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化学者のつぶやき

フラーレンの単官能基化

フラーレンの単官能基化
6月 15
01:03 2007
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フラーレンの単官能基化

Rh-Catalyzed Arylation and Alkenylation of C60Using Organoboron Compounds, Nambo, M.; Noyori, R.; Itami, K.

J. Am. Chem. Soc.2007, ASAP. DOI:10.1021/ja073042x

 

フラーレンはナノテクの主役。研究材料から実用まで今やあらゆる領域で用いられるようになっています。ただ、フラーレンはそのままだと有機溶媒への溶解性や使い勝手も悪いです。それを改善したり、さらに高度な機能を付与するには化学修飾をしてやる必要があります。とはいえ、実用的なフラーレンの官能基化法というのは、実は限られています。

よく用いられるのはPrato法[1]というアゾメチンイリドの[2+3]双極子付加を用いる手法、およびBingel法[2]と呼ばれるブロモマロン酸エステルの付加です。フラーレンを分子素子として使いたい場合に、他の素子と連結する目的で使われます。

また、フラーレンの電子受容性を利用し、有機金属試薬を求核付加させる方法もあります。東大の中村栄一教授らによって開発された、銅を用いる位置選択的官能基化法[3]はその中でも大変強力な手法です。

 

今回、名大・伊丹健一郎准教授らは、ロジウム触媒による有機ホウ素付加反応をフラーレンの単官能基化に応用しました。?収率は中程度ながら、上述スキームの条件にて様々な単官能基化フラーレンの合成に成功しています。鈴木-宮浦カップリングが世に広まるにつれ、様々な有機ボロン酸が市販されるようになっているため、試薬の入手容易さという点でも本法はメリットがありそうです。

 

応用性の高い強力な合成反応を一つ開発できれば、その後の機能性物質開発は飛躍的に加速されます。この触媒反応を用いて今後どのようなナノテクノロジーが切り開かれていくのか、注目していきたいところです。

 

関連文献

[1] Maggini, M.; Scorrano, G.; Prato, M.J. Am. Chem. Soc.1993,115, 9798. DOI:10.1021/ja00074a056
[2] Bingel, C.Chem. Ber.1993,126, 1957.
[3] Sawamura, M.; Iikura, H.; Nakamura, E.J. Am. Chem. Soc.1996,118, 12850. DOI:10.1021/ja962681x

 

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About Author

cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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