[スポンサーリンク]

M

宮浦・石山ホウ素化反応 Miyaura-Ishiyama Borylation

[スポンサーリンク]

概要

アリールもしくはアルケニルハライド/トリフラートからパラジウム触媒にて有機ホウ素化合物を合成する手法。ホウ素源としては市販かつ取扱容易なピナコールジボラン(PinB-BPin)がよく用いられる。一方でピナコールボラン(H-BPin)、ジボロン酸((HO)2B-B(OH)2)を使用可能な条件も知られている。

近年ではイリジウム触媒を用いることで、ハロゲンを経由せずC-H活性化形式にてホウ素化を行える条件(ハートウィグ・宮浦ホウ素化)が発達を遂げている。こちらは別項を参照されたい。

基本文献

  • Ishiyama, T.; Murata, M.; Miyaura, N. J. Org. Chem. 199560, 7508. DOI: 10.1021/jo00128a024
  • Murata, M.; Watanabe, S.; Masuda, Y. J. Org. Chem. 199762, 6458. DOI: 10.1021/jo970963p
  • Murata, M.; Oyama, T.; Watanabe, S.; Masuda, Y. J. Org. Chem. 2000, 65, 164. DOI: 10.1021/jo991337q
  • Takagi, J.; Takahashi, K.; Ishiyama, T.; Miyaura, N. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 8001. DOI: 10.1021/ja0202255

<review>

  • Ishiyama, T.; Miyaura, N. Chem. Rec. 20043, 271. DOI: 10.1002/tcr.10068
  • Shimizu, M.; Hiyama, T. Eur. J. Org. Chem. 201336, 8096. DOI: 10.1002/ejoc.201300632
  • Chow, W. K.; Yuen, O. Y.; Choy, P. Y.; So, C. M.; Lau, C. P.; Wong, W. T.; Kwong, F. Y. RSC Adv. 2013, 3, 12518. DOI: 10.1039/C3RA22905J
  • Shinokubo, H. Proc. Jpn. Acad. Ser. B. 201490, 1. doi:10.2183/pjab.90.1

反応機構

基本的な機構はパラジウムクロスカップリングと類似。鈴木・宮浦クロスカップリングの項目も参照。

miyaura_boryl_2

 

反応例

適切な反応性をもつ基質を選択することで、宮浦ホウ素化→鈴木-宮浦クロスカップリングの連続的反応が起こり、ビアリールが得られる。
miyaura_boryl_5.gif低反応性のアリールクロライドに適用可能な条件[1]

miyaura_boryl_3

実験手順

アリールブロミドのホウ素化[2]

miyaura_boryl_4

実験のコツ・テクニック

※塩基はKOAcが最適。K2CO3やK3PO4のような強めの塩基を用いると、鈴木カップリング形式の二量化が併発する。アルケニルトリフラートに対してはKOPhを塩基として用いる。
※ 反応速度はDMSO >> DMF > 1,4-dioxaneの順になる。

※再現性がよいのはPd(dppf)Cl2, B2pin2, KOAc, dioxane条件。

※仮にビアリールが得られてしまっているならば溶媒の脱水および、塩基の脱水がおすすめ。KOAcの場合は事前にトルエン共沸すると水が沢山出てくる。

 

参考文献

  1. (a) Billingsley, K. L.; Barder, T. E.; Buchwald, S. L. Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 5359. doi:10.1002/anie.200701551 (b) Billingsley, K. L.; Buchwald, S. L. J. Org. Chem. 200873, 5589. DOI: 10.1021/jo800727s
  2. Ishiyama, T.; Murata, M.; Miyaura, N. J. Org. Chem. 199560, 7508. DOI: 10.1021/jo00128a024

関連反応

 

関連書籍

外部リンク

関連記事

  1. シモンズ・スミス反応 Simmons-Smith Reactio…
  2. アルコールのアルカンへの還元 Reduction from Al…
  3. アルキンメタセシス Alkyne Metathesis
  4. エッシェンモーザー・クライゼン転位 Eschenmoser-Cl…
  5. ビシュラー・メーラウ インドール合成 Bischler-Mohl…
  6. ワートン反応 Wharton Reaction
  7. ヴィドマン・ストーマー シンノリン合成 Widman-Stoer…
  8. ジンケ アルデヒド Zincke Aldehyde

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ニトリル手袋は有機溶媒に弱い?
  2. マイクロ波の技術メリット・事業メリットをお伝えします!/マイクロ波化学(株)10月度ウェビナー
  3. 原子分光分析法の基礎知識~誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-OES)を中心に~
  4. カチオン重合 Cationic Polymerization
  5. 生体組織を人工ラベル化する「AGOX Chemistry」
  6. 標的指向、多様性指向合成を目指した反応
  7. 世界最小!? 単糖誘導体から還元反応によって溶ける超分子ヒドロゲルを開発
  8. ポケットにいれて持ち運べる高分子型水素キャリアの開発
  9. 日本科学未来館
  10. カーボンナノチューブ /carbon nanotube (CNT)

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年8月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP