

反応機構

安定化されたトリメチレンメタンの生成法としては大別して以下の3通りがある。

①ビシクロジアゼンを前駆体とする方法:閉環体であるメチレンシクロプロパンが大きく歪んでいるため、TMMへの開環反応が起こりやすくなっている。

TMM_3.gif

②メチレンシクロプロパンケタールを前駆体とする方法:オキソニウムカチオン様式にて、双性イオン構造が安定化される。

TMM_4.gif

③シリルアリルアセテートを前駆体とするパラジウム触媒法:パラジウムπーアリル構造を有する双性イオン型として安定化される。ニッケル(0)も同様の安定化効果を持つ。

TMM_5.gif

反応例

ピンナ酸の不斉合成[1]

TMM_6.gif

Hirsteneの合成[2]

TMM_7.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Xu, S.; Arimoto, H.; Uemura, D. Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 5746. DOI:10.1002/anie.200701581
[2] Little, R. D.; Muller, G. W. J. Am. Chem. Soc. 1981, 103, 2744. DOI: 10.1021/ja00400a043

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4759808752″ locale=”JP” title=”ペリ環状反応―第三の有機反応機構”]

 

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ベンジルオキシカルボニル保護基 Cbz(Z) Protectin…
  2. p-メトキシベンジル保護基 p-Methoxybenzyl (P…
  3. ビニルシクロプロパン転位 Vinylcyclopropane R…
  4. ターボグリニャール試薬 Turbo Grignard Reage…
  5. ガッターマン アルデヒド合成 Gattermann Aldehy…
  6. 2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル保護基 Troc Pro…
  7. フリッチュ・ブッテンバーグ・ウィーチェル転位 Fritsch-B…
  8. クリーギー グリコール酸化開裂 Criegee Glycol O…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 一重項分裂 singlet fission
  2. 究極のエネルギーキャリアきたる?!
  3. リンダウ会議に行ってきた③
  4. 四角い断面を持つナノチューブ合成に成功
  5. 春日大社
  6. 有機分子触媒ーChemical Times特集より
  7. タンパク質の定量法―ビシンコニン酸法 Protein Quantification – Bicinconic Acid Assay
  8. マーティン・オストライヒ Martin Oestreich
  9. 企業研究者のためのMI入門②:Pythonを学ぶ上でのポイントとおすすめの参考書ご紹介
  10. ヒスチジン近傍選択的なタンパク質主鎖修飾法

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年2月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728  

注目情報

最新記事

酸素は系内に入り込み続ける【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

アンモニウム構造によりラジカル種の発生位置を完全に制御!

第710回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理工学研究科 村上研究室の榊原 陽太(さかきばら …

化学つれづれ草【ある研究者の回想】

概要物理化学者で量子機能材料を専門とする著者によるエッセイ集.化学者としての研究,教育,人生…

第60回有機反応若手の会

開催概要有機反応若手の会は、有機化学分野で研究を行う全国の大学院生を中心とした若手研究者が集い、…

ノーベル賞受賞者と語り合う5日間!「第18回HOPEミーティング」参加者募集!

申し込みはこちら概要主催:独立行政法人 日本学術振興会(JSPS)開催地:神奈川…

光触媒による高効率なCO2還元の実現―まさかの光を弱く当てることが重要だった―

第709回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 理学院(前田研究室)博士後期課程2年の仲田竜一 …

「π-πスタッキング」という言葉が生む誤解【芳香環の相互作用を見直す: 前編】

芳香環が平行に並んで近接しているとき、その構造を「π–π スタッキング」と表されることがよくあります…

一重項酸素によるC(sp2)−P結合切断を用いた長波長光によるリン化合物のアンケージング

第 708 回のスポットライトリサーチは、同志社女子大学 薬学部 医療薬学科 5…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける画像解析の活用ガイド

開催概要材料開発において、電子顕微鏡やX線トモグラフィーを用いて材料の微細構造を観察するために画…

世界初のPROTAC医薬、ついに承認 ―「タンパク質を阻害する」から「分解する」時代へ

2026年5月、創薬化学の歴史に残る大きな出来事が起きました。米国 FDA は、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP