[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

研究室でDIY!割れないマニホールドをつくろう・改

[スポンサーリンク]

どこでも誰でも使える、ちょっとしたDIYテクニックを共有し、皆でラボを便利に使いましょう・節約しましょうという企画シリーズ記事。題して「研究室でDIY!」

以前ケムステで、割れない真空マニホールドをテーマとした「現場ラボのDIY」を紹介しました。すると、岐阜薬科大学・平山祐先生から記事を見て改良版を作ったとの報告をこのたび頂きました!

公知情報を各地で改良したものを公開し、それによって世界をどんどん良くしていくことこそ、まさにオープンソース・ラボウェア思想の真骨頂!この流れはどんどん加速させたい!

ということで、今回は金属成分を減らしたDIY真空マニホールドをご紹介します。

割れないマニホールドは素晴らしい!しかし・・・

前回の記事ではフルメタルマニホールドの作成を取りあげました。筆者も自作して2ヶ月ぐらい使っていますが、実用面では文句がありません。ただ、いかんせん重く、サイズに融通が利きづらいのが難点といえば難点。

今回紹介する改良版は、連結部を耐薬品樹脂に置換えたものとなっています。具体的にはこんな感じ。

材料と作り方

材料は下記リスト参照。これで5連マニホールドが作れます。やはりモノタロウで全て調達可能です。

PISCO フッ素樹脂(FEP)チューブ SET0860-20-C:50 cm (※20 mから購入可能)

PISCO チューブフィッティングケミカルティー APB8-02E:4個

PISCO チューブフィッティングケミカルエルボ APL8-02E:1個

アソー エースボール ストレート型 両内ネジ型 BW-1022:5個

モノタロウ ステンレス製ねじ込み ホースニップル 70821817:5個

PISCO チューブカッター:適宜

シールテープ:適宜

メリット・デメリット

メリットとしては

  • チューブの中身が見えるので汚れたらすぐにわかる。
  • FEPチューブがゴム管より安い。
  • ワンタッチ継手で取り外しが簡単。
  • T字部とコックの接続部分(T字の六角形のところ)が回転するのでどの向きからでもアクセスできる(これ結構便利です)。
  • コック以外は樹脂製なので軽い。
  • T字部分・チューブは耐薬品性が謳われており、耐薬性能は高い。
  • チューブの長さを変えられる。

現場観点から最も気になるのはリークでしょうが、平山先生が一か月ほど使用した限りでは、特にそれも無く快適に使えているそうです。

これだけでもフルメタルマニホールドのデメリットはだいぶ解消されています。ただ長期で使うと錆がでるかもしれない点は同じで、未解決課題でしょうか。ホースニップルをステンレス製(黄銅製よりやや高価なもの)にしてあるため、だいぶ抵抗されているとのことですが・・・。

これが初期投資1万円以内でできるそうなので、皆さんのラボでも是非自作を検討してみてはいかがでしょうか。

また、平山先生のほうでは、窒素ラインを並行させたものを今後作成予定とのこと。次回作にも期待ですね!

皆さんご存じのDIYや改良器具も、ぜひケムステへ寄稿ください!そして、全国の皆さんのお役に立ててみませんか?

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 実験メガネを15種類試してみた
  2. 誤解してない? 電子の軌道は”軌道”では…
  3. 反応機構を書いてみよう!~電子の矢印講座・その2~
  4. 春季ACSMeetingに行ってきました
  5. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑱:Apple…
  6. 【日産化学 27卒/Zoomウェビナー配信!】START you…
  7. 中学入試における化学を調べてみた 2013
  8. 2つのグリニャールからスルホンジイミンを作る

注目情報

ピックアップ記事

  1. 中皮腫治療薬を優先審査へ
  2. 武田薬品、糖尿病薬「アクトス」に抗炎症作用報告
  3. 第99回―「配位子設計にもとづく研究・超分子化学」Paul Plieger教授
  4. カチオン重合 Cationic Polymerization
  5. クロスカップリング反応 cross coupling reaction
  6. 吉岡里帆さんが出演する企業ブランド広告の特設サイト「DIC岡里帆の研究室」をリニューアル
  7. ⾦属触媒・バイオ触媒の⼒で⽣物活性分⼦群の⾻格を不⻫合成
  8. 酸素ボンベ爆発、男性死亡 
  9. Appel反応を用いるホスフィンの不斉酸化
  10. Keith Fagnou Organic Chemistry Symposium

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP